[RTD9-3] 急変対応能力向上にむけた取り組み
【はじめに】
A大学歯学部附属病院歯科病棟(以下歯病)は、患者急変時、A大学医学部附属病院ERセンター(以下医病ER)に応援要請し、医病ERスタッフが駆けつけ救急対応している。多くの急変は発見時心停止ではなく殆どが気道緊急であり、緊急度が高いため、歯病看護師(以下歯Ns)は医師や歯科医師が到着するまでに適切な対応を迅速に行う必要がある。しかし歯Ns達は、医病ERスタッフが到着するまでに歯科医師コールや救急カート持参を自主的に行ってはいたが、他の対応は全て歯科医師到着後に歯科医師指示のもと実施していた。急変対応に関するヒアリングでは、歯Ns達は急変時の患者の状態把握とやるべき行動がわからないことが課題であると感じていた。今までの急変対応教育では、教育ワーキンググループによる座学勉強会、看護部による3年に1回の心肺蘇生研修(以下BLS)、歯科医師によるBLSが行われていた。しかし急変時に心停止を回避するための対応を学ぶ研修は行われていなかった。そこで今回の取り組みを開始した。
【倫理的配慮】
取り組みで得られた情報は個人が特定されないよう扱うことを説明し同意を得た。
【目的】
患者急変時、医病ERスタッフが来るまでの間に患者に必要な対応が実施できる。
【方法】
1対象 歯病Ns
2目標
患者の状態と今後どうなるかが予測できる
心停止を回避する行動がわかり、実施できる
歯科医師と看護師が協働できる
3方法
①救急カート物品、気道緊急対応に関する講義を行う
②気道緊急の場面で医病ERスタッフが到着するまでの対応を部署内でシミュレーションする
4評価方法
評価表を用いた対応の評価、アンケート、実際の急変対応の振り返り、急変対応に関する業務改善の有無で評価する。
【結果】
歯科医師による救急カート物品の解説と気道緊急対応に関する講義を実施した。気管切開、下顎半側切除術後に口腔から出血している患者を発見したというシナリオで、ABCDアプローチを行う目的でシミュレーションを実施した。合計3回12人に実施した。アンケートでは「対応できた」が32%、「できなかった」が67%、急変対応の理解は「わかった」が67%、「わからない」が33%だった。半数以上の研修満足度が高く、研修を「またやりたい」が83%、「やらなくてもいい」が0%だった。
研修後に救急カート物品の変更、緊急コール表の変更が行われ、急変時の記録用紙変更の動きが始まった。実際の急変インタビューでは、患者に何が起きているかを考えることができた、指示の前に必要物品を準備できた、思ったことを声に出して共有できたなどの意見があった。歯Ns、歯科医師、医師で振り返りを行い、医師から問題なく対応できたという意見が得られた。
【考察】
ABCDアプローチは歯Ns達にとって未経験であったが、講義やシミュレーションの内容を実際に起こりうる場面にしたことで興味が湧き、理解を深めることにつながったと考える。学習意欲向上に必要な成功体験は、シミュレーションで得られたとは言いにくい。しかし研修の満足度が高かったことから、学習意欲の向上に寄与できたと考える。実際の急変対応で問題ない対応ができたということは、知識を実践に応用することができたといえる。振り返り会では多職種の意見交換ができ、協働につながったといえる。業務改善は、自分たちの部署を自分たちで良くしようという内発的動機付けにつながったと考える。
研修を通して急変時に必要な対応が実施でき、業務改善という行動変容がみられたことから、研修の目的は達成できたと考える。
A大学歯学部附属病院歯科病棟(以下歯病)は、患者急変時、A大学医学部附属病院ERセンター(以下医病ER)に応援要請し、医病ERスタッフが駆けつけ救急対応している。多くの急変は発見時心停止ではなく殆どが気道緊急であり、緊急度が高いため、歯病看護師(以下歯Ns)は医師や歯科医師が到着するまでに適切な対応を迅速に行う必要がある。しかし歯Ns達は、医病ERスタッフが到着するまでに歯科医師コールや救急カート持参を自主的に行ってはいたが、他の対応は全て歯科医師到着後に歯科医師指示のもと実施していた。急変対応に関するヒアリングでは、歯Ns達は急変時の患者の状態把握とやるべき行動がわからないことが課題であると感じていた。今までの急変対応教育では、教育ワーキンググループによる座学勉強会、看護部による3年に1回の心肺蘇生研修(以下BLS)、歯科医師によるBLSが行われていた。しかし急変時に心停止を回避するための対応を学ぶ研修は行われていなかった。そこで今回の取り組みを開始した。
【倫理的配慮】
取り組みで得られた情報は個人が特定されないよう扱うことを説明し同意を得た。
【目的】
患者急変時、医病ERスタッフが来るまでの間に患者に必要な対応が実施できる。
【方法】
1対象 歯病Ns
2目標
患者の状態と今後どうなるかが予測できる
心停止を回避する行動がわかり、実施できる
歯科医師と看護師が協働できる
3方法
①救急カート物品、気道緊急対応に関する講義を行う
②気道緊急の場面で医病ERスタッフが到着するまでの対応を部署内でシミュレーションする
4評価方法
評価表を用いた対応の評価、アンケート、実際の急変対応の振り返り、急変対応に関する業務改善の有無で評価する。
【結果】
歯科医師による救急カート物品の解説と気道緊急対応に関する講義を実施した。気管切開、下顎半側切除術後に口腔から出血している患者を発見したというシナリオで、ABCDアプローチを行う目的でシミュレーションを実施した。合計3回12人に実施した。アンケートでは「対応できた」が32%、「できなかった」が67%、急変対応の理解は「わかった」が67%、「わからない」が33%だった。半数以上の研修満足度が高く、研修を「またやりたい」が83%、「やらなくてもいい」が0%だった。
研修後に救急カート物品の変更、緊急コール表の変更が行われ、急変時の記録用紙変更の動きが始まった。実際の急変インタビューでは、患者に何が起きているかを考えることができた、指示の前に必要物品を準備できた、思ったことを声に出して共有できたなどの意見があった。歯Ns、歯科医師、医師で振り返りを行い、医師から問題なく対応できたという意見が得られた。
【考察】
ABCDアプローチは歯Ns達にとって未経験であったが、講義やシミュレーションの内容を実際に起こりうる場面にしたことで興味が湧き、理解を深めることにつながったと考える。学習意欲向上に必要な成功体験は、シミュレーションで得られたとは言いにくい。しかし研修の満足度が高かったことから、学習意欲の向上に寄与できたと考える。実際の急変対応で問題ない対応ができたということは、知識を実践に応用することができたといえる。振り返り会では多職種の意見交換ができ、協働につながったといえる。業務改善は、自分たちの部署を自分たちで良くしようという内発的動機付けにつながったと考える。
研修を通して急変時に必要な対応が実施でき、業務改善という行動変容がみられたことから、研修の目的は達成できたと考える。