第21回日本救急看護学会学術集会

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一般演題(ラウンドテーブルディスカッション (RTD))

教育

[RTD9] RTD(CN)9群 教育①

Sat. Oct 5, 2019 10:30 AM - 11:50 AM RTD会場 (2F 国際会議室)

座長:小越 優子(滋賀医科大学医学部附属病院)

[RTD9-4] 臨床推論から看護師の能力向上を目指した取り組み

清水 克彦 (国立病院機構 京都医療センター)

はじめに

 現在当院では新人看護師に対する教育体制や先輩看護師のフォローアップ体制を整えられているが、その一方で2年目以降の看護師のフォローアップ体制は新人看護師と比べ十分とは言い難い。また業務を覚え慣れ初めた若い看護師は業務をルーチン化して行動に移す傾向にあり、ルーチン以上の負荷や変化が加わることでインシデントの発生率が非常に増加傾向にある。
 その傾向を踏まえ当院看護部では昨年度から日常的な業務をルーチン化せずに様々な角度から患者や看護を深く考えられるように「臨床推論」を院内研修に導入された。特に救急現場では早くから「臨床推論」の重要性を言われて活用されることから、今回新たに救急看護認定看護師が「臨床推論」をフレームワークを活用して看護師の思考トレーニングの取り組みを行ったため報告する。

Ⅰ.目的

  院内研修にて臨床推論能力の向上に向けて行った取り組み

Ⅱ.方法

1. 期間: 2018年度 7月、10月、1月に3回に分けて院内研修

2. 対象: 院内ラダーレベルⅡ看護師対象(概ね2年目看護師):80人

3. 方法: 1回目:臨床推論の概要、仮説演繹法、臨床推論用フレームワークを説明する

          2つの事例を提示し、フレームワークに入れながら臨床推論の流れを学ぶ

       事後課題①:研修生自身の病棟で身近にある臨床推論場面をフレームワークに入れて振り返る

          その後病棟で振り返りカンファレンスを実施し、同病棟の他の看護師から助言を得る

          他の看護師から得た新たな知識や考え方は文字の色を変えてフレームワークに追加記入する

       2回目:病棟で振り返った内容を研修で持ち寄り6人1グループで発表する

          他者の発表から意見や感想を述べあい、さらに自己の臨床推論を振り返る

      事後課題②:事後課題①と同様

      3回目:新たな事例を研修に持ち寄り、2回目と同様にグループ内で発表する

          グループ内で最も良いと思った発表内容を決定し、研修生全体に発表する

Ⅲ.結果:アンケート結果

  1回目の研修終了後のアンケート結果より臨床推論の意義について96%が理解でき、今回活用したフレームワークを使った臨床推論の進め方についても99%が理解できたと回答された。また2、3回目の研修終了後のアンケートでは他者との臨床推論の違いを比べ自己を振り返る機会になり、不足している知識に気づけたかという設問には100%が振り返る機会になったと答えた。今後病棟で実際にフレームワークを活用して臨床推論ができるかついて「できる」と答えたのは1回目73%、2、3回目86%と上昇した。

Ⅳ.考察

  今回参加した研修生からこれまで日々の業務を終了する為のルーチンワークを重要視していたが、臨床推論を利用して現場で立ち止まる機会を得たことで、「考える」ことの重要性を学べたと感想にあった。またフレームワークに入れて自己の臨床推論を見える化して他者に発表するアプトプットをした事で自身の学びを深めたり、先輩看護師から自分にはない知識を得ることで新たな臨床推論能力の向上に繋がったと考える。それだけでなく病棟の先輩看護師は現在の後輩看護師の頭の中を確認でき、指導の方向性を再確認できたとの感想も得られた。

Ⅴ,まとめ

  今回の研修で活用したフレームワークにより日常的な臨床現場で簡単に振り返りに役立てるものであることの理解を得られた。また今後繰り返し本研修を続け、研修対象の看護師だけでなく病棟全体でお互い対話から臨床推論能力が向上できる取り組みをしていきたい。