[RTD9-5] 新任初療スタッフを対象としたシミュレーション教育の取り組みと課題
【はじめに】
初療室では症状・症候から必要な検査・処置を予測し、治療と並行して全人的な看護を提供する能力が求められる。また、根本治療が遅れることにより死に直結するという特殊な環境であるため、迅速な判断と行動を必要とし、看護の遅れによる診療の遅延があってはならない。さらに他職種と協働し、チームの一員として自立した行動が求められる。A施設は高度救命救急センターとして1-3次の救急患者を受け入れ、初療スタッフは2ヶ月間のローテーションを通し救急外来を経験する。新任初療スタッフは過去の経験年数に関わらず救急経験2年目および3年目のスタッフが新任初療スタッフに該当し、全スタッフの16%を占めている。以上から初療看護に必要なスキルとしてPrimary ABCDE評価を習得し、医師と同じ時間軸での看護の提供を目的として、シミュレーションを通した実践型学習を行っている。この取り組みと今後の課題について報告する。
【目的】
新任初療スタッフを対象としたシミュレーション内容、実践報告および今後の課題について報告する
【方法】
期間:2018年6月から2019年1月
対象:新任初療スタッフ26名,および希望者7名の33名
シミュレーション内容:
①シナリオ事前提示によるシミュレーションのイメージ化
②緊急度・重症度の高い症例についてのシミュレーション
③上記①②についてシミュレーション10分、リフレクション20分の実施
④評価とアンケート
【倫理的配慮】
個人が特定できないよう配慮し、データの入った電子媒体は厳重に保管することとした
【結果】
3症例(心筋梗塞・くも膜下出血・外傷)のシナリオに対し受け入れ準備から継続観察と治療に向けたケア介入までの一連の流れと症例に特徴的なケアを取り入れたシミュレーションを行い、その後に各症例のポイントを説明しリフレクションを行った。評価表の結果から「第一印象」「A:気道」「D:意識」は50%以上が「Good」であった。「呼吸」「継続観察と治療に向けたケア」は「Good」が30%以下であった。各症例に特徴的なケアの実践は50%以上が「No Good」であった。アンケート結果では、対象者の理解の程度はシミュレーションで96-97%、リフレクションで100%と高かった。時間配分、ニードは100%の高い評価だった。自由回答ではイメージ化に関する意見が14件、不安の解消・意欲に関する意見が12件、Primary ABCDEの理解に関する意見が3件の肯定的な意見があり、否定的な意見はなかった。
【考察】
救急外来という病棟と違う環境では、新任初療スタッフは不安や緊張を抱えており、実践に近いシミュレーションを行うことで具体的なイメージ化に繋がり不安の軽減につながると考えられる。シミュレーション後にリフレクションを行うことは各症例に特徴的なケアについて事前学習の知識が統合されることに繋がり効果的であったと考えられる。また、可能な限り実際の場所・物品を使用し、患者役や医師役を設定したことで具体的なイメージ化に繋がり、理解度が高かったのではないかと考える。シミュレーションでの呼吸の評価が低い要因として、モニターやSPO2の数値に着目しフィジカルアセスメントが不足している現状があると考えられる。このため、呼吸について重点的な介入が必要であることが示唆された。対象者にとってシミュレーションが実践に与える影響については評価が困難である。このため、アンケート内容の改訂や配布時期の検討と継続的な事後評価を行っていくことが課題である。
初療室では症状・症候から必要な検査・処置を予測し、治療と並行して全人的な看護を提供する能力が求められる。また、根本治療が遅れることにより死に直結するという特殊な環境であるため、迅速な判断と行動を必要とし、看護の遅れによる診療の遅延があってはならない。さらに他職種と協働し、チームの一員として自立した行動が求められる。A施設は高度救命救急センターとして1-3次の救急患者を受け入れ、初療スタッフは2ヶ月間のローテーションを通し救急外来を経験する。新任初療スタッフは過去の経験年数に関わらず救急経験2年目および3年目のスタッフが新任初療スタッフに該当し、全スタッフの16%を占めている。以上から初療看護に必要なスキルとしてPrimary ABCDE評価を習得し、医師と同じ時間軸での看護の提供を目的として、シミュレーションを通した実践型学習を行っている。この取り組みと今後の課題について報告する。
【目的】
新任初療スタッフを対象としたシミュレーション内容、実践報告および今後の課題について報告する
【方法】
期間:2018年6月から2019年1月
対象:新任初療スタッフ26名,および希望者7名の33名
シミュレーション内容:
①シナリオ事前提示によるシミュレーションのイメージ化
②緊急度・重症度の高い症例についてのシミュレーション
③上記①②についてシミュレーション10分、リフレクション20分の実施
④評価とアンケート
【倫理的配慮】
個人が特定できないよう配慮し、データの入った電子媒体は厳重に保管することとした
【結果】
3症例(心筋梗塞・くも膜下出血・外傷)のシナリオに対し受け入れ準備から継続観察と治療に向けたケア介入までの一連の流れと症例に特徴的なケアを取り入れたシミュレーションを行い、その後に各症例のポイントを説明しリフレクションを行った。評価表の結果から「第一印象」「A:気道」「D:意識」は50%以上が「Good」であった。「呼吸」「継続観察と治療に向けたケア」は「Good」が30%以下であった。各症例に特徴的なケアの実践は50%以上が「No Good」であった。アンケート結果では、対象者の理解の程度はシミュレーションで96-97%、リフレクションで100%と高かった。時間配分、ニードは100%の高い評価だった。自由回答ではイメージ化に関する意見が14件、不安の解消・意欲に関する意見が12件、Primary ABCDEの理解に関する意見が3件の肯定的な意見があり、否定的な意見はなかった。
【考察】
救急外来という病棟と違う環境では、新任初療スタッフは不安や緊張を抱えており、実践に近いシミュレーションを行うことで具体的なイメージ化に繋がり不安の軽減につながると考えられる。シミュレーション後にリフレクションを行うことは各症例に特徴的なケアについて事前学習の知識が統合されることに繋がり効果的であったと考えられる。また、可能な限り実際の場所・物品を使用し、患者役や医師役を設定したことで具体的なイメージ化に繋がり、理解度が高かったのではないかと考える。シミュレーションでの呼吸の評価が低い要因として、モニターやSPO2の数値に着目しフィジカルアセスメントが不足している現状があると考えられる。このため、呼吸について重点的な介入が必要であることが示唆された。対象者にとってシミュレーションが実践に与える影響については評価が困難である。このため、アンケート内容の改訂や配布時期の検討と継続的な事後評価を行っていくことが課題である。