[RTD9-7] 患者の急変に関わる救急看護認定看護師の体験
目的
本研究の目的は,救急看護認定看護師が患者の急変に関わる中で,どのように感じ,考え,行動しているのかという体験を明らかにすることである.
方法
研究デザインはSandelowskiが論ずる質的記述的研究である.2018年7月から12月の期間において,臨床で看護実践する救急看護認定看護師を対象に半構造的インタビューによるデータ収集を行った.1回のインタビューは62~65分であった.インタビューでは,①急変に関するイメージ,②これまでの急変体験,③認定看護師になる前後での変化,④急変対応のために実施していることについて,自由に語ってもらった.インタビューで得られたデータから逐語録を作成した.その後,研究目的の内容を示す語りの文節を取り出しコードとした.取り出した語りのコードを共通点と相違点を考慮してカテゴリーを作った.カテゴリーに含まれる看護師の語りの文節から患者の急変した状況を踏まえてカテゴリー名をつけた.所属大学の倫理審査委員会の許可を得て実施した(許可番号18061437).
結果
研究参加者は3人であった.分析の結果,患者の急変に関わる体験を示すコードから18個のサブカテゴリーを抽出した.その後,【予期しない生命の危機に陥らないように想定範囲を広げる】,【病態の成り行きとABCDに基づく急変の予測】,【段階的な急変対応能力の獲得】,【チーム医療における卓越した専門性の発揮】,【リフレクションを通した気づきを学びの機会につなげる】,【急変対応を通して抱く一時的な満足感と不全感】の6個のカテゴリーが見出された.
看護師は急変を死に直結すると認識していた.【予期しない生命の危機に陥らないように想定範囲を広げる】ことが必要で,そのことが救命につながると捉えていた.看護実践ではABCDを意識してバイタルサインや身体状態を系統立てて観察し,アセスメントを瞬時に行い,急変の予測をするという【病態の成り行きとABCDに基づく急変の予測】をしていた.また,急変体験を振り返る中で,何もできない段階から見様見真似で対応する段階を経て,自分の役割を全うする,冷静に急変対応するという【段階的な急変対応能力の獲得】をしていた.救急看護認定看護師となった以降は,医療チームだけでなく患者家族も含めて全体を俯瞰して見ることや,根拠に基づく看護実践をしており,【チーム医療における卓越した専門性の発揮】をしている.その過程では,【リフレクションを通した気づきを学びの機会につなげる】ということを日常的に行っており,そこで得た考えや方法を看護実践に活かしていた.急変対応を通して理論的知識や看護技術を発揮し効果を実感することで,看護師としての自身の成長を感じつつも,家族が悲しむ姿などから不全感を抱くという【急変対応を通して抱く一時的な満足感と不全感】があることが明らかとなった.
考察
急変という言葉は看護実践において日常的に使用されるが,明確に定義されたものはない.本研究の研究参加者は急変について患者の生命の危機と捉えていた.そして,急変の捉え方は対応する人の能力や場所によって変化すると認識していることがわかった.そのことは急変しないように想定範囲を広げる必要があるという考えにつながっていた.看護師は急変での体験を学びの機会にしており,行為についての省察をすることが実践的判断力につながるものと考える.また,急変対応能力の獲得には段階があり,経験が少ない看護師が救急看護認定看護師の急変への関りを客観的に知ることは,成長していく過程をイメージすることにつながると考える.
本研究の目的は,救急看護認定看護師が患者の急変に関わる中で,どのように感じ,考え,行動しているのかという体験を明らかにすることである.
方法
研究デザインはSandelowskiが論ずる質的記述的研究である.2018年7月から12月の期間において,臨床で看護実践する救急看護認定看護師を対象に半構造的インタビューによるデータ収集を行った.1回のインタビューは62~65分であった.インタビューでは,①急変に関するイメージ,②これまでの急変体験,③認定看護師になる前後での変化,④急変対応のために実施していることについて,自由に語ってもらった.インタビューで得られたデータから逐語録を作成した.その後,研究目的の内容を示す語りの文節を取り出しコードとした.取り出した語りのコードを共通点と相違点を考慮してカテゴリーを作った.カテゴリーに含まれる看護師の語りの文節から患者の急変した状況を踏まえてカテゴリー名をつけた.所属大学の倫理審査委員会の許可を得て実施した(許可番号18061437).
結果
研究参加者は3人であった.分析の結果,患者の急変に関わる体験を示すコードから18個のサブカテゴリーを抽出した.その後,【予期しない生命の危機に陥らないように想定範囲を広げる】,【病態の成り行きとABCDに基づく急変の予測】,【段階的な急変対応能力の獲得】,【チーム医療における卓越した専門性の発揮】,【リフレクションを通した気づきを学びの機会につなげる】,【急変対応を通して抱く一時的な満足感と不全感】の6個のカテゴリーが見出された.
看護師は急変を死に直結すると認識していた.【予期しない生命の危機に陥らないように想定範囲を広げる】ことが必要で,そのことが救命につながると捉えていた.看護実践ではABCDを意識してバイタルサインや身体状態を系統立てて観察し,アセスメントを瞬時に行い,急変の予測をするという【病態の成り行きとABCDに基づく急変の予測】をしていた.また,急変体験を振り返る中で,何もできない段階から見様見真似で対応する段階を経て,自分の役割を全うする,冷静に急変対応するという【段階的な急変対応能力の獲得】をしていた.救急看護認定看護師となった以降は,医療チームだけでなく患者家族も含めて全体を俯瞰して見ることや,根拠に基づく看護実践をしており,【チーム医療における卓越した専門性の発揮】をしている.その過程では,【リフレクションを通した気づきを学びの機会につなげる】ということを日常的に行っており,そこで得た考えや方法を看護実践に活かしていた.急変対応を通して理論的知識や看護技術を発揮し効果を実感することで,看護師としての自身の成長を感じつつも,家族が悲しむ姿などから不全感を抱くという【急変対応を通して抱く一時的な満足感と不全感】があることが明らかとなった.
考察
急変という言葉は看護実践において日常的に使用されるが,明確に定義されたものはない.本研究の研究参加者は急変について患者の生命の危機と捉えていた.そして,急変の捉え方は対応する人の能力や場所によって変化すると認識していることがわかった.そのことは急変しないように想定範囲を広げる必要があるという考えにつながっていた.看護師は急変での体験を学びの機会にしており,行為についての省察をすることが実践的判断力につながるものと考える.また,急変対応能力の獲得には段階があり,経験が少ない看護師が救急看護認定看護師の急変への関りを客観的に知ることは,成長していく過程をイメージすることにつながると考える.