第21回日本救急看護学会学術集会

講演情報

シンポジウム

[SY2] ファーストインプレッション“何か変”気づきを高める学習設計

2019年10月4日(金) 15:20 〜 17:20 第4会場 (3F 中会議室301)

座長:増山 純二(長崎みなとメディカルセンター), 石井 恵利佳(獨協医科大学埼玉医療センター 看護部)

[SY2-5] 気づき、そしてABCの変化を捉えるフィジカルアセスメント教育 -検温OJTの効果-

大瀧 友紀 (聖隷三方原病院)

2010年度から2015年度までの5年間のコードブルー事例170件の内、心肺停止に至る前に発見された事例は122件で、この122件中59件(約50%)において急変前に徴候が見られた。この徴候があったものの内、気道・呼吸・循環・意識に関する記載があったものは、気道の情報が必要な事例12件に対し3件(25%)、呼吸の情報が必要な事例45件に対し5件(11%)、循環の情報が必要な事例45件に対し13件(29%)、意識の情報が必要な事例15件に対し5件(36%)のみであった。徴候の段階で問題と捉えられていないか、気道・呼吸・循環の情報として酸素飽和度や血圧の数値のみので問題なしと評価されている状況が見られた。これらの結果より、変化に気づく力と気道・呼吸・循環の観察力・アセスメント力の不足が明らかとなった
 気道・呼吸・循環に関する従来の教育は集合教育を主体とし、1,2年目を対象としたフィジカルアセスメント研修や、救急看護認定看護師による教育講座などで、いずれも、座学と動画ペーパーペイシェントのアセスメント学習を中心としている。研修は、過去9年間実施されており、教育講座の修了試験を合格できている看護師は、毎年5~15名いる。
 集合教育で学んだ知識は、現場で教育を担う看護師自身が実践できOJTできることで、学ぶ過程にある看護師は不足する情報やアセスメントの指導を繰り返し受けることができ、現場で使えるスキルとなる。本来、気道・呼吸・循環のフィジカルアセスメントは、重症患者のみに実施するものではなく、常にどの患者にも行なうものである。つまり、気道・呼吸・循環のフィジカルアセスメントが現場で使われないのは、日常的に現場で活用でき指導できる看護師がいないことが原因にあると考え、2017年度より、気道・呼吸・循環のフィジカルアセスメント支援のため、救急看護認定看護師が現場に出向いて行うOJTを開始した。OJTでは、各職場の検温において、気道・呼吸・循環の情報収集、異常とそのアセスメント、病態・病期と併せたアセスメントが出来ることを目標とし支援を行ってきた。
 今回、OJT後の看護師の記録や実践報告などから見えたOJTの成果と共に、“気づく力”の育成に対する効果を考察し、皆様と議論出来ればと考える。