第21回日本救急看護学会学術集会

講演情報

シンポジウム

[SY8] 命の危険回避への取り組み―多様な立場からの急変前兆候対応への提案―

2019年10月5日(土) 14:40 〜 16:30 第5会場 (3F 中会議室302)

座長:瀬川 久江((元)独立行政法人 国立病院機構 呉医療センター), 渕本 雅昭(東邦大学医療センター大森病院)

[SY8-3] 外傷看護教育の展望

苑田 裕樹 (日本赤十字九州国際看護大学)

医療の質や成果の向上、医療安全、チーム医療、患者中心のケアという言葉は普段から頻回に耳にするものであり、医療ケア提供者はこれを実践すべく日々努力を重ねている。

「実際に起こったリスク事例を解析してみると、発生までのいくつかの場面で、危険性あるいは何かが起こりそうという“気づき”があったにもかかわらず、さまざまな理由によって個人の気づきが医療チーム全体の反応に反映されなかったことが事例発生に至る大きな要素であったことがわかる」とTeam STEPPSに記されている。つまり、あらゆる職種であっても個人の気づきをチームの気づきに活用し、行動に結びつけること」が重要となる。

 また、それぞれの職種においても近年の医療情勢や社会のニーズを受け、その役割は拡大、変化している。例えば、日本の薬剤師を取り巻く環境は大きく変化し、それに伴い薬剤師業務の在り方も従来の調剤業務だけではなく、臨床現場において患者の状態を的確に判断し、医薬品の適正使用に向けてさらに踏み込んだ介入が求められている。日本病院薬剤師会は、「薬剤師はバイタルサインの確認やフィジカルアセスメントなどにより副作用や有効性を確認することが求められている」という趣旨の解釈が発表された。さらに、厚生労働科学研究の報告を受けて、2014 年 1 月、「薬局の求められる機能とあるべき姿」の薬局の人的機能の中でフィジカルアセスメントの取組みが推奨され、薬剤師によるバイタルサイン測定・フィジカルアセスメントの実践が推進されるようになった。

 今回、多職種への活用における展望と課題について、チーム医療、急変への気づき、役割の変化という観点から考える。