第22回日本救急看護学会学術集会

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教育講演

[EL1] 教育講演1

「今だからこそ考える「人権」」

演者 谷口真由美(大阪芸術大学 客員准教授)

[EL1-01] 今だからこそ考える「人権」

○谷口 真由美1 (1. 大阪芸術大学 客員准教授)

Keywords:人権、社会、コロナ禍、エッセンシャル・ワーカー

人権を専門とし、大学でも授業をするなかで、「人権とは何ですか?」という問いをしたとき、多くの学生は「誰もが生まれながらにして持っている平等な権利」、または「差別のこと」というような答えをすることが多い。
 「あなたにはどんな人権がありますか?」と尋ねると、返答に窮する。また、「人権は大切ですか?」という問いに対しては、「大切だと思うけれど…」と、その後の答えが続かないがほとんどだ。
 Covid-19がもたらしたコロナ禍により、国内外を問わず社会も人々も傷ついている。そのようななかで、エッセンシャル・ワーカーという言葉が周知されつつある。多くは、人を育み、看護し、介助し、介護する活動、つまり誰かをケアする仕事であり、また、その他の農業やごみ処理、清掃や運送業といった仕事などで、いずれも私たちが生きることに密接に関わる不可欠な営み(エッセンシャル・ワーク)である。それはまた、どのような状況下においても不可欠な仕事であり、あまりにも「当たり前」に存在しすぎて、その有難さを感じることが無かったのかもしれないと感じる。
 このような仕事に従事する人々に対する「差別」が、このコロナ禍で表面化した。このことが意味することは、一体何なのか?「人権」はこの社会で、きちんと機能しているのか?そしてエッセンシャル・ワーカーの皆さんの人権とは何か?根源的な問題としての「人権とは何か」について、今だからこそ考えてみたい。