[MS1-04] 小学校教員の「救命教育」拡大へ看護師の関わりと展望
~日本AED財団School部会フォーラムの開催を通して~
キーワード:小学校教員、救命教育、看護師
“救命”のための行動は、大人に限らず子ども含めて現場に居合わせた者が「みんなでやる」「できることをやる」ということが大切である。我が国の子どもに対する救命教育は、学習指導要領に「AEDを含めた救命処置を全ての生徒が実習を通じて“身に付ける”こと」と記載されており、中学校で71.2%、高等学校で81.2%の実施率である(平成27年度実績:文科省調査)。一方で小学校においては学習指導要領に記載がなく、実施率は30.3%にとどまっている。日本AED財団School部会は、小学校からの救命教育推進を目的に、小学校教員による救命教育(胸骨圧迫やAEDの実技を含む)の公開授業とシンポジウムを2018年から開催している。今回、教育委員会を含めた組織的な取り組みを行っていることが評価され、吹田市で『第3回日本AED財団School部会フォーラム(以下、本フォーラム)』を開催することとなった。吹田市のこれまでの取り組みは、平成20年度より中学生への救命教育を開始した。平成24年度から大阪府済生会千里病院が『千里子どもメディカルラリー』を開催し、平成30年度には市が中心となり吹田市スクールプロジェクト支援事業がスタートし、小学校教員による救命教育の公開授業を行った。今回私は“看護師”という立場で本フォーラムの開催に向けた構成員に参画したため、その経験と今後の展望について述べる。
まず授業の準備ではじめに行ったことは「学習指導案」の作成である。学習指導案とは、教員が授業をどのように進めていくかを記載した、学習指導・学習支援の計画書のことである。小学生に対し救命教育を行う際に注意しなければならないことは、“児童の発達段階”を考慮することである。今回の対象は5年生であり、体格から完璧な胸骨圧迫は難しいことを理解し「完璧な胸骨圧迫は求めず、胸骨圧迫の正しい位置・姿勢を学ぶ」、「応援を呼ぶ」、「みんなでやる」ことにポイントを置いた。児童の体格への配慮については、伊藤ら(日本救急医療会誌2018)の研究においても、小学5・6年生に救命処置を指導する教育効果は十分にあるが体格に合わせた配慮が必要であると報告されている。「みんなでやる」については、小グループとなり役割をローテーションさせ、呼びかけからAEDの使用までの一連の流れを協力して行ってもらった。すると胸骨圧迫をしている児童に対し別の児童が応援や励ましの声を掛けたり、胸骨圧迫を頻回に交代し協力しながら継続できていたり、さまざまな場面で連携がみられた。時に救命のための行動はトラウマになることがあるが、今回の「みんなでやる」ということが救命を必要とする現場でのネガティブな感情や経験を軽減してくれることを期待する。
今回の授業は、担任主導で行ってもらった。救命教育は養護教諭や医療従事者でなければできないという先入観が根深く存在するが、国語や算数のように教員によって当たり前に教育される授業として定着してほしいという思いがあった。実際の教員の指導は素晴らしいもので、テンポのいい進行と適度な児童とのやり取りに終始児童の関心が引きつけられていたのが分かった。また児童の性格や特徴を把握しているからこそできるやり取りも見受けられ、担任が行う効果は非常に大きいと感じた。
最後に看護師のかかわる意義として、医学的なアドバイスだけでなく、積極的な働きかけにより救命教育の定着が学校安全に対する意識の改善や向上につながり、それが地域全体の安全や救命意識の向上につながっていくことが期待できる。
まず授業の準備ではじめに行ったことは「学習指導案」の作成である。学習指導案とは、教員が授業をどのように進めていくかを記載した、学習指導・学習支援の計画書のことである。小学生に対し救命教育を行う際に注意しなければならないことは、“児童の発達段階”を考慮することである。今回の対象は5年生であり、体格から完璧な胸骨圧迫は難しいことを理解し「完璧な胸骨圧迫は求めず、胸骨圧迫の正しい位置・姿勢を学ぶ」、「応援を呼ぶ」、「みんなでやる」ことにポイントを置いた。児童の体格への配慮については、伊藤ら(日本救急医療会誌2018)の研究においても、小学5・6年生に救命処置を指導する教育効果は十分にあるが体格に合わせた配慮が必要であると報告されている。「みんなでやる」については、小グループとなり役割をローテーションさせ、呼びかけからAEDの使用までの一連の流れを協力して行ってもらった。すると胸骨圧迫をしている児童に対し別の児童が応援や励ましの声を掛けたり、胸骨圧迫を頻回に交代し協力しながら継続できていたり、さまざまな場面で連携がみられた。時に救命のための行動はトラウマになることがあるが、今回の「みんなでやる」ということが救命を必要とする現場でのネガティブな感情や経験を軽減してくれることを期待する。
今回の授業は、担任主導で行ってもらった。救命教育は養護教諭や医療従事者でなければできないという先入観が根深く存在するが、国語や算数のように教員によって当たり前に教育される授業として定着してほしいという思いがあった。実際の教員の指導は素晴らしいもので、テンポのいい進行と適度な児童とのやり取りに終始児童の関心が引きつけられていたのが分かった。また児童の性格や特徴を把握しているからこそできるやり取りも見受けられ、担任が行う効果は非常に大きいと感じた。
最後に看護師のかかわる意義として、医学的なアドバイスだけでなく、積極的な働きかけにより救命教育の定着が学校安全に対する意識の改善や向上につながり、それが地域全体の安全や救命意識の向上につながっていくことが期待できる。