第22回日本救急看護学会学術集会

講演情報

一般演題

救急外来看護

[O1] 一般演題1

[O1-04] 救急搬送後に帰宅支援が必要な患者の特徴

○大麻 康之1、岡崎 啓1、西浦 明菜1、山口 雅子1、坂本 美紀1 (1. 高知県・高知市病院企業団立 高知医療センター)

キーワード:帰宅支援

はじめに】救急搬送後に帰宅する患者は、「帰宅後のADL低下」「救急外来への再受診リスク」などが高く、救急外来における帰宅時の患者支援のニーズが高まっている。そこで、救急外来看護師が院内外の多職種と連携し統一した支援を行うことができるためのフローチャートを作成し、救急搬送された患者の帰宅支援を開始した。本フローチャートの統計をもとに、救急搬送後に地域での支援が必要となる患者の特徴を報告する。【目的】救急搬送後に帰宅支援が必要となる患者の特徴を報告する。【倫理的配慮】本研究は対象施設臨床研究審査委員会の承認を得た。【方法】期間:2019年7月1日~2020年2月29日 対象者:平日時間内に帰宅となった20歳以上の救急搬送患者 フローチャートの内容:ADL、認知機能、生活支援者の存在、支援者の生活支援力・地域の担当ケアマネージャーの有無の5項目の質問によって支援レベルを決定する。支援レベル1は地域包括支援センターに情報提供を行う。支援レベル2は地域の担当ケアマネージャーに情報提供を行う。支援レベル3・4では救急外来看護師のみの介入となる運用である。 分析方法:フローチャートを活用して、帰宅支援患者の年齢・性別、フローチャートの各項目の情報について、帰宅後に生活困難が予測される支援レベル1・2のみ分析を行った。【結果】全帰宅支援対象患者数は163名であった。そのうち支援レベル1は10名(6.1%)、支援レベル2は11名(6.7%)であった。全帰宅支援対象患者の平均年齢は67.3歳で、支援レベル1は73.2歳、支援レベル2は85.8歳であった。全帰宅支援対象患者の性別の割合は男性50.9%、女性49.1%で、支援レベル1は男性100%(10/10)、女性0%、支援レベル2は男性45.4%(5/11)、女性54.6%(6/11)であった。フローチャートの各項目の情報では、支援レベル1ではADLに問題あり20%(2/10)、認知症の診断あり10%(1/10)、認知機能に看護師の懸念があり80%(8/10)、生活支援者がいない70%(7/10)であった。支援レベル2では、ADLに問題があり81.8%(9/11)、認知症の診断あり63.6%(7/11)、認知機能に看護師の懸念があり36.3%(4/11)、生活支援者がいない9%(1/11)、生活支援力がない100%(10/10)、であった。【考察】支援レベル2は「後期高齢者」「ADL低下あり」「認知症の診断あり」「生活支援者がいる」患者が多いことから早期に社会的支援が開始されている可能性が高い。一方で、支援レベル1は「認知機能に看護師の懸念」がありながらも、「前期高齢者」「ADL自立」「認知症の診断がされていない」「生活支援者がいない」患者が多いことから周囲に気づかれにくく社会的支援につなげれていない可能性が考えられる。支援レベル1は「認知機能に看護師の懸念」が問題となった症例が多いことから、看護師の懸念によって帰宅後の生活困難を予測し何らかの地域での支援の調整が必要な対象者という事が考えられる。【結論】帰宅後に地域での支援が入っていない支援レベル1は、前期高齢者が多く全て男性で、「ADL自立」しており「認知症の診断はされていないが認知機能に看護師の懸念があり」「生活支援者がいない」患者が多かった。既に地域の支援が入っている支援レベル2は、後期高齢者が多く男女差はなく、「ADL低下あり」「認知症の診断を受けている」患者が多い一方で、「生活支援者がいる」が「生活支援力に問題がある」患者が多かった。