第22回日本救急看護学会学術集会

講演情報

一般演題

救急外来看護

[O1] 一般演題1

[O1-07] 休日・夜間救急外来業務に携わる看護師の思いと必要とされる支援

○渡邉 浩子1、立原 美穂1 (1. 水戸赤十字病院)

キーワード:救急外来業務、不安、やりがい、支援

【目的】A病院の休日・夜間救急外来に携わる看護師の業務に対する思いを明らかにし、必要とされる支援を検討する。
【方法】1.調査期間:2019年8月~9月。2.調査対象者:A病院の休日・夜間救急外来業務(以下、救急外来業務)に携わる看護師29名中、救急外来業務経験が1年以上。かつ、同意が得られた中から一元化看護師と一元化看護師以外に分け、乱数表により無作為に各3名を抽出した計6名の看護師。3.用語の定義:思いとは休日・夜間救急外来業務に対する感情、考え、望みとする。4.調査方法:半構成的面接を行い、質的分析によって分析。インタビューガイドを用いて、①救急外来業務での困難と感じた状況はあるか②その困難はどのように乗り越えたのか③困難を乗り越えられなかった場合にどのような思いが残ったのか④どのような支援があれば乗り越えられたのか⑤成功体験と成功につながった理由は何か、救急外来業務について自由に語ってもらい、語りの状況に応じて追加、展開する。対象者の属性は、インタビュー時に看護師経験年数、救急外来経験年数を含め質問する。インタビュー時間は30分程度とする。5.分析方法:インタビューで得られたデータから逐語録を作成し、ポジティブな要素、ネガティブな要素、必要とされる支援について抽出。その後、共通性や類似性で分類し、サブカテゴリー、カテゴリー化し分析した。分析過程は研究者間で協議を重ね、スーパーバイザーの指導の下で妥当性の確保に努めた。
【倫理的配慮】A病院看護部看護研究倫理審査委員会の承認を得た。研究対象者には個人情報保護の徹底、協力の有無によって不利益が生ないことを説明し、同意書の記載をもって同意を得た。
【結果】インタビューは6名に実施し、インタビュー平均時間は27.5分だった。看護師経験平均年数は19年、救急外来業務経験平均年数は3年だった。ポジティブな要素は、《経験による業務への自信》《業務のやりがい・達成感》などから【知識・技術の向上に伴った自信】、《自己学習・事前学習に備える》から【業務遂行のための努力】が得られた。ネガティブな要素は、《未経験による不安・戸惑い》《知識不足による喪失感》《トリアージに対する不安》などから【知識・技術に対する不安】、《看護の理想とのギャップによるジレンマ》《看護師として適切な行動を期待されることでのプレッシャー》から【理想と現実の相違】、《1人で業務を行うことへの不安》から【勤務体制に対する不安】が得られた。必要とされる支援は、《マニュアル充実の必要性》《連携体制の充実》《勤務体制の整備》《教育体制の整備》などから【働きやすい環境の整備】が得られた。
【考察】中井ら(2014)は、「独立型救命救急センターに勤務する看護師は、救急医療を必要とする患者の看護ケアを通して患者を救命し回復の兆しを確認することや自身の役割発揮や知識の獲得などの体験を通してやりがいを実感していた」と述べており、対象者も臨床看護師経験と救急外来業務経験から【知識・技術に伴った自信】を獲得でき、ポジティブな思いを感じていることが明らかになった。また対象者は、ネガティブ要素を語っているが、救急外来業務に対して、多くのやりがいや達成感を感じており、【業務遂行のための努力】を行い、ポジティブな思いとネガティブな思いのバランスを保っていることが、モチベーションを維持する要因となっていた。必要とされる支援として、【働きやすい環境の整備】が見出されたが、特に、実際の状況をイメージできる場や体験できる場の必要性を感じていた。