[O1-21] わが国の救急外来における救急電話相談応対に関する文献検討
Keywords:救急看護師、救急外来、救急電話相談
【目的】本研究は、わが国の救急外来における救急電話相談に関する研究動向と課題を明らかにした上で、救急看護師の救急電話相談能力の強化を支援するシミュレーション教育プログラムの示唆を得ることを目的とする。
【方法】国によって救急医療体制や看護師の裁量権が異なるため、救急外来における救急電話相談の応対に影響を与えていると考え、対象文献は国内文献のみとした。文献検索は、医学中央雑誌Web版およびCiNiiを用いて、原著論文に限定せず事例報告や実践報告を含め、キーワードは、「救急看護師」「シミュレーション」「救急外来」「救急電話相談」「電話トリアージ」「電話」「実践」「相談」「役割」として、各キーワードをAND検索した。収載誌発行年については、シミュレーション教育の実践や研究が国際的に支持されている米国のSociety for Simulation in Healthcareが設立された2005年以降から2019年で検索を実施した。そのうち、救急外来における救急看護師の救急電話相談の応対を検討する文献として内容を確認し、21件を分析対象とした。
【結果】研究対象施設の救急医療体制別では、第二次救急医療機関が4件、第三次救急医療機関が2件、初期救急医療から第三次救急医療までを受け入れる全次型救急医療機関が3件、多施設が1件で、不明が11件であった。対象別では、看護師13件、医師と看護師1件、救急外来責任者1件、保護者1件、受診後の転帰1件、電話相談用紙4件であった。研究デザイン別では、質的研究デザインが4件、量的研究デザインが17件うち6件が介入前後を比較したものであった。課題として、勉強会や研修会などの教育機会の確保が14件、トリアージマニュアルの作成や改良が10件、医師からのサポート体制が2件、救急電話相談専任看護師の配置が1件挙げられていた。
【考察】わが国における病院前緊急度判断システムが機能するためには、救急電話相談の応対に頻繁にかかわる救急看護師が、救急医療システムの始まりにおいて、患者の緊急度・重症度を判断し、個々の状況に応じたケアや治療を受けられる適切なアドバイスを提供することが求められる。大半の救急患者の対応を担っている初期・二次救急外来には医師が常在しないことも多く、救急外来における患者や家族からの救急電話相談の応対は、看護師の判断や実践力に委ねられている部分が多い。救急電話相談に応対するのは一般スタッフの看護師が最も多く、救急電話相談に応対することに不安やストレスを感じ、看護師が緊急性を判断することに疑問を抱いていることも少なくない。救急外来における救急電話相談に応対する能力獲得の支援や教育の機会が不十分であることを鑑み、救急電話相談応対能力を効率よく効果的に獲得できるだけではなく、救急電話相談応対の基盤となる能力を獲得する標準的教育プログラムとして、救急看護師の救急電話相談応対能力の強化を支援するシミュレーション教育プログラムの開発が喫緊の課題であると考えられた。
本研究は、文部科学省科学研究費補助金基盤研究(C)助成研究(課題番号19K10883)の一部である。
【方法】国によって救急医療体制や看護師の裁量権が異なるため、救急外来における救急電話相談の応対に影響を与えていると考え、対象文献は国内文献のみとした。文献検索は、医学中央雑誌Web版およびCiNiiを用いて、原著論文に限定せず事例報告や実践報告を含め、キーワードは、「救急看護師」「シミュレーション」「救急外来」「救急電話相談」「電話トリアージ」「電話」「実践」「相談」「役割」として、各キーワードをAND検索した。収載誌発行年については、シミュレーション教育の実践や研究が国際的に支持されている米国のSociety for Simulation in Healthcareが設立された2005年以降から2019年で検索を実施した。そのうち、救急外来における救急看護師の救急電話相談の応対を検討する文献として内容を確認し、21件を分析対象とした。
【結果】研究対象施設の救急医療体制別では、第二次救急医療機関が4件、第三次救急医療機関が2件、初期救急医療から第三次救急医療までを受け入れる全次型救急医療機関が3件、多施設が1件で、不明が11件であった。対象別では、看護師13件、医師と看護師1件、救急外来責任者1件、保護者1件、受診後の転帰1件、電話相談用紙4件であった。研究デザイン別では、質的研究デザインが4件、量的研究デザインが17件うち6件が介入前後を比較したものであった。課題として、勉強会や研修会などの教育機会の確保が14件、トリアージマニュアルの作成や改良が10件、医師からのサポート体制が2件、救急電話相談専任看護師の配置が1件挙げられていた。
【考察】わが国における病院前緊急度判断システムが機能するためには、救急電話相談の応対に頻繁にかかわる救急看護師が、救急医療システムの始まりにおいて、患者の緊急度・重症度を判断し、個々の状況に応じたケアや治療を受けられる適切なアドバイスを提供することが求められる。大半の救急患者の対応を担っている初期・二次救急外来には医師が常在しないことも多く、救急外来における患者や家族からの救急電話相談の応対は、看護師の判断や実践力に委ねられている部分が多い。救急電話相談に応対するのは一般スタッフの看護師が最も多く、救急電話相談に応対することに不安やストレスを感じ、看護師が緊急性を判断することに疑問を抱いていることも少なくない。救急外来における救急電話相談に応対する能力獲得の支援や教育の機会が不十分であることを鑑み、救急電話相談応対能力を効率よく効果的に獲得できるだけではなく、救急電話相談応対の基盤となる能力を獲得する標準的教育プログラムとして、救急看護師の救急電話相談応対能力の強化を支援するシミュレーション教育プログラムの開発が喫緊の課題であると考えられた。
本研究は、文部科学省科学研究費補助金基盤研究(C)助成研究(課題番号19K10883)の一部である。