[O1-23] A病院の救急外来で勤務する病院内救急救命士の思い
Keywords:救急外来、病院内救急救命士
【はじめに】救急救命士(以下,救命士と略す)は、救急患者の救命率向上を目的に,自治1991年に救急隊員に医療行為ができるように定めた国家資格であり、救命士法第四十四条二項により救命士の業務場所が救急車内に制限されているため、法律上、その活躍の場は医療機関ではなく病院前救護に限られている。 全国救急救命士養成施設から卒業する学生は、年間1200名前後で、40%は救急救命士として警備 会社・病院などに就職している。A病院には、2018年より救命士が入職し、現在6名の救命士が在籍している。業務内容は、患者搬送や検体提出などの医療業務やDrカー・転院搬送などの緊急車両業務、救急外来受付や会計事務などの事務業務を担っている。しかし、本来に責務である救急患者の救命率向上を目的とした業務内容とは考えにくい。今回、病院内で働く救命士に、病院内で働く思いを明確にすることで、病院内救急救命士の今後取り組む内容の示唆が得られるのではないかと考えた。【目的】病院内で働く救命士が、抱いている思いを明らかにする。 【倫理的配慮】研究の趣旨を口頭で説明し同意を得て匿名性に配慮した。また、A病院の看護部の承認を得て実施した。【方法】質問のテーマを「やりがい」「役割」「救命士がいることの効果」とし個別に30分のフォーカスインタビューを実施した。【結果】「やりがい」については、「病院前しか知らなかったことが救急外来内での処置や治療、入院などその後の経過を知ることができる」や「患者さんとの接する時間、期間が持てることが良い」などの意見が見られたが、一方で「正直わからない」などの意見もあった。「役割」では「診療・処置介助の準備」などが聞かれ、「救命士がいることの効果」では「質の高い転院搬送が行えること」などが聞かれたが、多くの救命士がわからないと答えていた。【考察】病院内の治療や経過を知ることはやりがいと感じる一方、やりがいを見出せないでいる救命士もおり、その理由としては、緊急搬送という役割はあるものの、病院内における役割、効果が明確にされていないことが考えられる。これら役割の明確化、それを行うために取り組みが病院内に働く救命士自身の満足度の向上と救急外来を主とした病院内の質率向上につながるのではないかと考える。【結語】病院内における救命士の役割を明確にし、そのための取り組みを行うことが必要である。