第22回日本救急看護学会学術集会

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一般演題

COVID-19

[O10] 一般演題10

[O10-01] ERでの接触者外来患者の受け入れ体制の検討~対策集積シートを用いた取り組み

○中村 惠子1 (1. 社会医療法人財団慈泉会相澤病院救命救急センター)

Keywords:新型コロナウイルス、接触者外来

1.はじめに

 A病院は、感染症指定医療機関ではない。が、この度の新型コロナウイルス(以下コロナ)のパンデミックで、帰国者・接触者外来を開設した。真弓らは、救急外来を担う者は、感染への対処に精通している必要があると述べている。A病院救命救急センター(以下ER)にも、SARS発生当時に外部換気室を2部屋整備してはあった。しかし、受け入れは訓練でしか行っておらず、今回、実際に受け入れ始めてから、様々な問題点が出現した。不慣れなERメンバーが、接触者外来での患者受け入れに取り組んだ経過を報告する。

2.目的

 不慣れな受け入れに持ち上がる様々な問題に対し、役立ったのがコロナ対策集積シートであった。その取り組みを報告する。

3.倫理的配慮 

 本内容は当院倫理委員会の承認を得た。

4.方法

 実際に受け入れを開始したものの、疾患そのものの病態が分からないままで、日々様々な問題が持ち上がった。もしかしたら空気感染か等々の、情報が錯綜する中、画像検査に案内する時のPPEは?どの時点で脱着?使用後のリネン類、使用した機械類の処理方法は?検体はどう運ぶ?物品は何を置く?などの細々とした問題点に、ER看護科長、同主任、感染対策員、医師らがそれぞれに対応し、収集が付かない状況に落ちかねなかった。そこで、毎日、専任の看護師を配置し、「コロナ対策集積シート」を当ER主任が発案作成し、困った点や良かった点、こうした方がいいといった何でも記入するよう周知した。

5.結果

受診者数は2/27~5/20現在218名。1例目の受け入れは、接触者外来開設前に突発的に発生し、夜間でもあったこともあり、大変な混乱を来した。ゾーニングの徹底や個人防護具(以下PPE)の着脱方法、物品の取り扱い等全てにおいて、今振り返ると杜撰すぎる方法で対応していた。翌日、取り急ぎ、直接外部との交通ができる1室を軽症用として、入退室ゾーニング、患者動線、画像検査動線を考慮した経路を決定した。
集積したシートを基に、4日目、7日目、15日目の受け入れを実施したところで、ERセンター長、看護科長、看護科主任、集中ケア病棟主任、感染対策室室長等で、それらの対策について話し合いの場を持った。感染曝露がなく、且つ現場のスタッフが一番対応しやすいように、ER全体で、接触者外来の対応手順を構築していった。1か月後、その手順を更にブラッシュアップする場を設け、細部まで全スタッフに周知し運営を軌道に乗せていった。

6.考察

抗酸菌検査を扱うことは多々ある。が、それとは全くレベルの違う感染予防策を講じなくてはならないと痛感した。救急現場は重症患者が多く受診し、そこでの感染被曝はその後の予後を左右し得ることから救急部門での感染管理は大きな課題である。救急外来を担う者は感染に精通していなければならないとはいえ、不慣れな当ERにとってこういった機会は貴重な経験で財産となった。混乱した背景には、情報の錯綜、集積の仕方、指示命令系統の煩雑化等様々な理由が考えられる。しかし、統一した見解や指示を待っていては、現場の危機回避には間に合わない。そんな中、模索しながらも、現場のスタッフが日々困る点を自己の持つ感染対策の知識をフル活用し、その時点で出来うる限りの対策を講じていった経過がこの集積シートから読み取れる。混乱する現場では、いいチーム医療は提供できず、最終的に患者が不利益を被る。現在もこのシートは日々活用され、この感染症に向き合っている。