第22回日本救急看護学会学術集会

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一般演題

COVID-19

[O10] 一般演題10

[O10-05] COVID-19患者エアロゾル回避のための頭位被覆BOX作成

○生田 正美1、濱田 幸一1 (1. 神奈川県立足柄上病院)

Keywords:COVID-19  、頭位被覆BOX、口鼻腔吸引

Ⅰ 目的

世界各地でCOVID-19感染が猛威を振るい、本邦においてもその対策が必要とされている。神奈川県はCOVID-19患者の治療に対応できる病床を確実に確保する神奈川モデルを打ち出し、A病院は重点医療機関に指定された。重点医療機関の使命は、COVID-19患者の中等症患者を受け入れ治療することである。

COVID-19患者の感染は、飛沫感染、接触感染であり、特にエアロゾルの発生によって感染が伝播すると言われている。そこで、医療従事者への感染を防止する目的に、吸引操作が必要な場合に、感染リスク軽減のため、身近にある段ボール箱やラミネートパウチ、ビニール袋を使用した患者の頭部を被覆可能な防護具を考案し作製した。

Ⅱ 倫理的配慮

A病院倫理審査会の承認を得て実施した。

Ⅲ 研究方法

2020年5月1日~5月23日の期間、COVID-19感染にて中等症で入院し、口鼻腔吸引処置が必要になった患者9名に対し使用した。

頭位被覆BOXは、頭部被覆が可能な程度の段ボール箱1つを用い、患者体側を開窓し、ビニール袋で二重カーテンを作成した 。被覆した時、患者の顔前面に当たる部分を透明ラミネートパウチで覆い、患者を観察可能にした。

この頭部被覆BOXをCOVID-19患者に口鼻腔吸引処置が必要になった際に用いた様子を検証した。

Ⅳ 結果

口鼻腔吸引が必要なCOVID-19患者に口鼻腔吸引用頭位被覆BOXを装着し、患者体側のビニールカーテンから医療者が手を挿入し、看護師Aが患者の顔が動かないように固定、看護師Bが吸引を実施した。頭位被覆BOXを装着しての口鼻腔吸引処置は、医療従事者にとって手順が増え、操作が複雑になるが、吸引時に患者が咳嗽を誘発されても、頭位被覆BOXでエアロゾルの飛沫飛散を予防できた。

Ⅴ 考察

 COVID-19患者のエアロゾルが大量に飛散散布する可能性がある処置に対して、感染から医療従事者を守る目的で作成した。頭位被覆BOXはアクリル板のものがすでに販売されているが、本研究で作成した頭位被覆BOXは、段ボール箱やラミネートパウチ、ビニール袋等、日ごろから身近にある材料で作成でき、手軽に、短時間で作成可能で安価である。さらに使用後の廃棄が簡便であることが利点として挙げられる。

この頭位被覆BOXは、新規購入せず手軽に調達可能な資機材を用いることが可能であり、ライフライン停止を伴うような多重災害時にも応用可能と思われる。

患者体側から看護師二名が手を挿入し、患者の顔を固定し、吸引操作を行っているが、患者の両側に吸引操作をする手の挿入口があると操作しやすいとの意見も得られ、今後はより操作しやすい高さや幅、手の挿入口などを再検討し、さらに使用しやすく、かつ感染防止に役立つものに改良していきたいと考える。

さらに、吸引処置にとどまらず、心肺蘇生時の胸骨圧迫、気管挿管時などエアロゾルが大量に飛散散布する可能性がある処置に対して活用できると考える。

Ⅵ 結語

患者頭部を覆う形の防護具を装着し、生じたエアロゾルへの曝露を物理的に防ぐことができた。