第22回日本救急看護学会学術集会

Presentation information

一般演題

COVID-19

[O10] 一般演題10

[O10-10] クラスター発生後のER再開に向けての取り組み

○山田 清也1、田畑 智輝1、渡壁 忍1、井藤 裕之1 (1. 福岡記念病院)

Keywords:COVID-19

はじめに
A病院は、2020年4月4日職員より新型コロナウィルス感染症(以下COVID-19)が発生。その後、保健所指導のもと外来休止、救急搬送受入れ休止となる。COVID-19の対応、他施設からのCOVID-19受入れ対応、クラスター発生など初めての経験をした。5月18日より通常外来の再開、救急診療及び入院受入れ等の再開の方針が打ち出された。再開に向けERでは、院内感染を起こさないことを目標にマニュアル作成、シミュレーションを実施した。救急搬送休止からER再開に向けた取り組みについて、ERスタッフに対して質問紙調査を実施し、現状と今後の課題について検討する。
研究目的
ER再開後スタッフへ質問紙調査を行い、現状と今後の課題を見出す。
方法
1.ER再開に向けたシミュレーションの実施
2.ER再開後スタッフに対しての質問紙調査
対象
ERスタッフ14名
期間
1.シミュレーション期間:5月11日~15日
2.質問紙調査期間:6月23日~27日
倫理的配慮
質問紙調査は、回答にて同意を得たものとし、本研究のみで使用、個人が特定されないよう配慮し、院内倫理委員会で承認を得られた。
結果
質問紙調査は14名に配布、10名より回答があった。シミュレーションは5日間で8回実施した。スタッフ含めER当直をする医師、研修医をはじめ入院先となる病棟、検査部門の放射線科、受付対応の医事課など様々な部署からの参加があった。
手指消毒やPPE選択、着脱方法、チェックリスト活用について、出来ていないと回答する者はいなかった。患者受け入れ後の清掃チェックリスト活用が出来ていない者は4名であった。マニュアルの活用が出来ていないと回答した者が多かった。シミュレーションについては良かったと回答した者が多かった。しかし、少数意見だが「やり方に疑問を持った」「休日、時間外での参加はきつかった」等の記載もあった。ERスタッフからCOVID-19は認めず、ER再開後、クラスター発生はない。
考察
手指消毒については、質問紙の「意識するようになった」「心がけている」等の記載からもCOVID-19対応を経験し、感染に対する意識が変わってきたのではないかと考えられる。PPEに関しては、シミュレーションで実際にPPEの着脱を行い、意見のもとチェックリストを作成した。これらのこともチェックリスト活用に繋がっていると思われる。今回、COVID-19の対応を行い、感染の知識や技術を再学習する機会が増えた。PPE着脱を実際に行うシミュレーションの実施もスタッフの意識を変える一助になったのではないかと考える。しかし、質問紙の「Wチェックが出来ていない」「忙しい時に出来ていない」等の意見もあり、救急車同時搬入や多数患者対応の際にPPE着脱方法のチェックリスト活用が出来ていないことがある。これはPPE着脱不備により罹患率上昇も懸念されるため、PPE着脱の時間短縮、人員補充など多忙に対する対策について院内全体で検討していく必要があると思われる。
結論
今回のクラスター発生、取り組みで感染に対して意識は変わったが、多忙の際にチェックリスト活用が出来ていない。
シミュレーションは実施して良かったが、内容や実施時間など検討が必要である。
今後の課題
感染に対する意識を継続していくためにも引き続き取り組みしていく必要があり、多忙の際の対策を院内全体で検討していく。
シミュレーション方法や内容について検討し、継続した開催を行っていく。
以上のことを検討していく事が今後の課題である。