[O10-11] A病院救命救急センターにおけるCOVID-19対応の現状―CBRNE災害対応からみた一考察―
キーワード:COVID-19、CBRNE
【目的】
A病院救命救急センター(以下、救命センター)における、COVID-19患者(以下、COVID)受入れ準備を行う過程で生じた問題やCOVID疑い対応時に生じた問題を明らかにし、課題解決のための取り組みについて報告する。
【方法】
1)2020年2~4月中のCOVIDに関する国内情勢と地域情勢、A病院内の対応状況を比較し、救命センター内で生じた問題を抽出。
2)抽出した問題点を踏まえ、救急外来において課題解決のために実践した取り組みについてCBRNE災害対応からみた視点を元に、救急看護認定看護師として取り組んだことを報告する。
【倫理的配慮】
A病院所属上長及び対象者の承認を得て実施した。
【結果】
2020/2/1に厚生労働省より「帰国者・接触者外来」の設置について通達があった。これを受け、院内の感染管理部門では屋外に最も近い救命センター内の汚染除去室に「帰国者・接触者外来」を設置した。幸い受診する者はほとんどいなかったが、救急外来における具体的な感染防護策やゾーニングの実施は不十分であった。3/22頃より週5名を超える保健所紹介患者が来院してきたこともあり、当救命センターに所属する救急看護認定看護師と院内CBRNE災害即応チーム(以下、CBRNEチーム)、一部救命センター看護師とともに救急外来WGを立ち上げた。感染症専門医の協力のもと、救急外来での感染管理、ゾーニング設定、防護服の選定、検査・入院時の導線、受付時の対応などCOVID対応について検討した。院内の感染症専門医より、COVIDに最も接触する可能性の高い救急外来看護師向けに、救急外来で行うべき行動フローチャート(以下、行動フロー)が4/1に周知・展開された。また、感染症専門医が作成した行動フローの原案をもとに改編版を作成した。同日中には、CBRNEチームから資機材の貸出やB(Biological)災害に対応するための情報共有を行った。病院中枢部への組織的な対応については、災害対策の明確化(本部設置など)や対応について提案をし、同時にCOVID疑いを拾い上げるためにレッドゾーンも設置した。4/16には行動フローVer.2を作成し、感染症専門医と各学会のガイドライン、県内情勢や救急外来看護師からの意見をもとに、救急外来看護師が安全に救急医療・看護が提供できるようにするための環境を整備した。
【考察】
COVID-19は、どの医療機関においても手探りでの対応を迫られている状況にある。また、世界規模で急速に起きていることを考慮すると、明らかに“災害級”であることを念頭に置いて対応する必要がある。2002年に重症急性呼吸器症候群(SARS)が発生した際は、日本医師会感染症危機管理対策室等が対応指針を発表し、B災害としての対応の必要性が示唆された。今回のCOVID対応に関しては、CBRNE災害という共通認識のもとで、具体的な準備の提案や運用の検討を考慮する必要があったと考える。災害対応にした場合は災害対策本部が設置され、全体像の把握を行うことで救援需要の把握ができ、包括的な管理下のもとで対応を行うことができる。また、院内だけでなく周辺地域や医師会、医療圏内の各施設との調整や連携など多くの役割を担うことができる。原因不明の感染症が発生し、蔓延が危惧された時点での早期対応策の検討が重要といえる。救急外来のような、感冒症状等で来院する可能性の高い患者を受け入れる部署では、組織的な体制作りを行うべきであったと考える。災害というスイッチをより早期に入れ、CBRNE災害対応としての体制整備を今後も続けていく必要がある。
A病院救命救急センター(以下、救命センター)における、COVID-19患者(以下、COVID)受入れ準備を行う過程で生じた問題やCOVID疑い対応時に生じた問題を明らかにし、課題解決のための取り組みについて報告する。
【方法】
1)2020年2~4月中のCOVIDに関する国内情勢と地域情勢、A病院内の対応状況を比較し、救命センター内で生じた問題を抽出。
2)抽出した問題点を踏まえ、救急外来において課題解決のために実践した取り組みについてCBRNE災害対応からみた視点を元に、救急看護認定看護師として取り組んだことを報告する。
【倫理的配慮】
A病院所属上長及び対象者の承認を得て実施した。
【結果】
2020/2/1に厚生労働省より「帰国者・接触者外来」の設置について通達があった。これを受け、院内の感染管理部門では屋外に最も近い救命センター内の汚染除去室に「帰国者・接触者外来」を設置した。幸い受診する者はほとんどいなかったが、救急外来における具体的な感染防護策やゾーニングの実施は不十分であった。3/22頃より週5名を超える保健所紹介患者が来院してきたこともあり、当救命センターに所属する救急看護認定看護師と院内CBRNE災害即応チーム(以下、CBRNEチーム)、一部救命センター看護師とともに救急外来WGを立ち上げた。感染症専門医の協力のもと、救急外来での感染管理、ゾーニング設定、防護服の選定、検査・入院時の導線、受付時の対応などCOVID対応について検討した。院内の感染症専門医より、COVIDに最も接触する可能性の高い救急外来看護師向けに、救急外来で行うべき行動フローチャート(以下、行動フロー)が4/1に周知・展開された。また、感染症専門医が作成した行動フローの原案をもとに改編版を作成した。同日中には、CBRNEチームから資機材の貸出やB(Biological)災害に対応するための情報共有を行った。病院中枢部への組織的な対応については、災害対策の明確化(本部設置など)や対応について提案をし、同時にCOVID疑いを拾い上げるためにレッドゾーンも設置した。4/16には行動フローVer.2を作成し、感染症専門医と各学会のガイドライン、県内情勢や救急外来看護師からの意見をもとに、救急外来看護師が安全に救急医療・看護が提供できるようにするための環境を整備した。
【考察】
COVID-19は、どの医療機関においても手探りでの対応を迫られている状況にある。また、世界規模で急速に起きていることを考慮すると、明らかに“災害級”であることを念頭に置いて対応する必要がある。2002年に重症急性呼吸器症候群(SARS)が発生した際は、日本医師会感染症危機管理対策室等が対応指針を発表し、B災害としての対応の必要性が示唆された。今回のCOVID対応に関しては、CBRNE災害という共通認識のもとで、具体的な準備の提案や運用の検討を考慮する必要があったと考える。災害対応にした場合は災害対策本部が設置され、全体像の把握を行うことで救援需要の把握ができ、包括的な管理下のもとで対応を行うことができる。また、院内だけでなく周辺地域や医師会、医療圏内の各施設との調整や連携など多くの役割を担うことができる。原因不明の感染症が発生し、蔓延が危惧された時点での早期対応策の検討が重要といえる。救急外来のような、感冒症状等で来院する可能性の高い患者を受け入れる部署では、組織的な体制作りを行うべきであったと考える。災害というスイッチをより早期に入れ、CBRNE災害対応としての体制整備を今後も続けていく必要がある。