[O10-12] 緊急事態宣言下にあった急性期看護学実習の一試み
Keywords:急性期看護実習、遠隔実習、学習効果
【目的】
2020年に入り、新型コロナウイルス感染症が国内外に急速に蔓延し、4月には我国は緊急事態宣言を表明される事態となった。そのことに伴い本学においても休校措置が取られ、看護系大学の臨地実習においても実施困難な状況となった。この現状の中、文科省・厚労省より実習内容についての対応が示され、各校はこれまでの臨地実習に変わる実習内容や方法について検討を重ね、現在も感染拡大防止を徹底し実施している状況にある。我々が行っている急性期看護学実習(以下急性期実習)も臨地実習の変更となった遠隔実習を5月から取り組んできた。今回、遠隔実習について学生の学びを踏まえた学習効果について検討したので、その内容を報告する。
【対象・方法】
本演題は所属長の承認を得たものである。遠隔実習対象学生は、A大学4年次の13名(1グループ6~7名)で、実習期間は3週間である。実習方法は、実習初日に全学生を対象に情報通信技術「MicrosoftTeams(以下Teamsとする)」を活用し、各学生の自宅のパソコンと大学側をつなぎ、事前に配信していたガイダンス資料を用いて、教員から遠隔実習の詳細説明を実施した。3週間の実習期間のうち、前半2週間は、①事例患者の看護過程の展開(病棟実習の診療科の特徴をふまえた周手術期の経過を辿る患者の事例を提示(教員作成)、②視聴覚教材2種類(周手術期の映像教材・看護教材を動画とEラーニングで確認・習得するオンラインツール)を、スケジュールと併せて学生に説明した。実習記録は自己の学習内容を記載し、翌日に提出してもらい学習内容を評価した。後半1週間は、実習目標に関するレポート課題を2つ提示した。1つはこれまでの実習で学生が取り上げてきた複数の「周手術期看護を実施するために学習を深めたいテーマ」の中からグループで1つ選択し、そのテーマについて文献を用いて学習し、Teamsを用いてカンファレンスを実施した。その後レポートにまとめることとした。2つ目は事例患者を通して急性期実習でのリスクマネジメントの視点を考えることとした。実習期間中の報告及び指導は、時間を定め(2回/日)、報告時間以外にも記録の記載方法、看護過程の展開などの個人指導、およびグループ指導を実施した。
【結果・考察】
前半の2週間は、提示した事例患者の看護過程を期間中に展開できていた。全体像の作成ではTeamsを用いて指導した後、作成途中のものを提出してもらい、教員で内容を確認し指導を数回繰り返しながら、全員が全体像を完成することができていた。看護計画の立案は、注意点を説明し、学生の進捗状況に応じてより丁寧な個人指導が必要であった。遠隔による指導は、学生によっては教員からの指導内容が理解できにくいこと、教員側の伝達内容の不明確さなどが原因で、結果として看護過程の理解は教員側としては十分と感じられない学生もいた。事例患者の展開では、遠隔実習という面に加え、教員側、学生側の要因も相まって、十分な理解につながった部分とそうでない部分があったと考えられる。視聴覚教材での学習では、学生からは「自分のペースでじっくり内容を学習することができた」「臨床とは違い、丁寧な説明や解説があることで、理解につながった」などの意見があった。
今回の遠隔実習では実際に体験することができず学習効果の低下をもたらした可能性も考えられるが、事例患者の学習を机上学習、レポート課題を実施し、視聴覚教材では自己ペースで十分な説明を聞きながら学習することで、学生個々の学習面での学びはあったと考えられた。
2020年に入り、新型コロナウイルス感染症が国内外に急速に蔓延し、4月には我国は緊急事態宣言を表明される事態となった。そのことに伴い本学においても休校措置が取られ、看護系大学の臨地実習においても実施困難な状況となった。この現状の中、文科省・厚労省より実習内容についての対応が示され、各校はこれまでの臨地実習に変わる実習内容や方法について検討を重ね、現在も感染拡大防止を徹底し実施している状況にある。我々が行っている急性期看護学実習(以下急性期実習)も臨地実習の変更となった遠隔実習を5月から取り組んできた。今回、遠隔実習について学生の学びを踏まえた学習効果について検討したので、その内容を報告する。
【対象・方法】
本演題は所属長の承認を得たものである。遠隔実習対象学生は、A大学4年次の13名(1グループ6~7名)で、実習期間は3週間である。実習方法は、実習初日に全学生を対象に情報通信技術「MicrosoftTeams(以下Teamsとする)」を活用し、各学生の自宅のパソコンと大学側をつなぎ、事前に配信していたガイダンス資料を用いて、教員から遠隔実習の詳細説明を実施した。3週間の実習期間のうち、前半2週間は、①事例患者の看護過程の展開(病棟実習の診療科の特徴をふまえた周手術期の経過を辿る患者の事例を提示(教員作成)、②視聴覚教材2種類(周手術期の映像教材・看護教材を動画とEラーニングで確認・習得するオンラインツール)を、スケジュールと併せて学生に説明した。実習記録は自己の学習内容を記載し、翌日に提出してもらい学習内容を評価した。後半1週間は、実習目標に関するレポート課題を2つ提示した。1つはこれまでの実習で学生が取り上げてきた複数の「周手術期看護を実施するために学習を深めたいテーマ」の中からグループで1つ選択し、そのテーマについて文献を用いて学習し、Teamsを用いてカンファレンスを実施した。その後レポートにまとめることとした。2つ目は事例患者を通して急性期実習でのリスクマネジメントの視点を考えることとした。実習期間中の報告及び指導は、時間を定め(2回/日)、報告時間以外にも記録の記載方法、看護過程の展開などの個人指導、およびグループ指導を実施した。
【結果・考察】
前半の2週間は、提示した事例患者の看護過程を期間中に展開できていた。全体像の作成ではTeamsを用いて指導した後、作成途中のものを提出してもらい、教員で内容を確認し指導を数回繰り返しながら、全員が全体像を完成することができていた。看護計画の立案は、注意点を説明し、学生の進捗状況に応じてより丁寧な個人指導が必要であった。遠隔による指導は、学生によっては教員からの指導内容が理解できにくいこと、教員側の伝達内容の不明確さなどが原因で、結果として看護過程の理解は教員側としては十分と感じられない学生もいた。事例患者の展開では、遠隔実習という面に加え、教員側、学生側の要因も相まって、十分な理解につながった部分とそうでない部分があったと考えられる。視聴覚教材での学習では、学生からは「自分のペースでじっくり内容を学習することができた」「臨床とは違い、丁寧な説明や解説があることで、理解につながった」などの意見があった。
今回の遠隔実習では実際に体験することができず学習効果の低下をもたらした可能性も考えられるが、事例患者の学習を机上学習、レポート課題を実施し、視聴覚教材では自己ペースで十分な説明を聞きながら学習することで、学生個々の学習面での学びはあったと考えられた。