[O11-01] 特定機能病院に勤務する看護師のRRS要請を躊躇してしまう原因とその特徴
Keywords:RRS、看護師の認識
【はじめに】
A病院は39診療科778床を有する特定機能病院であり、2015年6月から院内急変対応システム(Rapid Response System:RRSと略す) の運用が開始された。先行研究において、A病院における起動要請になった患者の急性患者重症度判定National Early Warning Score(NEWS、0-20点)は平均9.5点とハイリスク群に属しており、63%の症例でRRS起動前にバイタルサインの観察頻度を意図的に増やしていた。つまり看護師は患者の状態変化に気づきながらもRRS起動が何らかの要因により遅れている可能性が高いことが示唆された。RRSの構築において、患者の傍で常に観察している看護師が状態変化に早期に気づき、如何に早くシステムを起動できるかが重要である。また目前の患者が要請基準に該当した場合に要請するかどうかは、RRSの存在、意義、起動方法を知っているかどうかに大きく関係するとされている。
【目的】
特定機能病院における看護師のRRSに対する認識、意義、起動方法について明らかにし、さらに起動を妨げている原因を分析することでその特徴を把握し、RRSの啓発ならびに教育手法に活用する。
【方法】
研究期間:2019年4月~2020年3月
研究対象:A病院で勤務する看護師(非常勤務含む)とし全数調査とした。但し、該当年度の新規採用者ならびに長期休職者は除く。
研究方法:無記名自記式質問紙調査票を用いた実態調査研究
倫理的配慮:本研究は、A大学倫理審査委員会の承認(承認番号30294)を受け実施した。
【結果&考察】
調査対象者へ質問紙調査票を728部配布し、512部回収(回収率68.68%)した。調査結果からはA病院看護師のRRSに対する認識は高まりつつあるものの、“RRSへの電話要請を躊躇してしまう”傾向があり、さらに“コードブルー(Code Blue:CBと略す)とRRSのシステムの違いが不明瞭”であることが明らかになった。RRS要請を躊躇してしまう最も多い理由としては、看護師自身の臨床判断への不安であり、患者の異変に気づき、判断(アセスメント)し、行動(報告・連絡・相談)に移すという一連の看護実践能力の向上が課題であることがわかった。本来、CBは心停止や意識障害、アナフィラキシーを含むショックなどの状態が切迫している状態で急に悪化した場合の対応である。しかしCBとRRSの認識不足により、切迫している状況下にも関わらずRRS要請となる事例が発生していた。これらの調査結果を踏まえ、現任教育の中に急変させないための気づきコースやフィジカルアセスメント実践コース、急変対応シミュレーション出前講座などを取り入れ、教育手法を見直した。
【結論】
1.本研究により特定機能病院における看護師のRRSに対する認識、意義、起動方法について明らかにすることができた。
2.起動を妨げている原因を分析することでその特徴を把握し、RRSの啓発ならびに教育手法に活用することができた。
3.今後、RRS啓発に向けた教育手法について評価・分析していくことが課題である。
A病院は39診療科778床を有する特定機能病院であり、2015年6月から院内急変対応システム(Rapid Response System:RRSと略す) の運用が開始された。先行研究において、A病院における起動要請になった患者の急性患者重症度判定National Early Warning Score(NEWS、0-20点)は平均9.5点とハイリスク群に属しており、63%の症例でRRS起動前にバイタルサインの観察頻度を意図的に増やしていた。つまり看護師は患者の状態変化に気づきながらもRRS起動が何らかの要因により遅れている可能性が高いことが示唆された。RRSの構築において、患者の傍で常に観察している看護師が状態変化に早期に気づき、如何に早くシステムを起動できるかが重要である。また目前の患者が要請基準に該当した場合に要請するかどうかは、RRSの存在、意義、起動方法を知っているかどうかに大きく関係するとされている。
【目的】
特定機能病院における看護師のRRSに対する認識、意義、起動方法について明らかにし、さらに起動を妨げている原因を分析することでその特徴を把握し、RRSの啓発ならびに教育手法に活用する。
【方法】
研究期間:2019年4月~2020年3月
研究対象:A病院で勤務する看護師(非常勤務含む)とし全数調査とした。但し、該当年度の新規採用者ならびに長期休職者は除く。
研究方法:無記名自記式質問紙調査票を用いた実態調査研究
倫理的配慮:本研究は、A大学倫理審査委員会の承認(承認番号30294)を受け実施した。
【結果&考察】
調査対象者へ質問紙調査票を728部配布し、512部回収(回収率68.68%)した。調査結果からはA病院看護師のRRSに対する認識は高まりつつあるものの、“RRSへの電話要請を躊躇してしまう”傾向があり、さらに“コードブルー(Code Blue:CBと略す)とRRSのシステムの違いが不明瞭”であることが明らかになった。RRS要請を躊躇してしまう最も多い理由としては、看護師自身の臨床判断への不安であり、患者の異変に気づき、判断(アセスメント)し、行動(報告・連絡・相談)に移すという一連の看護実践能力の向上が課題であることがわかった。本来、CBは心停止や意識障害、アナフィラキシーを含むショックなどの状態が切迫している状態で急に悪化した場合の対応である。しかしCBとRRSの認識不足により、切迫している状況下にも関わらずRRS要請となる事例が発生していた。これらの調査結果を踏まえ、現任教育の中に急変させないための気づきコースやフィジカルアセスメント実践コース、急変対応シミュレーション出前講座などを取り入れ、教育手法を見直した。
【結論】
1.本研究により特定機能病院における看護師のRRSに対する認識、意義、起動方法について明らかにすることができた。
2.起動を妨げている原因を分析することでその特徴を把握し、RRSの啓発ならびに教育手法に活用することができた。
3.今後、RRS啓発に向けた教育手法について評価・分析していくことが課題である。