第22回日本救急看護学会学術集会

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一般演題

医療安全

[O11] 一般演題11

[O11-05] A病院における院内緊急コール検証と検証委員会始動後の課題

○北村 鮎美1、山口 富士美1、中野 克哉1 (1. 岐阜市民病院)

Keywords:院内緊急コール、検証委員会、フィードバック

【はじめに】A病院において患者が予期せぬ重篤な病態悪化を呈した場合、院内緊急コール(以下コール)がかけられ、対応している。救急ではかけつけた看護師が対応についてフィードバックする。しかし、処置についてフィードバックするのみでコール前の状態、対応の検証は行なわれていない。そのためコールがあった過去2年間の全症例を6~8時間前より検証した。スタッフの急変時対応、患者の特性、急変前兆の有無がみえてきた。検証をフィードバックすることで、心停止、予期し得ぬ死亡を減少することにつながると考えた。
【目的】過去2年間のコール検証の実態と、委員会を始動後、アンケート調査を行い活動内容や検証結果からの課題を明らかにする。
【方法】研究デザイン:説明的順次的デザイン 対象:コール検証委員(医師3名、研修医2名、看護師3名)合計8名 期間:2019年4月~2020年5月 データ収集方法:1、2017年~2019年のコール報告書、及びカルテ記事から後ろ向きに情報収集し分析した結果を検証委員で確認。2、2019年4月からの5症例検証。3、検証後、アンケート調査(多項選択法・自由回答)実施。4、集計は単純計算しデータに関して検証。自由回答の内容は回答毎に分析。
【倫理的配慮】A病院倫理審査委員会の承認を得た。
【結果】
過去2年間では、出血性ショック、呼吸不全、意識障害が上位を占めた。また呼吸回数が測定されていないことが分かった。検証後、アンケートの回収率は100%①委員会の目的に沿って行えているか。「はい」100%②開催頻度は適正か。「はい」63% 「どちらでもない」37%③全症例検証が必要か。「はい」63% 「いいえ」12% 「どちらでもない」25%。全症例検証することで、軽症の中にも、重症例や、重大な反省点が隠れている例があり、複数で検証することは重要といった意見が多かった。④フィードバック方法は適切か。「はい」63% 「いいえ」12% 「どちらでもない」 25%。医師への情報共有が不明瞭。看護師はフィードバックしているが、周知方法を考慮したほうがよい。⑤検証するために急変前の情報が必要か。「はい」100% 急変前の情報から、病態の把握をすることで、急変前兆サインに気づくことができる。RRSへつながる情報である。⑥今後の活動の重点について。医師へのフィードバック 75%、該当部署へのフィードバック63% 、急変前からの状態、バイタルサインの変動63%であった。
【考察】
検証は目的に沿っていると全員が回答した。これは目的を理解した上で検証し、原因、改善点をフィードバックできていると考える。開催頻度は、不定期で2~3症例毎のため、時期、業務に支障がなく適正と半数が回答したが、運営方法の検討が必要と意見もあり定期開催も視野にいれていきたい。全症例検証の必要性では、軽症の中には重症疾患が存在した例や、重大な反省点が隠れている可能性があり、必要性が強いと考える。しかし、時間内で検討できるよう委員会前に情報提示を準備するなど運用を考慮する必要もある。フィードバック方法では、医師へのフィードバックが徹底しておらず、方法を考慮した方が良いという意見が多かった。原因として、医師へ直接、結果が伝わっていない現状がある。医師への直接伝達と、情報共有の場としてスタッフへの活動報告会やシステムの構築が必要となる。検証のために急変前の情報が必要と全員が捉えていた。これは検証の実際で、バイタルサインや発言、行動から、前兆のサインが存在し、気づき早期対応、RRSへつながる情報となり得るからと考える。