[O11-06] Critical care outreach team導入後6ヵ月の実績と今後の展望
Keywords:CCOT、NEWS
【目的】
Critical care outreach team(CCOT)は、急変リスクのある患者を認知し、急変する前に介入する事で転帰の改善を図るためのチームである。当院では2012年から院内急変時に活動するmedical emergency team(MET)を運用してきた。1000入院あたりの予期せぬ心停止、予期せぬ死亡の発生率を評価すると、2015年以降の解析では予期せぬ心停止は4.2件から3.0件、予期せぬ死亡は1.8件から1.6件であった。予期せぬ心停止/死亡の発生率に統計学的に有意な変化はなかった。
活動件数が増加している一方で、重症化してからの要請が多いという課題があり、そこで院内急変にさらに早期に対応するべくCCOTを導入した。CCOTを運用することで、病棟スタッフへの教育とレベルアップを進めながら、警告スコアが自動算出されるモニターの整備や急変を予防するシステムの構築を目標とした。
【倫理的配慮】
倫理的配慮として、所属部署の管理者の許可を得て実施しデータは個人が特定されないように留意した。
【方法】
CCOTを導入するにあたり、段階的にラウンドの対象患者を拡大し、ラウンド回数を増やすことにより、最終的には院内全体をカバーする活動を目標とし計画を立てた。救急看護認定看護師が週1回、ICU退室患者を対象にラウンドする活動から開始し、最終的には週5日ラウンドし対象患者もICU退室患者のみから、全病棟の入院患者を対象としていけるように計画した。活動内容はNEWS(national early warning score)で評価のうえ点数に応じてモニタリング強化の指示や、救急科医師との情報共有などのアクションをとる。対象患者はICU退室後患者のうち、48時間以上入室していた患者、挿管管理されていた患者、CHDFを施行していた患者、ICU再入室した患者とした。導入後6カ月間のCCOTの実績と対象患者の転帰を後方視的に調査した。
【結果】
2019年9月~2020年2月の6カ月間で、計20回、80名の患者のラウンドを行った。モニタリング強化指示を行ったのはNEWS1~2点14人、3~4点23人で、救急科医師と情報共有を行ったのはNEWS5~6点19人、7点以上は12人であった。CCOTラウンド後1週間以内にICU再入室となった患者は7人で、ラウンド時の平均NEWSは6.4点であった。再入室7人のNEWSは6.4±2.9であり、非再入室37人のNEWSは3.7±0.6で有意差が認められた。(p=0.0063)
そしていずれの症例とも28日転帰は生存であった。
【考察】
CCOTによるNEWSの評価は、患者重症度を評価しうるための有意義な方法であり、その後の状態悪化を予測しうる。
しかし、現状のCCOTラウンドでは患者評価方法がNEWSに依存していることや、アクションがモニタリング強化指示と情報共有が主体となっているため、改善が必要である。
今後は、より精度の高いリスク評価方法や、ツールの開発、リスクに応じた細分化されたアクションプランを策定し、さらに対象患者を増やしながら院内患者の転帰の改善に役立てたい。
Critical care outreach team(CCOT)は、急変リスクのある患者を認知し、急変する前に介入する事で転帰の改善を図るためのチームである。当院では2012年から院内急変時に活動するmedical emergency team(MET)を運用してきた。1000入院あたりの予期せぬ心停止、予期せぬ死亡の発生率を評価すると、2015年以降の解析では予期せぬ心停止は4.2件から3.0件、予期せぬ死亡は1.8件から1.6件であった。予期せぬ心停止/死亡の発生率に統計学的に有意な変化はなかった。
活動件数が増加している一方で、重症化してからの要請が多いという課題があり、そこで院内急変にさらに早期に対応するべくCCOTを導入した。CCOTを運用することで、病棟スタッフへの教育とレベルアップを進めながら、警告スコアが自動算出されるモニターの整備や急変を予防するシステムの構築を目標とした。
【倫理的配慮】
倫理的配慮として、所属部署の管理者の許可を得て実施しデータは個人が特定されないように留意した。
【方法】
CCOTを導入するにあたり、段階的にラウンドの対象患者を拡大し、ラウンド回数を増やすことにより、最終的には院内全体をカバーする活動を目標とし計画を立てた。救急看護認定看護師が週1回、ICU退室患者を対象にラウンドする活動から開始し、最終的には週5日ラウンドし対象患者もICU退室患者のみから、全病棟の入院患者を対象としていけるように計画した。活動内容はNEWS(national early warning score)で評価のうえ点数に応じてモニタリング強化の指示や、救急科医師との情報共有などのアクションをとる。対象患者はICU退室後患者のうち、48時間以上入室していた患者、挿管管理されていた患者、CHDFを施行していた患者、ICU再入室した患者とした。導入後6カ月間のCCOTの実績と対象患者の転帰を後方視的に調査した。
【結果】
2019年9月~2020年2月の6カ月間で、計20回、80名の患者のラウンドを行った。モニタリング強化指示を行ったのはNEWS1~2点14人、3~4点23人で、救急科医師と情報共有を行ったのはNEWS5~6点19人、7点以上は12人であった。CCOTラウンド後1週間以内にICU再入室となった患者は7人で、ラウンド時の平均NEWSは6.4点であった。再入室7人のNEWSは6.4±2.9であり、非再入室37人のNEWSは3.7±0.6で有意差が認められた。(p=0.0063)
そしていずれの症例とも28日転帰は生存であった。
【考察】
CCOTによるNEWSの評価は、患者重症度を評価しうるための有意義な方法であり、その後の状態悪化を予測しうる。
しかし、現状のCCOTラウンドでは患者評価方法がNEWSに依存していることや、アクションがモニタリング強化指示と情報共有が主体となっているため、改善が必要である。
今後は、より精度の高いリスク評価方法や、ツールの開発、リスクに応じた細分化されたアクションプランを策定し、さらに対象患者を増やしながら院内患者の転帰の改善に役立てたい。