[O11-07] A病院のインシデント・アクシデントレポート作成における看護師のメンタルヘルスへの影響
キーワード:インシデント、アクシデント、メンタルヘルス
Ⅰ.目的
インシデント・アクシデント報告は再発防止のために重要である。しかし,ミスという意識を抱きがちである。そこで本研究は,インシデント・アクシデントを報告の際に看護師自身のメンタルヘルスにどれほど影響を与えるかを調査し,またその要因は何かを明らかにする。
Ⅱ.研究方法(倫理的配慮含む)
1.対象:本研究の参加に同意を得られた,A病院の看護職員
2.時期:令和元年11月~12月
3.データ収集:調査対象となる職員に,調査用紙を配布し,同意のもと記入してもらった。
4.分析方法:質問項目ごとに集計。ストレスの有無と質問項目について対応のないステューデントt検定を行った。統計ソフトにMicrosoft Excel 2010を使用した。有意水準は5%未満とした。
5.倫理的配慮:本研究の目的と内容,データの保管などについて文書と口頭にて説明した。また,調査への協力を強制せず,自由意志で回答できるよう,封筒で回収した。調査への同意は,アンケートの投函によって得られたものとした。本研究はA病院の倫理委員会を通し,承認を得た。
Ⅲ.結果
216名に配布し,180名から回収(回収率83.3%)。そのうち記入漏れがある者30名を除いた150名を本研究の分析対象とした(有効回答率69.4%)。
インシデント・アクシデントをストレスと感じているものは78.0%いた(以降あると答えた群をA群,それ以外をB群とする)。A群とB群で質問内容にてt検定を実施。上司からの圧力を感じる(項目イ),ミスとして追及された(項目ロ),朝礼時にレポートを読まれるたびに罪の意識を感じた(項目ハ),次の出勤は気が重い(項目二)の4項目で有意差(p<0.01)が見られた。(図.1)周囲の対応や精神的援助の面では有意差はみられなかった。
インシデント・アクシデント減少に必要なことという項目で,7割程度の職員が人員の確保,個人による確認の徹底と回答した。
Ⅳ.考察
インシデント・アクシデントにストレスを伴う看護職員が約8割程度存在していた。それぞれの経験を次のエラーを防ぐという意味で共有することは大切であるが,その際に周囲のフォローや指導が適切なタイミングで行われなければ,当事者のポジティブな経験として昇華することは難しい。しかし,福田(2009)は,医療事故後の看護師のメンタルヘルスの安定が患者のケアの質向上へ繋がることを示唆している。今後そういった取り組みを強化するには,当事者への周囲の対応についての研究が不可欠であると考える。
引用文献 医療事故に関連した看護師のメンタルヘルスに関する文献レビュー(2009) 福田紀子
インシデント・アクシデント報告は再発防止のために重要である。しかし,ミスという意識を抱きがちである。そこで本研究は,インシデント・アクシデントを報告の際に看護師自身のメンタルヘルスにどれほど影響を与えるかを調査し,またその要因は何かを明らかにする。
Ⅱ.研究方法(倫理的配慮含む)
1.対象:本研究の参加に同意を得られた,A病院の看護職員
2.時期:令和元年11月~12月
3.データ収集:調査対象となる職員に,調査用紙を配布し,同意のもと記入してもらった。
4.分析方法:質問項目ごとに集計。ストレスの有無と質問項目について対応のないステューデントt検定を行った。統計ソフトにMicrosoft Excel 2010を使用した。有意水準は5%未満とした。
5.倫理的配慮:本研究の目的と内容,データの保管などについて文書と口頭にて説明した。また,調査への協力を強制せず,自由意志で回答できるよう,封筒で回収した。調査への同意は,アンケートの投函によって得られたものとした。本研究はA病院の倫理委員会を通し,承認を得た。
Ⅲ.結果
216名に配布し,180名から回収(回収率83.3%)。そのうち記入漏れがある者30名を除いた150名を本研究の分析対象とした(有効回答率69.4%)。
インシデント・アクシデントをストレスと感じているものは78.0%いた(以降あると答えた群をA群,それ以外をB群とする)。A群とB群で質問内容にてt検定を実施。上司からの圧力を感じる(項目イ),ミスとして追及された(項目ロ),朝礼時にレポートを読まれるたびに罪の意識を感じた(項目ハ),次の出勤は気が重い(項目二)の4項目で有意差(p<0.01)が見られた。(図.1)周囲の対応や精神的援助の面では有意差はみられなかった。
インシデント・アクシデント減少に必要なことという項目で,7割程度の職員が人員の確保,個人による確認の徹底と回答した。
Ⅳ.考察
インシデント・アクシデントにストレスを伴う看護職員が約8割程度存在していた。それぞれの経験を次のエラーを防ぐという意味で共有することは大切であるが,その際に周囲のフォローや指導が適切なタイミングで行われなければ,当事者のポジティブな経験として昇華することは難しい。しかし,福田(2009)は,医療事故後の看護師のメンタルヘルスの安定が患者のケアの質向上へ繋がることを示唆している。今後そういった取り組みを強化するには,当事者への周囲の対応についての研究が不可欠であると考える。
引用文献 医療事故に関連した看護師のメンタルヘルスに関する文献レビュー(2009) 福田紀子