[O12-01] せん妄アセスメントシート導入による看護師の意識変化
キーワード:せん妄
1,背景と目的
我が国における高齢者の救急搬送割合は増加傾向にあり、65歳以上の高齢患者では入院症例の10~42%がせん妄に至るとの報告がある。今後高齢化や認知症患者の増加が見込まれ、高齢患者に応じた質の高いケアを提供する体制を整える事は不可欠である。当病棟は救急病棟で、その大半は高齢者の入院である。救急病棟での在院日数は4.4日/月(令和1年度)であり、せん妄の発症をしていても早期介入が出来ずに転棟し継続した看護ケアを引き継ぐことが困難であった。その原因として、せん妄のツールを用いて経時的に評価を行っておらず、またスタッフのせん妄に関する認識も曖昧である事が考えられた。その為看護師にせん妄に関する教育的介入を行ない、デルタプログラムを元にせん妄アセスメントシートを導入し、看護師の意識変化として強み、弱みを明らかにする事とした。
2,方法
対象:救急医療センターに所属する看護師12名。
調査方法:対象者にICレコーダーを用いてフォーカスグループインタビューを実施。
インタビューで得られた結果から遂語録を作成し類似項をカテゴリー化し分析を行なった。
3,倫理的配慮
所属部署の管理者に研究に対する同意を得た。又、対象者に目的・方法を説明し、拒否・辞退した場合も不利益を被らない事を説明した。分析過程では内容分析の経験を有する研究者のスーパーバイズを受けた。
4,結果
インタビュー内容より遂語録を作成し、13のカテゴリーを抽出した。
強みとして、「リスク因子がわかった」、「せん妄アセスメントシートを知る事ができた」,「継続的な観察を意識づけられるようになった」、「せん妄を意識するようになった」、「可能性の発見」、「せん妄アセスメントシートを活用し早期発見出来た」、「せん妄を明確に判断」、「経験値にかかわらず同じ視点でせん妄ケアが出来た」、「せん妄に対する知識が向上した」が上がった。弱みとしては、「ケアに活かせているか実感できない」、「基質的疾患を優先する」、「業務的負担になっている」、「記録に対する混乱」が上がった。
5,考察
宮本らは、せん妄評価尺度のひとつであるDST(Delirium Screening Tool)の評価を通してせん妄を漠然と判断していた状態から、同じ視点でせん妄を判断するようになった。さらにせん妄に対する意識向上がみられ、チームでせん妄対処に取り組むという変化がみられたと報告している。今回病棟でもせん妄アセスメントシートを使用し、せん妄に対する意識向上と関心を高めることに繋がったといえる。結果にある様に、「せん妄を意識するようになった」「せん妄を明確に判断」「せん妄に対する知識が向上した」「せん妄アセスメントシートを活用し早期発見出来た」とあり、せん妄への意識を高め早期に適切な判断が出来るようになった。また、せん妄アセスメントシートを使用した事で、「経験値にかかわらず同じ視点でせん妄ケアが出来た」とあり、臨床経験などの違いに左右されず統一したアセスメントからケアに繋がったのではないかと考える。しかしスタッフの中には「業務負担量が多い」との意見もあり、今後の活用方法について検討の余地があると言える。又「基質的疾患を優先する」との意見もあるが、当病棟は救急病棟であり普段から重症患者も多かった結果であると考える。
6,結論
今回の分析を通してせん妄ケアの難しさ、重要性について改めて認識する事が出来た。また病棟全体でせん妄に対する意識の向上が見られている事が明らかとなり統一した看護ができるよう今後も引き続き働きかけていきたい。
我が国における高齢者の救急搬送割合は増加傾向にあり、65歳以上の高齢患者では入院症例の10~42%がせん妄に至るとの報告がある。今後高齢化や認知症患者の増加が見込まれ、高齢患者に応じた質の高いケアを提供する体制を整える事は不可欠である。当病棟は救急病棟で、その大半は高齢者の入院である。救急病棟での在院日数は4.4日/月(令和1年度)であり、せん妄の発症をしていても早期介入が出来ずに転棟し継続した看護ケアを引き継ぐことが困難であった。その原因として、せん妄のツールを用いて経時的に評価を行っておらず、またスタッフのせん妄に関する認識も曖昧である事が考えられた。その為看護師にせん妄に関する教育的介入を行ない、デルタプログラムを元にせん妄アセスメントシートを導入し、看護師の意識変化として強み、弱みを明らかにする事とした。
2,方法
対象:救急医療センターに所属する看護師12名。
調査方法:対象者にICレコーダーを用いてフォーカスグループインタビューを実施。
インタビューで得られた結果から遂語録を作成し類似項をカテゴリー化し分析を行なった。
3,倫理的配慮
所属部署の管理者に研究に対する同意を得た。又、対象者に目的・方法を説明し、拒否・辞退した場合も不利益を被らない事を説明した。分析過程では内容分析の経験を有する研究者のスーパーバイズを受けた。
4,結果
インタビュー内容より遂語録を作成し、13のカテゴリーを抽出した。
強みとして、「リスク因子がわかった」、「せん妄アセスメントシートを知る事ができた」,「継続的な観察を意識づけられるようになった」、「せん妄を意識するようになった」、「可能性の発見」、「せん妄アセスメントシートを活用し早期発見出来た」、「せん妄を明確に判断」、「経験値にかかわらず同じ視点でせん妄ケアが出来た」、「せん妄に対する知識が向上した」が上がった。弱みとしては、「ケアに活かせているか実感できない」、「基質的疾患を優先する」、「業務的負担になっている」、「記録に対する混乱」が上がった。
5,考察
宮本らは、せん妄評価尺度のひとつであるDST(Delirium Screening Tool)の評価を通してせん妄を漠然と判断していた状態から、同じ視点でせん妄を判断するようになった。さらにせん妄に対する意識向上がみられ、チームでせん妄対処に取り組むという変化がみられたと報告している。今回病棟でもせん妄アセスメントシートを使用し、せん妄に対する意識向上と関心を高めることに繋がったといえる。結果にある様に、「せん妄を意識するようになった」「せん妄を明確に判断」「せん妄に対する知識が向上した」「せん妄アセスメントシートを活用し早期発見出来た」とあり、せん妄への意識を高め早期に適切な判断が出来るようになった。また、せん妄アセスメントシートを使用した事で、「経験値にかかわらず同じ視点でせん妄ケアが出来た」とあり、臨床経験などの違いに左右されず統一したアセスメントからケアに繋がったのではないかと考える。しかしスタッフの中には「業務負担量が多い」との意見もあり、今後の活用方法について検討の余地があると言える。又「基質的疾患を優先する」との意見もあるが、当病棟は救急病棟であり普段から重症患者も多かった結果であると考える。
6,結論
今回の分析を通してせん妄ケアの難しさ、重要性について改めて認識する事が出来た。また病棟全体でせん妄に対する意識の向上が見られている事が明らかとなり統一した看護ができるよう今後も引き続き働きかけていきたい。