[O12-06] 人工呼吸器早期離脱プロトコル導入による挿管期間の短縮の効果の確認
キーワード:人工呼吸器早期離脱プロトコル、ウィーニング、パートナーシップ、PNS
【はじめに】 人工呼吸器使用期間の長期化は人工呼吸器関連肺炎のリスク因子であり、人工呼吸器からの早期離脱は患者のADL・QOLを改善することも明らかになっている。そのため、原疾患の治療と併行して、いかに早期に人工呼吸器から離脱させるかが重要となる。昨年度、仙台医療センター救命救急センター(以下、A救命救急センター)では人工呼吸器早期離脱プロトコルにおけるパートナーシップの効果について調査を行った。その研究結果により、パートナーシップ・ナーシング・システム(以下、PNS)のもと、人工呼吸器プロトコル評価(以下、プロトコル評価)を行うことで救命救急センター経験年数3年目までの看護師がプロトコル評価を安心して行えるとの結果が得られた。そこで、人工呼吸器プロトコルにのっとって、適正にウィーニングを進め抜管することで、挿管日数期間の短縮の効果を検討した。【目的】 人工呼吸器早期離脱プロトコル導入により、人工呼吸器管理の患者のウィーニングが適正に進み挿管期間が減少したかを明らかにする。【方法】研究期間:令和元年7月~10月、研究対象:A救命救急センターに入室し、挿管管理となった患者のうち、人工呼吸器プロトコル評価が可能であると判断された患者。データ分析方法:プロトコル評価を実施できた症例に対して事例検討。【倫理的配慮】 救命救急センターに入室し人工呼吸器管理となった患者のうち、人工呼吸器早期離脱プロトコル評価が可能であると判断された患者に研究の趣旨や方法、研究の参加は自由意志であり不利益が生じないことを説明し、同意を得たもののみ研究対象とした。また、当院の倫理審査委員会の承認を得て対象者個人が特定されないよう実施した。【結果】7月~10月の3か月間でのA救命救急センターにおける気管挿管患者総数は58名(心臓血管外科の術後患者を除く)おり、そのうちプロトコル適応患者数は8名、否適応患者数50名であった。プロトコル適応患者8名のうち、実施できたのは4名であった。結果として、プロトコル評価を実施できた症例は2例のみとなってしまった。症例数は目標数に届かず、挿管日数の短縮への効果確認とまでは至っていない。プロトコル評価の方法や定着、医師との連携についてなど課題が残る結果となってしまった。【考察】エキスパートナースが中心となって他職種や各科の医師とも協力しプロトコルが定着するように活動を続けていく必要がある。プロトコル評価を適正に実施し早期抜管に繋げることは、肺合併症予防だけでなく患者のADLやQOLの改善にもつながるため、全スタッフが1日1回は「SATを実施する」など鎮静に対する意識を変化させ積極的にプロトコル評価を実施し日々の覚醒時の状況から鎮静量を調節し、SBTの評価へと移れるような関わりを実践できるように活動していく必要があると感じた。【研究の限界と今後の展望】今回の研究では症例数が少なく、挿管日数の短縮への効果確認までは至ることが出来なかった。プロトコル評価の方法や定着方法、医師との連携についてなど今後、再検討していく必要がある【結論】プロトコルを導入することで挿管日数期間の短縮へ効果があるか有意性のある結果を得られなかったため、今後の課題である。プロトコル評価を実施した18名のスタッフの感想、評価から少ない事例ではあったが正しくプロトコル評価を実施することができた。