[O12-08] 救急センターにおける入院決定患者の長時間滞在の要因検討
キーワード:救急滞在時間、緊急入院、救急看護
【目的】
当院の救急センターでは患者接触から退室するまで長時間滞在となることがある。長時間滞在による救急センター内満床は、新規患者受け入れ困難の一因となる。長時間滞在が及ぼす影響によって患者が急変した事例もあり、長時間滞在は患者・家族の安全安楽に影響を与えていると考える。川野らは、救急センターの混雑は患者の予後を悪化させる重要な原因であると述べている。そのため、救急センターにおける入院決定患者の長時間滞在について調査し、結果をここに報告する。廣田らは、長時間滞在を3時間以上の滞在と定義しているため、本研究では3時間以上の滞在を長時間滞在とする。
【対象および方法】
1.期間:2019年8月13日~10月31日
2.研究対象:当院救急センター経由後の入院患者138名
3.研究デザイン:記述統計法(後ろ向き研究)
4.方法:患者接触の定義をトリアージ開始時と救急車搬入時とする。データ収集前に長時間滞在の要因と考えられる項目についてアンケート調査を実施、先行文献を参考に独自で調査票を作成し、平日日勤帯に入院患者を担当した看護師が調査票を記入した。
5.年齢、男女、来院方法をカテゴリー別に分類し、それぞれX2検定を用いて分析する。
【倫理的配慮】
記録用紙は患者番号で記載し、看護師には本研究に協力することで不利益にならないことを説明し、参加の同意を得た。
所属部署の管理者の許可を得て実施した。
【結果】
有効回答数は138例、長時間滞在となった例は37例であった。
患者背景について、年齢は全入院例で平均67歳、滞在時間が3時間未満で65歳、3時間以上で77歳であり有意差を認めた(P<0.03)。
来院方法は、全入院例のうち救急車来院は78件(56.52%)、3時間未満は58件(57.42%)、3時間以上では20件(54.05%)(P=0.69)。
入院先について、集中治療室(以下ICU)入院は全入院例で3例(2.17%)、3時間未満で3件(2.29%)、3時間以上で0件(0%)である。
【考察】
先行文献より、平均時間の上位3つを最も長時間滞在に影響した要因と定義する。
「入院待ち」に関して、ICU入室する患者は全て3時間未満に入室している。救急搬送依頼の時点で呼吸状態不良であると判断されたため挿管や呼吸器管理の可能性を踏まえた上で患者の処置や看護を行っていた。これに対して、入院に3時間以上要した患者は、緊急度の低い患者も多く一般外来からの入院と救急センターからの入院が重なった際に滞在時間が長くなる傾向がある。
「IVR・内視鏡治療等待ち」の2件の例は内視鏡検査やIVR検査等の予約検査と当日緊急患者が重なり長時間滞在に繋がっていた。また、最短25分でIVR治療へ出棟できた事例もあり、他部署と連携を図ることで迅速に対応することができている。
「血液検査結果待ち」について、当院では結果が出るまでに最低でも約45分の時間を要する。3時間以上では平均年齢が有意に高く複合的な疾患をもつ患者が多いため、追加検査が必要となり平均時間が長くなっていると考える。
今後の課題として先行文献より、長時間滞在の方策として「繁忙期を考慮した流動的な人員配置」「実施検査の適否検証」「救急科入院の推進」などが挙げられている。そのため、当院でも看護師同士の協力だけでなく医師をはじめとした他職種と協力し病院全体で滞在時間の短縮に取り組む必要があると考える。
また、滞在時間が3時間以上となる患者は高齢患者が多い要因を今後明らかにする。
【結論】
「IVR・内視鏡治療等待ち」「入院待ち」「血液検査結果待ち」が最も長時間滞在に影響した。
当院の救急センターでは患者接触から退室するまで長時間滞在となることがある。長時間滞在による救急センター内満床は、新規患者受け入れ困難の一因となる。長時間滞在が及ぼす影響によって患者が急変した事例もあり、長時間滞在は患者・家族の安全安楽に影響を与えていると考える。川野らは、救急センターの混雑は患者の予後を悪化させる重要な原因であると述べている。そのため、救急センターにおける入院決定患者の長時間滞在について調査し、結果をここに報告する。廣田らは、長時間滞在を3時間以上の滞在と定義しているため、本研究では3時間以上の滞在を長時間滞在とする。
【対象および方法】
1.期間:2019年8月13日~10月31日
2.研究対象:当院救急センター経由後の入院患者138名
3.研究デザイン:記述統計法(後ろ向き研究)
4.方法:患者接触の定義をトリアージ開始時と救急車搬入時とする。データ収集前に長時間滞在の要因と考えられる項目についてアンケート調査を実施、先行文献を参考に独自で調査票を作成し、平日日勤帯に入院患者を担当した看護師が調査票を記入した。
5.年齢、男女、来院方法をカテゴリー別に分類し、それぞれX2検定を用いて分析する。
【倫理的配慮】
記録用紙は患者番号で記載し、看護師には本研究に協力することで不利益にならないことを説明し、参加の同意を得た。
所属部署の管理者の許可を得て実施した。
【結果】
有効回答数は138例、長時間滞在となった例は37例であった。
患者背景について、年齢は全入院例で平均67歳、滞在時間が3時間未満で65歳、3時間以上で77歳であり有意差を認めた(P<0.03)。
来院方法は、全入院例のうち救急車来院は78件(56.52%)、3時間未満は58件(57.42%)、3時間以上では20件(54.05%)(P=0.69)。
入院先について、集中治療室(以下ICU)入院は全入院例で3例(2.17%)、3時間未満で3件(2.29%)、3時間以上で0件(0%)である。
【考察】
先行文献より、平均時間の上位3つを最も長時間滞在に影響した要因と定義する。
「入院待ち」に関して、ICU入室する患者は全て3時間未満に入室している。救急搬送依頼の時点で呼吸状態不良であると判断されたため挿管や呼吸器管理の可能性を踏まえた上で患者の処置や看護を行っていた。これに対して、入院に3時間以上要した患者は、緊急度の低い患者も多く一般外来からの入院と救急センターからの入院が重なった際に滞在時間が長くなる傾向がある。
「IVR・内視鏡治療等待ち」の2件の例は内視鏡検査やIVR検査等の予約検査と当日緊急患者が重なり長時間滞在に繋がっていた。また、最短25分でIVR治療へ出棟できた事例もあり、他部署と連携を図ることで迅速に対応することができている。
「血液検査結果待ち」について、当院では結果が出るまでに最低でも約45分の時間を要する。3時間以上では平均年齢が有意に高く複合的な疾患をもつ患者が多いため、追加検査が必要となり平均時間が長くなっていると考える。
今後の課題として先行文献より、長時間滞在の方策として「繁忙期を考慮した流動的な人員配置」「実施検査の適否検証」「救急科入院の推進」などが挙げられている。そのため、当院でも看護師同士の協力だけでなく医師をはじめとした他職種と協力し病院全体で滞在時間の短縮に取り組む必要があると考える。
また、滞在時間が3時間以上となる患者は高齢患者が多い要因を今後明らかにする。
【結論】
「IVR・内視鏡治療等待ち」「入院待ち」「血液検査結果待ち」が最も長時間滞在に影響した。