[O12-10] RRT(Rapid Response Team)要請に至るまでの病棟看護師の対応
~一症例からの考察~
Keywords:RRT(Rapid Response Team)、急変対応、行動特性
【目的】院内急変に対応するRRT(Rapid Response Team;以下RRT) は、日常的に患者と接する機会が多い看護師からの要請がほとんどであるが、実際は要請基準に当てはまる症例において、必ずしもRRTが要請されていない現状がある。そこで、一症例を通して患者の異常発生からRRT要請に至るまでの間の病棟看護師の患者対応の特徴を明らかにすることを目的とした。
【方法】研究デザインは質的記述的研究である。対象は、2018年度にA病院の内科系一般病棟においてにRRT対応後にICUへ入室となった症例のうち、異常発生からRRT要請までに最も時間を要した一症例であった。患者の異常発生からRRT接触までの間の看護師の介入行動について、診療記録・看護記録・経過表から収集した。
【分析方法】看護師の行動に関するデータをコード化し、SOAPで分類した。分類したコードを類似性に基づき集約し、[サブカテゴリー]化し、さらに【カテゴリー】化を行った。次に、【カテゴリー】から各勤務帯で関わった看護師の行動特性を要約し、患者に対する対応の実態を明らかにした。なお、本研究はA病院倫理審査委員会およびB大学倫理審査委員会の承認を得て実施した。
【結果】
1)症例は、60歳代女性で胆石胆嚢炎・膵炎・敗血症で入院した患者である。入院翌日に異常発生し、頻呼吸、頻脈を認め経過を見ていたが、酸素化不良、心不全兆候が著明となり、異常発生から4日目にRRT要請、ICU入室となった。本症例に関わった看護師8名(看護師経験1~5年:5名 6~10年:2名 11~15:0名 16年以上:1名)であった。なお、看護体制は3交代制チームナーシングであった。
2)本症例に関わった看護師の行動特性の要約
看護師の行動に関するデータは684コード、行動特性を表す〔サブカテゴリ―〕は132個、【カテゴリー】は28個抽出された。
看護師は、異常発生時より、Sとして〔呼吸苦の有無を聴く〕など【自覚症状を捉える】、Oとして〔前日のHRデータと比較する〕など【数値データを捉える】ことで患者の頻呼吸、心拍数の異常を捉えていた。Oで最も多かったのが〔酸素化を観察する〕〔6時間尿量が予測指示範囲内にあるか確認する〕など、【予測指示範囲内であるか確認する】ことであった。Pでは、A看護師(看護師経験16年以上)が、3日目に〔輸液量をアセスメントする〕〔尿量不足の原因をアセスメントする〕など【病状をアセスメントする】ことで予測指示に従うことが適切でないと判断し〔輸液過剰に対する指示を受ける〕といった【医師へ現状報告し具体的指示を受ける】行動をとっていたが、それ以外は〔予測指示により鎮痛剤を投与する〕といった【指示範囲を保つ医療対応を行う】という記載のみであった。
【考察】看護師の行動特性として、異常発生時より、何等かの異常に気付き、主治医に報告して予測指示に従い対応していた。特に看護師経験年数16年未満の看護師は、予測指示範囲内か否かについてアセスメントにとどまっていた。十分なアセスメントが不足し、医師へ適切なリコメンデーションが行われていなかった可能性が考えられる。適切なリコメンデーションを行うためには、適切な観察とアセスメントの結果を、医師へプレゼンテーションすることが重要である。今後、RRTを有効に活用するためには、病棟看護師の適切な観察とアセスメントの教育を強化すると共に、患者が重篤な状態に陥る前に、RRT早期要請も含めたリコメンデーションを主治医へ行うトレーニングを行う必要がある。
【方法】研究デザインは質的記述的研究である。対象は、2018年度にA病院の内科系一般病棟においてにRRT対応後にICUへ入室となった症例のうち、異常発生からRRT要請までに最も時間を要した一症例であった。患者の異常発生からRRT接触までの間の看護師の介入行動について、診療記録・看護記録・経過表から収集した。
【分析方法】看護師の行動に関するデータをコード化し、SOAPで分類した。分類したコードを類似性に基づき集約し、[サブカテゴリー]化し、さらに【カテゴリー】化を行った。次に、【カテゴリー】から各勤務帯で関わった看護師の行動特性を要約し、患者に対する対応の実態を明らかにした。なお、本研究はA病院倫理審査委員会およびB大学倫理審査委員会の承認を得て実施した。
【結果】
1)症例は、60歳代女性で胆石胆嚢炎・膵炎・敗血症で入院した患者である。入院翌日に異常発生し、頻呼吸、頻脈を認め経過を見ていたが、酸素化不良、心不全兆候が著明となり、異常発生から4日目にRRT要請、ICU入室となった。本症例に関わった看護師8名(看護師経験1~5年:5名 6~10年:2名 11~15:0名 16年以上:1名)であった。なお、看護体制は3交代制チームナーシングであった。
2)本症例に関わった看護師の行動特性の要約
看護師の行動に関するデータは684コード、行動特性を表す〔サブカテゴリ―〕は132個、【カテゴリー】は28個抽出された。
看護師は、異常発生時より、Sとして〔呼吸苦の有無を聴く〕など【自覚症状を捉える】、Oとして〔前日のHRデータと比較する〕など【数値データを捉える】ことで患者の頻呼吸、心拍数の異常を捉えていた。Oで最も多かったのが〔酸素化を観察する〕〔6時間尿量が予測指示範囲内にあるか確認する〕など、【予測指示範囲内であるか確認する】ことであった。Pでは、A看護師(看護師経験16年以上)が、3日目に〔輸液量をアセスメントする〕〔尿量不足の原因をアセスメントする〕など【病状をアセスメントする】ことで予測指示に従うことが適切でないと判断し〔輸液過剰に対する指示を受ける〕といった【医師へ現状報告し具体的指示を受ける】行動をとっていたが、それ以外は〔予測指示により鎮痛剤を投与する〕といった【指示範囲を保つ医療対応を行う】という記載のみであった。
【考察】看護師の行動特性として、異常発生時より、何等かの異常に気付き、主治医に報告して予測指示に従い対応していた。特に看護師経験年数16年未満の看護師は、予測指示範囲内か否かについてアセスメントにとどまっていた。十分なアセスメントが不足し、医師へ適切なリコメンデーションが行われていなかった可能性が考えられる。適切なリコメンデーションを行うためには、適切な観察とアセスメントの結果を、医師へプレゼンテーションすることが重要である。今後、RRTを有効に活用するためには、病棟看護師の適切な観察とアセスメントの教育を強化すると共に、患者が重篤な状態に陥る前に、RRT早期要請も含めたリコメンデーションを主治医へ行うトレーニングを行う必要がある。