第22回日本救急看護学会学術集会

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[O12] 一般演題12

[O12-11] 三次救急初療における看護師のリーダーシップと自己効力感の関連

菅 彩乃1、○三浦 和代1、窪田 紀子1 (1. 東京都立広尾病院)

キーワード:初療、リーダーシップ、自己効力感

【はじめに】A病院では、三次救急における初期診療(以下初療とする)は、医師の他にリーダーを担うB 病棟、メンバーを担うC病棟、D外来の3部署の看護師が協働し対応している。初療対応を行う看護師は、リーダー的役割を担うことへの不安や初療に対し消極的な発言が見受けられる。McCallらは「リーダーシップと自己効力感は関連している。」と述べている。そこで、初療においてもリーダーシップと自己効力感は何らかの関連があるのではないかと考えた。【目的】初療で求められる看護師のリーダーシップと自己効力感の関連を明らかにする。【方法】初療リーダー経験がある看護師65名を対象。調査期間は、令和元年10月~11月。自己効力感を測定する一般性セルフ・エフィカシー尺度を用いたGSES Test質問紙とリーダーシップの測定のためPM理論の観点からA病院初療のリーダーに必要な要素の内容を含む独自に作成した質問紙を使用し調査を実施した。基本統計量を算出し、Spearmanの順位相関係数により、リーダーシップと自己効力感の関連性を分析し、有意水準は5%未満とした。自己効力感とは、ある状況において必要な行動を効果的に遂行できるという自信である。PM理論とは、課題達成機能のP機能と集団維持機能のM機能の2つの要素から成るリーダーシップ論である。【倫理的配慮】A病院倫理委員会の承認を得た。【結果】質問紙を配布した65名中、54名を有効回答とし分析した(回収率83%)。自己効力感とリーダーシップP・M項目の相関関係をみた結果を表1に示す。自己効力感とリーダーシップは正の相関があった。P機能では11項目中8項目、M機能では8項目中5項目が自己効力感と強い相関があった。自己効力感が高いとP機能の〔HOTライン情報から適切にアセスメントでき、必要な看護ケアが決定できる・初療中、状況状態に応じて業務の再調整ができ適材適所に采配が出来る〕の能力が特に高い傾向にあった。M機能では、〔メンバーからの意見に真摯に対応している・スタッフが困っている場合援助している・他部署他部門とも気軽に話せる雰囲気を作っている〕の能力が特に高い傾向にあった。これは、自己効力感が高い看護師ほどリーダーシップP・M機能が高い傾向があることを示した。【考察】特に強い相関関係にあった結果について考察する。P機能では、自己効力感の高い看護師は、限られた情報から意図的な情報収集と適切なアセスメントを行い、必要な看護ケアの決定ができていると考える。さらに、初療メンバーが変わっても、円滑な診療のため、能力に応じた役割分担やマネジメントを日常的に実施でき初療に対する取り組み姿勢が高いと言える。成功体験が自信に繋がっていると考える。そのため、緊急性が高く、予測・準備・即応性の救急医療看護の特性を重視したチーム医療が展開される初療でも、同様に思考・行動ができると推察する。また、初療という専門的な領域で責任ある役割を担い、他者から認められた能力が自信に繋がり自己効力感を高め、リーダーシップを高める要因と考えられる。M機能では、メンバーに真摯に対応をする姿勢や主体的に関わる行動が、良好な人間関係を保ちソーシャルサポートを得ることで自己効力感の向上に繋がっていると考える。初療ではメンバーが流動的なためリーダーが主体となり、メンバーと良好な人間関係を構築していく必要がある。また、メンバーの葛藤や緊張を緩和し個々の自主性を重んじ、メンバー間の相互関係を促進することが重要である。【結論】自己効力感が高いと初療のリーダーシップも高い傾向があると分かった。
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