第22回日本救急看護学会学術集会

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[O13] 一般演題13

[O13-01] 身元不明者・家族機能不全患者の退院支援に関する文献検討

○取違 美幸1、内匠 美貴2、加覧  妙子1、肥後 昌代1 (1. 鹿児島大学病院 救命救急センター、2. 鹿児島大学病院 キャリア開発室)

キーワード:退院支援、身元不明、救急、家族機能不全

【はじめに】
今後、我が国での少子高齢化の進展が予想される中、患者の意思決定への支援に支障をきたす状況でも、個人としての意思が尊重され、必要な医療サポートが受けられることが重要である。これまで多くの医療機関では、家族がいることを前提として、判断能力が不十分な人の同意取得や、入院費等の支払い、緊急時の連絡、待機などの役割を果たす、「身元保証・身元引き受け等」を求めてきた現状がある。今回、家族機能不全の患者を受入れた際に介入が遅れ、退院調整に難渋した症例を経験した。今後の社会動向を考慮し、患者に最初に接する救急外来看護師として、患者の行く末を見つめた初動の重要性を感じ、家族機能不全患者に対する救急外来看護師の退院支援に関する文献検討を行った。
【目的】
家族機能不全患者に対する救急外来看護師の退院支援に関する文献検討を行い、今後の課題を明らかにする。
【方法】
医学中央雑誌Webを用いて、キーワードを身元不明、家族機能不全、救急、退院支援で74件が抽出された。抽出した文献の中から救急外来看護師の退院支援に関するものは9件であった。より多くの文献を検討する為に、急性期、退院支援のキーワードを用いて同様に検索し、最終的に研究の趣旨に沿った21件を分析対象とした。
【倫理的配慮】 
文献検討のため、倫理的配慮には該当しない。
【結果】 
身元不明、家族機能不全、救急、退院支援、急性期で抽出した21件の文献の結果、看護師の意識に関するものは15件、情報収集に関するものが2件、本人・家族に関するものが1件、連携に関するものが3件であった。そこから、内容ごとに分類し、48個のコードを抽出した。分析の結果、7つのカテゴリーと、13のサブカテゴリーに分類された。7つのカテゴリーは[看護師の意識][多職種の連携][情報収集][社会背景][介入][困難][教育]であった。
【考察】 
急性期病院の退院支援に関する研究では、看護師の意識や情報収集に関するものは多く存在した。しかし、身寄りのない人、身元不明では東日本大震災時の身元確認の報告はあったが、看護師の介入に関する文献や、身寄りのない患者への退院支援についての文献は少なかった。退院支援プロセスについて第1段階は、入院時から48時間以内にスクリーニングとアセスメントを行われることが推奨されている。また、急性期病院の平均在院日数が短縮される中で、救急外来における退院支援に向けての看護の充実や、必要性がますます高まっていると考える。そのため、救急の場であっても、患者個人の意思決定を尊重した上で、必要な医療サポートは何かを初療段階から考え、情報収集をしていくことが必要である。その中で、身寄りのない人や意識不明で搬送され、家族の確認ができない人へのマニュアル作成や体制整備を行うことが有効である。夜間や週末の緊急入院など、退院支援看護師の介入までに時間を要することもあり、互いに連携し、初療時に必要な情報収集の内容を検討していく必要があると考える。さらに、家族機能不全に陥った患者に対するシームレスケアの推進に向け、施設内の関係部門の連携や、施設外においては、行政・地域などの社会資源を活用し、役割を担った介入をしていく必要がある。