[O13-02] 救命救急センター外来看護師の退院支援に関する意識調査
Keywords:退院支援
【はじめに】A病院は高度急性期病院で救命救急センターを有し2008年から退院支援を開始しているが、夜間・休日に緊急入院となった場合は介入されず病棟入院となっている。現在、救急外来では退院支援スクリーニングシートの活用はされておらず、医療ソーシャルワーカー(以下:MSW)が医師から直接依頼を受けて介入しているため、看護師が直接退院支援に介入する機会は少ない。そこで退院支援導入後に病棟勤務経験のある看護師は、救急外来においても退院支援を意識した介入を行っているのではないかと考え、救急外来看護師の退院支援に関する意識が退院支援経験の有無に影響されるのか調査した。【目的】救急外来看護師の退院支援に関する意識を明らかにする。【方法】A病院に勤務する救急外来看護師を対象に、「属性」「退院支援に関する用語と退院システムの理解」「救急外来からの退院支援の可能性」「救急外来からの退院支援を阻害する因子」「退院支援に関係する情報共有手段」について17項目のアンケート調査を実施した。分析方法はアンケート調査結果を項目別に得点を合計した後、平均値を算出しA病院で退院支援導入後に、病棟勤務経験有無の2群で比較した。【倫理的配慮】本研究はA病院看護部の承諾を得て実施した。【結果】「退院支援に関する用語と退院システムの理解」の項目で退院支援導入後に病棟勤務経験のある看護師は病棟経験のない看護師と比較すると有意差を認めた。「救急外来からの退院支援の可能性」「救急外来からの退院支援を阻害する因子」「退院支援に関係する情報共有手段」の項目では有意差は認められなかった。救急外来からの退院支援の可能性に関する質問では、看護師全体が退院支援に対する関心は高く、救急外来で退院支援に必要な情報の収集とアセスメントは可能で、救急外来から退院支援を考えるのは可能だと考えていた。【考察】退院支援経験のある看護師は、病棟で定期的に退院支援に関わり、退院支援に関する事例カンファレンスに参加する機会があった。その中で退院支援の概念とプロセスを理解できたのではないかと考える。退院支援の経験がない看護師は知識と経験不足から退院支援を行うには困難であり、サポートが必要であると考える。A病院では救急外来からMSWへ介入依頼を行う件数が年々増加傾向にある。受診時から社会資源が必要な状況の患者に携わる機会や、MSWへ情報提供を行うことが増え、退院支援の必要性を理解することが出来たのではないかと考える。一方で、退院支援経験の有無に関わらず救急外来では処置・治療優先に行うべきだと考えており、日々の業務の中で救命治療が最優先され、救命を意識した状況下では診療の介助を優先に行い情報収集の時間も限られるため退院支援の優先度は低くなると考える。また、A病院の平均在院日数は9.9日で早期から患者の社会背景を把握し、必要な社会資源を考え退院支援を開始することが求められている。救急外来看護師は来院時から退院支援を行うために受診時に得られた情報を病棟へつなげる必要があると考える。救急外来から退院支援を行うためには、退院支援に対する理解を深めるための勉強会や事例検討会を定期的に開催するとともに、重傷者が来院し短時間の関わりであっても記載できる退院支援スクリーニングシートの検討が必要だと考えた。【結論】1.経験がある看護師と経験がない看護師では退院支援についての退院支援についての理解で有意差があった。2.退院支援の経験の有無に関わらず、救急外来で得られる情報は退院支援に活用でき、救急外来から退院支援を行うのは可能だと考えていた。