[O13-03] 心肺蘇生を望まない介護老人福祉施設入所者が心肺停止時に救急搬送に至る要因
キーワード:DNAR、心肺停止、救急
序論
高齢者の救急搬送は年々増加し、特に心肺停止状態の救急搬送は介護老人福祉施設からの搬送が多く、心肺停止時の蘇生や病院への救急搬送の希望の事前意思確認が行っている施設、蘇生拒否権を把握していても急変時には救急搬送している施設は半数程度であることが報告されている。しかし、介護老人福祉施設からの救急搬送に至るプロセス、施設の方針、対応方法の実態など明らかになっていないことが課題として残っている。
研究目的
心肺蘇生を望んでいない入所者の心肺機能停止時における救急搬送の有無と介護老人福祉施設の特性(属性、施設での対応)との関連を明らかにすることである。
研究方法
全国老人福祉施設協議会の会員施設である介護老人福祉施設4353施設のうち、都道府県ごとに系統抽出した2500箇所を対象に郵送調査を行った。調査内容は、施設の特性(施設の属性、施設での対応)と、心肺蘇生を望んでいない入所者が心肺停止となった場合の「施設の方針での救急搬送の要請有無」、救急搬送を行わない方針であった場合の「救急搬送の要請経験の有無」とした。分析方法は、単純集計と「施設の方針で救急搬送の要請有無」「救急搬送の要請経験の有無」との関連をみた。なお、本研究の実施にあたり、金沢医科大学の倫理審査委員会の承認を得た(承認番号I473)。
結果
回収数(率)は、698箇所(27.9%)であった。
施設の属性は、入所者定員は平均71.11人±28.95、常勤の看護師人数4.03人±1.73、常勤の介護士人数28.71人±1.73、配置医の人数1.47人±0.89などであった。
施設での対応は、心肺蘇生の事前意思確認を行っている施設は82.7%あり、その対象者は本人と家族としている施設は51.8%、意思確認を行う時期は入所後複数回74.3%、意思確認を行う職種は医師66.7%、ケアマネジャー38.8%、生活相談員23.9%、看護師23.7%であった。心肺蘇生を望まないという意思確認のある入所者が心肺停止となった時のマニュアルがある施設は51.8%だった。
心肺蘇生を望んでいない入所者が心肺停止となった場合に「施設の方針で救急搬送の要請有無」は、救急搬送を行うと答えた施設は28.6%であった。また、救急搬送を行わない方針であっても「救急搬送の要請経験の有無」は、経験があると答えた施設は48.1%であった。
「施設の方針で救急搬送の要請有無」と施設の特性で関連をみた結果、医師呼び出し体制有り、意思確認に医師・看護師・ケアマネジャーが同席している、心肺停止時のマニュアルの有る介護老人福祉施設は、「施設の方針で救急搬送の要請無」の割合が統計的に有意に高かった(χ2検定、p<0.05)。「救急搬送の要請経験の有無」との関連では、家族への最終確認有りの介護老人福祉施設は、施設の方針で救急搬送の要請をしていないが、「救急搬送の要請経験の有」の割合が高かった。
考察・結論
本研究では、施設での事前意思確認の方法と心肺停止時の対応が、施設の方針として救急搬送を要請している関連結果を認めた。これらは介護老人福祉施設の方針が救急搬送に影響し、その対応は多様であることが明らかになった。今回は、施設を対象として調査だったが、家族への最終確認の有無が関連していたように、入所者個々の特性も影響していることが予測される。
高齢者の救急搬送は年々増加し、特に心肺停止状態の救急搬送は介護老人福祉施設からの搬送が多く、心肺停止時の蘇生や病院への救急搬送の希望の事前意思確認が行っている施設、蘇生拒否権を把握していても急変時には救急搬送している施設は半数程度であることが報告されている。しかし、介護老人福祉施設からの救急搬送に至るプロセス、施設の方針、対応方法の実態など明らかになっていないことが課題として残っている。
研究目的
心肺蘇生を望んでいない入所者の心肺機能停止時における救急搬送の有無と介護老人福祉施設の特性(属性、施設での対応)との関連を明らかにすることである。
研究方法
全国老人福祉施設協議会の会員施設である介護老人福祉施設4353施設のうち、都道府県ごとに系統抽出した2500箇所を対象に郵送調査を行った。調査内容は、施設の特性(施設の属性、施設での対応)と、心肺蘇生を望んでいない入所者が心肺停止となった場合の「施設の方針での救急搬送の要請有無」、救急搬送を行わない方針であった場合の「救急搬送の要請経験の有無」とした。分析方法は、単純集計と「施設の方針で救急搬送の要請有無」「救急搬送の要請経験の有無」との関連をみた。なお、本研究の実施にあたり、金沢医科大学の倫理審査委員会の承認を得た(承認番号I473)。
結果
回収数(率)は、698箇所(27.9%)であった。
施設の属性は、入所者定員は平均71.11人±28.95、常勤の看護師人数4.03人±1.73、常勤の介護士人数28.71人±1.73、配置医の人数1.47人±0.89などであった。
施設での対応は、心肺蘇生の事前意思確認を行っている施設は82.7%あり、その対象者は本人と家族としている施設は51.8%、意思確認を行う時期は入所後複数回74.3%、意思確認を行う職種は医師66.7%、ケアマネジャー38.8%、生活相談員23.9%、看護師23.7%であった。心肺蘇生を望まないという意思確認のある入所者が心肺停止となった時のマニュアルがある施設は51.8%だった。
心肺蘇生を望んでいない入所者が心肺停止となった場合に「施設の方針で救急搬送の要請有無」は、救急搬送を行うと答えた施設は28.6%であった。また、救急搬送を行わない方針であっても「救急搬送の要請経験の有無」は、経験があると答えた施設は48.1%であった。
「施設の方針で救急搬送の要請有無」と施設の特性で関連をみた結果、医師呼び出し体制有り、意思確認に医師・看護師・ケアマネジャーが同席している、心肺停止時のマニュアルの有る介護老人福祉施設は、「施設の方針で救急搬送の要請無」の割合が統計的に有意に高かった(χ2検定、p<0.05)。「救急搬送の要請経験の有無」との関連では、家族への最終確認有りの介護老人福祉施設は、施設の方針で救急搬送の要請をしていないが、「救急搬送の要請経験の有」の割合が高かった。
考察・結論
本研究では、施設での事前意思確認の方法と心肺停止時の対応が、施設の方針として救急搬送を要請している関連結果を認めた。これらは介護老人福祉施設の方針が救急搬送に影響し、その対応は多様であることが明らかになった。今回は、施設を対象として調査だったが、家族への最終確認の有無が関連していたように、入所者個々の特性も影響していることが予測される。