[O13-04] A市広報誌の内容分析からみた感染症に関する地方自治体自主防災活動の今後の課題
Keywords:防災活動、感染症、自治体
はじめに:グローバル化の発展は人々の国境を越えた大移動を可能にし、その中で2003年には新興感染症である重症呼急性吸器症候群(SARS)の発生があり、感染症をとりまく新たな対応が必要とされていた。一方、A市は太平洋に面した人口約70万人の市であり、南海トラフ地震防災対策推進地域指定市町村に指定されている。これまで市や自治体における災害対策は、2011年の東日本大震災を受け、地震・津波に関するものが多く取り上げられていた。2019年からの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行に伴い、感染症対策は全ての住民にとって命を守る目前の重要課題となった。月間発行されているA市の広報誌における災害対策関連記事を内容分析し、地域防災の傾向を量的に把握することにより今後の課題を導き出すことは、災害から自身で身を守るコミュニティー構築に向けた意義ある資料となる。
目的: A市広報誌の災害対策関連記事の検討から防災の傾向並びに自治体における自主防災活動の課題を明らかにすることである。
方法:データ収集は、A市広報誌(電子ブック版)を用い、分析対象期間を、直近3年間の2017年7月~2020年6月とした。近年、都や自治体などの行政機関が保有するオープンデータの活用が進められている。オープンデータとは二次利用可能な利用ルールかつ機械判読に適した形式で民間へ開放された公共データのことを指す(総務省、2014)。A市広報誌のオープンデータを活用し、市民へ向けた広報誌内のメッセージを数量的に収集した。A市ホームページ内『危機管理・防災』のサイトでは、災害対策を「地震」「津波」「風水害」に分類しているためこの3つのキーワードに、直面している問題である「感染症」を加え、4つのキーワードを分析単位とした。分析は、Microsoft Excelを用いて得られた単純集計を基に内容分析を行った。倫理的配慮として所属施設管理者の許可を得て実施した。また記事の内容分析にあたり検索件数を繰り返し正確に数え、記事文面は意味内容を変えないよう配慮した。
結果:広報誌は分析対象期間の3年間で36回発行されていた。キーワードの収集数は、「地震」が最も多く117個(43.6%)、次いで「津波」112個(41.8%)、「感染症」31個(11.6%)、「風水害」8個(3.0%)であった。2017年7月から2020年3月の2年9か月の間に「感染症」は10個収集され、その内容は小児の予防接種やペットに関するものであった。COVID-19の拡大に伴い2020年4月以降の3か月では「感染症」のキーワードは21個収集された。
考察:2020年3月以前の2年9か月間において広報誌内に「感染症」という言葉が出現したのは10回に留まり、記事内容も感染症対策ではなかったという状況から、A市広報誌における感染症災害対策はほとんど市民に伝達されてこなかったと言わざるを得ない。A市広報誌は、各自治会を通して各家庭へ手渡しで配布され、地域交流の一端を担っている。今後、「感染症」を予防する・備えることは「地震」「津波」「風水害」に加え重要な地域防災のテーマである。COVID-19の世界的流行は、市や自治体における防災対策を根本から見直す機会と捉え、日頃から地域ぐるみの検討会が喫緊の課題である。
目的: A市広報誌の災害対策関連記事の検討から防災の傾向並びに自治体における自主防災活動の課題を明らかにすることである。
方法:データ収集は、A市広報誌(電子ブック版)を用い、分析対象期間を、直近3年間の2017年7月~2020年6月とした。近年、都や自治体などの行政機関が保有するオープンデータの活用が進められている。オープンデータとは二次利用可能な利用ルールかつ機械判読に適した形式で民間へ開放された公共データのことを指す(総務省、2014)。A市広報誌のオープンデータを活用し、市民へ向けた広報誌内のメッセージを数量的に収集した。A市ホームページ内『危機管理・防災』のサイトでは、災害対策を「地震」「津波」「風水害」に分類しているためこの3つのキーワードに、直面している問題である「感染症」を加え、4つのキーワードを分析単位とした。分析は、Microsoft Excelを用いて得られた単純集計を基に内容分析を行った。倫理的配慮として所属施設管理者の許可を得て実施した。また記事の内容分析にあたり検索件数を繰り返し正確に数え、記事文面は意味内容を変えないよう配慮した。
結果:広報誌は分析対象期間の3年間で36回発行されていた。キーワードの収集数は、「地震」が最も多く117個(43.6%)、次いで「津波」112個(41.8%)、「感染症」31個(11.6%)、「風水害」8個(3.0%)であった。2017年7月から2020年3月の2年9か月の間に「感染症」は10個収集され、その内容は小児の予防接種やペットに関するものであった。COVID-19の拡大に伴い2020年4月以降の3か月では「感染症」のキーワードは21個収集された。
考察:2020年3月以前の2年9か月間において広報誌内に「感染症」という言葉が出現したのは10回に留まり、記事内容も感染症対策ではなかったという状況から、A市広報誌における感染症災害対策はほとんど市民に伝達されてこなかったと言わざるを得ない。A市広報誌は、各自治会を通して各家庭へ手渡しで配布され、地域交流の一端を担っている。今後、「感染症」を予防する・備えることは「地震」「津波」「風水害」に加え重要な地域防災のテーマである。COVID-19の世界的流行は、市や自治体における防災対策を根本から見直す機会と捉え、日頃から地域ぐるみの検討会が喫緊の課題である。