[O14-01] 高度救命救急センターにおける面会拡大の効果 ー看護師の視点からー
Keywords:面会拡大、意識、行動
Ⅰ.研究目的
A病院高度救命救急センター(以下、救命センター)における面会拡大の効果を明らかにする。
Ⅱ.研究方法
救命センター看護師42名を対象に、自作の無記名自記式質問紙による留め置き質問紙調査を行なった。質問内容は、1)対象者の属性、2)面会拡大後の看護師の変化の有無について①看護師の意識②看護師の行動③その他④変化なしから多肢選択形で回答、3)2)の変化の内容を自由記述で回答とした。調査期間は2019年11月14日〜11月28日とした。質問内容1)、2)については単純集計、3)については1記述文を1コードとし、意味内容の類似性に従い分類後、カテゴリー化を行なった。当院看護部倫理委員会で承認を得た。
Ⅲ.結果
42名中33名から回答を得た。
1.対象者の属性
回答者の看護師経験年数は平均8.2年、救命センターでの経験年数は平均4.8年であった。
2.面会拡大後の看護師の変化の有無
面会拡大後の看護師の変化は、あり91%、なし9%であった。変化ありの回答の内訳は、意識の変化42%、行動の変化12%、意識と行動両方の変化36%、その他0%であった。
3.面会拡大後の看護師の変化の具体的内容分析
「意識」の変化については、【家族との関係性の構築】【退院後の生活への意識】【業務調整】【環境調整】【接遇】の5カテゴリーが抽出された。
「行動」の変化については、【家族の情緒支援】【情報収集】【家族との関係性の構築】【意思決定支援】【業務調整】【環境調整】【患者の尊厳の維持】【家族の患者ケアへの参加】【家族への情報提供】の9カテゴリーが抽出された。
Ⅳ.考察
以下、カテゴリーを【】、サブカテゴリーを「」で示す。
救命センターに搬送される患者の家族は、身内の危機的状況を目の当たりにし、心理的な不安定状態となり精神的危機状態に陥ることも多い。クリティカルケア領域の家族看護は、そのような家族の特徴を踏まえ、【家族との関係性の構築】を行い、看護師の【業務調整】や【環境調整】により家族の周囲の環境を整えること、心理的危機状況にある家族に対し、【家族への情報提供】や【家族の情緒支援】を行うこと、十分な時間的猶予が無い中で【意思決定支援】を行うことが必要である。このことから、これらのカテゴリーは、家族看護に対する意識の向上や行動の変化であると考えられる。また、【患者の尊厳の維持】では、「行動制限の最小化」を図るという行動の変化を認めており、患者だけではなく家族の心理面にも配慮した行動であると考えられる。
【退院後の生活への意識】は、患者を入院患者という現在の姿だけでなく、地域での生活者という視点で捉えようとしている変化の表れであり、患者の家族背景や入院前の生活状況に関する【情報収集】という行動の変化としても表れていた。
【接遇】に関する変化は、面会拡大で家族の在院時間が増加したことで、常に見られているという意識の変化が看護師自身の行動を振り返るきっかけになったと考える。
Ⅴ.結論
1.意識に関する変化として【家族との関係性の構築】【退院後の生活への意識】【業務調整】【環境調整】【接遇】の5カテゴリーが見出された。
2.行動に関する変化として【家族との関係性の構築】【情報収集】【家族の情緒支援】【意思決定支援】【業務調整】【環境調整】【患者の尊厳の維持】【家族の患者ケアへの参加】【家族への情報提供】の9カテゴリーが見出された。
3.面会拡大は、家族看護、患者の捉え方、接遇に対する意識と行動に影響があることが示唆された。
A病院高度救命救急センター(以下、救命センター)における面会拡大の効果を明らかにする。
Ⅱ.研究方法
救命センター看護師42名を対象に、自作の無記名自記式質問紙による留め置き質問紙調査を行なった。質問内容は、1)対象者の属性、2)面会拡大後の看護師の変化の有無について①看護師の意識②看護師の行動③その他④変化なしから多肢選択形で回答、3)2)の変化の内容を自由記述で回答とした。調査期間は2019年11月14日〜11月28日とした。質問内容1)、2)については単純集計、3)については1記述文を1コードとし、意味内容の類似性に従い分類後、カテゴリー化を行なった。当院看護部倫理委員会で承認を得た。
Ⅲ.結果
42名中33名から回答を得た。
1.対象者の属性
回答者の看護師経験年数は平均8.2年、救命センターでの経験年数は平均4.8年であった。
2.面会拡大後の看護師の変化の有無
面会拡大後の看護師の変化は、あり91%、なし9%であった。変化ありの回答の内訳は、意識の変化42%、行動の変化12%、意識と行動両方の変化36%、その他0%であった。
3.面会拡大後の看護師の変化の具体的内容分析
「意識」の変化については、【家族との関係性の構築】【退院後の生活への意識】【業務調整】【環境調整】【接遇】の5カテゴリーが抽出された。
「行動」の変化については、【家族の情緒支援】【情報収集】【家族との関係性の構築】【意思決定支援】【業務調整】【環境調整】【患者の尊厳の維持】【家族の患者ケアへの参加】【家族への情報提供】の9カテゴリーが抽出された。
Ⅳ.考察
以下、カテゴリーを【】、サブカテゴリーを「」で示す。
救命センターに搬送される患者の家族は、身内の危機的状況を目の当たりにし、心理的な不安定状態となり精神的危機状態に陥ることも多い。クリティカルケア領域の家族看護は、そのような家族の特徴を踏まえ、【家族との関係性の構築】を行い、看護師の【業務調整】や【環境調整】により家族の周囲の環境を整えること、心理的危機状況にある家族に対し、【家族への情報提供】や【家族の情緒支援】を行うこと、十分な時間的猶予が無い中で【意思決定支援】を行うことが必要である。このことから、これらのカテゴリーは、家族看護に対する意識の向上や行動の変化であると考えられる。また、【患者の尊厳の維持】では、「行動制限の最小化」を図るという行動の変化を認めており、患者だけではなく家族の心理面にも配慮した行動であると考えられる。
【退院後の生活への意識】は、患者を入院患者という現在の姿だけでなく、地域での生活者という視点で捉えようとしている変化の表れであり、患者の家族背景や入院前の生活状況に関する【情報収集】という行動の変化としても表れていた。
【接遇】に関する変化は、面会拡大で家族の在院時間が増加したことで、常に見られているという意識の変化が看護師自身の行動を振り返るきっかけになったと考える。
Ⅴ.結論
1.意識に関する変化として【家族との関係性の構築】【退院後の生活への意識】【業務調整】【環境調整】【接遇】の5カテゴリーが見出された。
2.行動に関する変化として【家族との関係性の構築】【情報収集】【家族の情緒支援】【意思決定支援】【業務調整】【環境調整】【患者の尊厳の維持】【家族の患者ケアへの参加】【家族への情報提供】の9カテゴリーが見出された。
3.面会拡大は、家族看護、患者の捉え方、接遇に対する意識と行動に影響があることが示唆された。