[O15-06] 救急病棟における身体抑制減少へのとりくみ
~看護師に対して講義を行うことでの意識に変化はあるか~
キーワード:抑制、講義、意識
【目的】
救急病棟において、身体抑制を減少させるための講義を開催することにより看護師の身体抑制に対する意識変化があるかを検証する。
【研究方法】
1.研究デザイン:介入研究
2.研究期間:令和元年9月~令和2年2月
3.研究対象:A病棟看護師2年目以上 23名
4.調査方法:面談法、質問紙
5.調査内容:
1)対象者に対して、研究開始時に身体抑制に関する思い・考えについて質問紙調査をする。
2)講義を開催する。内容は、患者の権利、身体抑制をされた時の患者の状況、看護師の身体抑制に対する考え方の傾向、身体抑制に代わる代替品とする。
3)講義で出た抑制帯の代わりになる物(こと)を実施する。
4)講義1ヶ月後に対象スタッフに質問紙調査をする。内容は、講義前と同様。
5)講義後の質問紙調査後、取り組んだ結果について、フォーカスグループでインタビ
ューを行う。
6)倫理的配慮 対象者に、研究の主旨・方法、プライバシーの保護、研究の撤回の自由、研究参加を撤回した場合に不利益を生じないことについて書面で説明し、同意を得た。所属病院の倫理審査委員会の承認を得た。
【結果】
対象者は23名で、講義前23名、講義後22名の回答を得た。内訳は、2~4年目11名、5~9年目4名、10年目以上8名であった。
1.身体抑制に対する講義前後での看護師の意識
身体抑制について、講義後「必要」と答えた人の割合が減少し、特に2~4年目は講義前「必要」から講義後「どちらともいえない」「必要ない」の割合が増えた。次に、身体抑制は患者の権利や倫理に影響するかについては、講義後「かなり影響する」と答えた割合が多く、2~4年目と10年目以上で「かなり影響する」が増加した。
2.インタビューの結果、アームカバー等の代替品については、『患者・家族の目線』『看護師の目線』で語られ、「抑制帯を使うという選択肢が減っている」と語られた。次に、抑制率の減少については、『患者とのかかわり』で「抑制前の看護師の行動の変化」「適切な病床」「日中の離床の促進」、『多職種との連携』で「せん妄予防」「必要な点滴方法を医師と検討する」、『講義の影響』では「倫理について考える」が語られた。また、抑制率を下げている方策は、『患者とのかかわり』で「離床」「適切な病床」、『看護師に対してのアプローチ』で「視覚的な情報」「継続するための話し合い」、『多職種との連携』では「薬剤の調整」「リエゾンチームとの連携」が語られた。
3.1ヶ月あたりのルート類計画外抜去件数、転倒転落件数は、それぞれ講義前5件1.3件、講義後3件、1件であった。抑制率は、講義前33.1%、講義後4.7%であった。
【考察】
講義で、身体抑制について看護師が考える機会や代替案を示すことで抑制率を減少させたことが示唆された。また、抑制の有無が点滴の計画外抜去件数や転倒転落の件数には影響していないことも示唆された。
講義時には、身体抑制をしないことは不可能と思っていた人も講義後から病棟全体で抑制を行わない方向に進んでいるのを見て考えに少し変化がみられた。看護師が協力し、お互いに声を掛け合ったことが抑制率減少の結果に繋がったと考える。今回の結果を一時的なものとしないために、定期的に倫理について考えたり、話し合う機会を設けることが必要であると考える。
【結論】
1.講義後、患者の権利について考えるスタッフが増え、抑制率も減少したことから、身体抑制に対する意識の変化はあった。
2.代替品などの提案をすることで、身体抑制率を減らすことができた。
3.抑制率が下がっても、点滴の計画外・転倒転落の件数は大きく増加していない。
救急病棟において、身体抑制を減少させるための講義を開催することにより看護師の身体抑制に対する意識変化があるかを検証する。
【研究方法】
1.研究デザイン:介入研究
2.研究期間:令和元年9月~令和2年2月
3.研究対象:A病棟看護師2年目以上 23名
4.調査方法:面談法、質問紙
5.調査内容:
1)対象者に対して、研究開始時に身体抑制に関する思い・考えについて質問紙調査をする。
2)講義を開催する。内容は、患者の権利、身体抑制をされた時の患者の状況、看護師の身体抑制に対する考え方の傾向、身体抑制に代わる代替品とする。
3)講義で出た抑制帯の代わりになる物(こと)を実施する。
4)講義1ヶ月後に対象スタッフに質問紙調査をする。内容は、講義前と同様。
5)講義後の質問紙調査後、取り組んだ結果について、フォーカスグループでインタビ
ューを行う。
6)倫理的配慮 対象者に、研究の主旨・方法、プライバシーの保護、研究の撤回の自由、研究参加を撤回した場合に不利益を生じないことについて書面で説明し、同意を得た。所属病院の倫理審査委員会の承認を得た。
【結果】
対象者は23名で、講義前23名、講義後22名の回答を得た。内訳は、2~4年目11名、5~9年目4名、10年目以上8名であった。
1.身体抑制に対する講義前後での看護師の意識
身体抑制について、講義後「必要」と答えた人の割合が減少し、特に2~4年目は講義前「必要」から講義後「どちらともいえない」「必要ない」の割合が増えた。次に、身体抑制は患者の権利や倫理に影響するかについては、講義後「かなり影響する」と答えた割合が多く、2~4年目と10年目以上で「かなり影響する」が増加した。
2.インタビューの結果、アームカバー等の代替品については、『患者・家族の目線』『看護師の目線』で語られ、「抑制帯を使うという選択肢が減っている」と語られた。次に、抑制率の減少については、『患者とのかかわり』で「抑制前の看護師の行動の変化」「適切な病床」「日中の離床の促進」、『多職種との連携』で「せん妄予防」「必要な点滴方法を医師と検討する」、『講義の影響』では「倫理について考える」が語られた。また、抑制率を下げている方策は、『患者とのかかわり』で「離床」「適切な病床」、『看護師に対してのアプローチ』で「視覚的な情報」「継続するための話し合い」、『多職種との連携』では「薬剤の調整」「リエゾンチームとの連携」が語られた。
3.1ヶ月あたりのルート類計画外抜去件数、転倒転落件数は、それぞれ講義前5件1.3件、講義後3件、1件であった。抑制率は、講義前33.1%、講義後4.7%であった。
【考察】
講義で、身体抑制について看護師が考える機会や代替案を示すことで抑制率を減少させたことが示唆された。また、抑制の有無が点滴の計画外抜去件数や転倒転落の件数には影響していないことも示唆された。
講義時には、身体抑制をしないことは不可能と思っていた人も講義後から病棟全体で抑制を行わない方向に進んでいるのを見て考えに少し変化がみられた。看護師が協力し、お互いに声を掛け合ったことが抑制率減少の結果に繋がったと考える。今回の結果を一時的なものとしないために、定期的に倫理について考えたり、話し合う機会を設けることが必要であると考える。
【結論】
1.講義後、患者の権利について考えるスタッフが増え、抑制率も減少したことから、身体抑制に対する意識の変化はあった。
2.代替品などの提案をすることで、身体抑制率を減らすことができた。
3.抑制率が下がっても、点滴の計画外・転倒転落の件数は大きく増加していない。