第22回日本救急看護学会学術集会

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一般演題

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[O15] 一般演題15

[O15-08] 看護師の自殺未遂患者に対する態度尺度の構成概念妥当性の検討

○瓜﨑 貴雄1 (1. 大阪医科大学看護学部看護学科)

Keywords:自殺未遂、態度、尺度

【目的】研究目的は、看護師の自殺未遂患者に対する態度尺度(NASSA:The Nurse’s Attitude Scale for Suicide Attempters)の構成概念妥当性を検討することである。
【方法】1.対象者:本邦の救命救急センター全289施設のうち、協力の受諾を得た73施設の看護師2,122名を対象とした。2.調査方法:郵送法にて無記名自記式質問紙調査を2018年11月~2019年3月に実施した。3.調査内容:質問紙は、(1)看護師の個人特性(2)自殺未遂患者をケアすることへの不安(3)NASSA(瓜﨑,2017)(4)一般健康調査票12項目版(GHQ12項目版)(中川,大坊,2013)(5)多次元共感性測定尺度(MES:Multidimensional Empathy Scale)(鈴木他,2008)(6)看護実践環境(緒方他,2010)(7)自由記述から構成した。本研究では(3)(5)について分析を行った。NASSAは【行く末への気がかり】(3項目)、【自殺行動の否定】(3項目)、【危機への関わり】(5項目)の3因子11項目からなり、信頼性と妥当性が確認されている。回答形式は7件法である。得点範囲は1~7点であり、得点が高いほど各傾向が強いことを表す。MESは他者の感情や意見に影響されやすい傾向を表す【被影響性】(5項目)、他者に焦点づけられた情緒反応を示す【他者指向的反応】(5項目)、自己を架空の人物に投影させる認知傾向を表す【想像性】(5項目)、相手の立場からその他者を理解しようとする認知傾向を表す【視点取得】(5項目)、他者の心理状態について自己に焦点づけられた情緒反応を示す【自己指向的反応】(4項目)といった5因子24項目からなり、信頼性と妥当性が確認されている。回答形式は5件法である。得点範囲は1~5点であり、得点が高いほど各特性が強いことを表す。4.分析方法:1)NASSAは確認的因子分析によって因子構造を検証する。2)NASSAとMESの関連については、次の仮説を検証する。(1)【危機への関わり】は看護師としての責務を果たそうとする態度であるため、【他者指向的反応】【視点取得】と正の相関があり、【被影響性】【想像性】【自己指向的反応】とは相関がない。(2)【行く末への気がかり】は、患者の今後の生活への関心や懸念を表す態度であるため、【被影響性】【他者指向的反応】【視点取得】と正の相関がある。(3)【自殺行動の否定】は、患者の立場に立つことが困難で、患者に対する憤りを表す態度であるため、【被影響性】【自己指向的反応】【想像性】と正の相関がある。有意水準は5%とし、分析には統計解析ソフト(IBM SPSS Statistics 26、IBM SPSS Amos 26)を用いた。5.倫理的配慮:A大学研究倫理委員会の承認を得た。MESは開発者に使用の許可を得た。質問紙の回収をもって、研究参加の承諾が得られたと判断した。
【結果】質問紙は829名から回収し(回収率39.1%)、419名の有効回答を得た。NASSAの確認的因子分析の結果、モデルは棄却された(χ2(41)=106.848,p<0.001)。適合度指標はGFI=0.955、AGFI=0.928、CFI=0.963、RMSEA=0.062であった。相関分析の結果を表1に示した。
【考察】確認的因子分析の結果、モデルは棄却されたが、適合度指標の値は許容できるレベルであった。相関分析の結果、3つの仮説は概ね実証された。したがって、NASSAの構成概念妥当性が示されたと考えられる。
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