[O2-05] 地域の三次救急医療施設に救急搬送された65歳以上の患者の実態調査
Keywords:高齢者救急、三次救急、救急要請、地域連携、プレホスピタル
【目的】
救急搬送された65歳以上の実態を把握し、傾向と問題点を抽出して地域包括ケアシステムの役割を意識した取り組みへ繋げることができる。
【方法】
1.対象:2019年4月~9月に当救命救急センター外来に救急搬送された65歳以上の患者。
2.調査方法:カルテから要請内容・要請地域・居住地域・年齢・性別・病名・転帰・紹介の有無・付き添いの有無・施設からの救急要請か・往診医の介入の有無・かかりつけであるか・5件ルールであるか(他の5施設で搬送を断られた患者の受け入れ)について情報を収集し、単純集計した。
【倫理的配慮】
所属施設の倫理委員会で承認を得てホームページ上に研究の主旨と方法、個人情報保護について公開し、拒否できるようにした。
【結果】
全搬送数3783件のうち65歳以上は1212名(32%)、75歳以上は784名(21%)であり、要請地区は、浦安・市川953件(79%)、東京158件(13%)、船橋51件(4%)、その他50件(4%)であった。
転帰は入院701件(58%)、帰宅434件(36%)、転送27件(2%)(転送内容はかかりつけ病院への転送12件、救急病院適応外5件、診断・処置後に元の病院へ戻る4件など)、死亡が50件(4%)であった。
高齢者施設からの要請は135件(11%)で、要請内容は三次要請25件(19%)発熱23件(17%)意識障害20件(15%)、往診医の介入がある要請は83名(7%)で、要請内容は呼吸困難17件(20%)発熱15件(18%)3次要請12件(14%)であった。
かかりつけ以外の一次二次要請患者は301件(25%)あり、75歳以上での初診、紹介や三次要請ではないのは175件(14%)、5件ルールの受け入れは2件であった。
来院までにキーパーソンと連絡がとれなかったのは帰宅者の場合106件(24%)、来院後死亡の場合9件(18%)であった。
【考察】
65歳以上の救急搬送数は全体の32%であり、要請地域は管轄する浦安市と市川市が79%を占めており、地域の救急病院としての役割を担えていることが分かった。救急搬送後の帰宅者は36%であり、厚生労働省は8割が帰宅していると報告していることから、近隣の医療圏では全国と比較し適正な選択ができていることが分かった。しかし、初診で他院からの紹介や三次要請ではない患者と5件ルールに該当した症例も多く、他の一次二次病院への病院選択もできたと考えられる。
高齢者施設からの要請は三次要請が最も多いのに対し、往診医の介入では三次要請が少ない。これは往診医が介入していれば医師に相談でき、急変時であっても本人や家族の望む場所で治療を選択できることに対し、施設では本人の意思が治療や延命処置を望まない場合であっても救急車を要請しなくてはならない状況であることが推測できる。そのため、かかりつけ医を持つことや往診医の介入があることの重要性を患者本人が認識して病状の悪化時にはかかりつけ医に相談し、必要に応じて大学病院を紹介受診する、というサイクルを作ることが地域全体で患者の状況にあった病院を選択していく為に必要であると考える。
キーパーソンと連絡が取れずに搬送される場合には、地域の支援を受けるために体制を整えるまでの間、社会的入院が必要となる。急変時では、患者本人の意思と無関係に延命治療を開始せざるを得ず、救命処置や治療の選択を医療者が行うなどの問題が生じやすい。医療現場の窓口である救急外来で、患者の社会的要因を早期にアセスメントし、専門職や地域連携を図ることが課題となる。
救急搬送された65歳以上の実態を把握し、傾向と問題点を抽出して地域包括ケアシステムの役割を意識した取り組みへ繋げることができる。
【方法】
1.対象:2019年4月~9月に当救命救急センター外来に救急搬送された65歳以上の患者。
2.調査方法:カルテから要請内容・要請地域・居住地域・年齢・性別・病名・転帰・紹介の有無・付き添いの有無・施設からの救急要請か・往診医の介入の有無・かかりつけであるか・5件ルールであるか(他の5施設で搬送を断られた患者の受け入れ)について情報を収集し、単純集計した。
【倫理的配慮】
所属施設の倫理委員会で承認を得てホームページ上に研究の主旨と方法、個人情報保護について公開し、拒否できるようにした。
【結果】
全搬送数3783件のうち65歳以上は1212名(32%)、75歳以上は784名(21%)であり、要請地区は、浦安・市川953件(79%)、東京158件(13%)、船橋51件(4%)、その他50件(4%)であった。
転帰は入院701件(58%)、帰宅434件(36%)、転送27件(2%)(転送内容はかかりつけ病院への転送12件、救急病院適応外5件、診断・処置後に元の病院へ戻る4件など)、死亡が50件(4%)であった。
高齢者施設からの要請は135件(11%)で、要請内容は三次要請25件(19%)発熱23件(17%)意識障害20件(15%)、往診医の介入がある要請は83名(7%)で、要請内容は呼吸困難17件(20%)発熱15件(18%)3次要請12件(14%)であった。
かかりつけ以外の一次二次要請患者は301件(25%)あり、75歳以上での初診、紹介や三次要請ではないのは175件(14%)、5件ルールの受け入れは2件であった。
来院までにキーパーソンと連絡がとれなかったのは帰宅者の場合106件(24%)、来院後死亡の場合9件(18%)であった。
【考察】
65歳以上の救急搬送数は全体の32%であり、要請地域は管轄する浦安市と市川市が79%を占めており、地域の救急病院としての役割を担えていることが分かった。救急搬送後の帰宅者は36%であり、厚生労働省は8割が帰宅していると報告していることから、近隣の医療圏では全国と比較し適正な選択ができていることが分かった。しかし、初診で他院からの紹介や三次要請ではない患者と5件ルールに該当した症例も多く、他の一次二次病院への病院選択もできたと考えられる。
高齢者施設からの要請は三次要請が最も多いのに対し、往診医の介入では三次要請が少ない。これは往診医が介入していれば医師に相談でき、急変時であっても本人や家族の望む場所で治療を選択できることに対し、施設では本人の意思が治療や延命処置を望まない場合であっても救急車を要請しなくてはならない状況であることが推測できる。そのため、かかりつけ医を持つことや往診医の介入があることの重要性を患者本人が認識して病状の悪化時にはかかりつけ医に相談し、必要に応じて大学病院を紹介受診する、というサイクルを作ることが地域全体で患者の状況にあった病院を選択していく為に必要であると考える。
キーパーソンと連絡が取れずに搬送される場合には、地域の支援を受けるために体制を整えるまでの間、社会的入院が必要となる。急変時では、患者本人の意思と無関係に延命治療を開始せざるを得ず、救命処置や治療の選択を医療者が行うなどの問題が生じやすい。医療現場の窓口である救急外来で、患者の社会的要因を早期にアセスメントし、専門職や地域連携を図ることが課題となる。