第22回日本救急看護学会学術集会

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一般演題

トリアージ

[O3] 一般演題3

[O3-01] 再トリアージに焦点したA病院救急センターの院内トリアージの現状と課題

○林 恵美1、草刈 陽子1、直原 麻由1、矢部 美香1 (1. 岡山済生会総合病院)

Keywords:再トリアージ、院内トリアージ、トリアージ検証

<目的>

A病院では2012年よりwalkinでERを受診した患者に対してJTASを用いて院内トリアージを実施している。初期トリアージは約80%と概ね実施できている。しかしA病院では再トリアージが1%未満と実施できていない。そこで今回再トリアージが実施できていない原因を調査するため、検証を行った。

<方法>

1)対象:2018年4月から2019年3月に再トリアージ未実施でICUとHCUに入院した重症患者のwalkin患者24名

2)データ分析

①初期トリアージ妥当性の検証

救急医1名とトリアージナース2名で電子カルテを用いて行い勤務帯(日勤、準夜、深夜)と妥当性の関係について調査
初期トリアージに要する時間に影響を与える因子について検証
対象患者の来院から初期トリアージまでの時間と初期トリアージから診察までの時間を算出、患者来院時の勤務帯との関係を箱ひげ図を用いて評価、患者来院時の勤務帯における救急車受け入れ状況・walkin患者数・重症者数の相関関係を重回帰分析により評価(有意水準は5%)

3)倫理的配慮:本研究はA病院倫理審査委員会による倫理審査を受け承認されている

<結果>

初期トリアージの検証で妥当性はトリアージレベル2の患者は90%、トリアージレベル3の患者は46%であった。勤務帯と初期トリアージの妥当性は準夜においてわずか50%であった。

対象患者の来院から初期トリアージまでの時間および初期トリアージから診察までの時間と勤務帯との関係は初期トリアージまでの時間は日勤において最も長かった。

重回帰分析の結果は初期トリアージまでの時間は重症患者数に最も影響を受け、偏相関係数は0.344を示したが有意差は認められなかった (p=0.149)。初期トリアージから診察までの時間はwalkin患者数が少なくなるに従い増加する傾向を示し、偏相関係数は-391であったが有意差は認められなかった(p=0.098)。

<考察>

再トリアージが出来ていない要因として準夜では患者数は多いがスタッフは少なく、重症患者には多数のスタッフで対応するためトリアージに専念出来ない。またトリアージレベル3はトリアージナースが「待てる」と判断してしまう傾向にありトリアージの適正度が低下することがわかった。以上のことを踏まえ準夜帯・トリアージレベル3に焦点を当て、再トリアージが出来るようトリアージ教育を行っていくことが今後の課題である。
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