[O3-02] 電話対応プロトコールの使用向上への試み
Keywords:電話トリアージ
Ⅰ はじめに
当院救命救急センターは、様々な電話相談が寄せられ、救急業務を行いながら対応にあたっている。その為、平成28年度には9項目の電話対応プロトコール(以下プロトコールとする)を作成、導入した。導入当初は、使用する意識が薄く、定着・使用率向上に繋がらなかった。そこで30年度には救命センターの目標の一つに掲げ、係を設置し使用率向上に努めた。また、導入後に入職・異動した看護師に対し、教育的な観点からコールトリアージシステムや、統一した対応・適切な病院選定の重要性を説明した。さらに事後検証を繰り返し行ってきた結果、使用率の上昇がみられたため報告する。
Ⅱ 研究目的
電話対応プロトコールの構築と浸透率向上への取り組みに対する実態調査
Ⅲ 研究方法
1 研究対象者:救命センター看護師 18名
2 研究期間:平成30年4月~令和2年2月
調査期間:令和元年8月~7ヶ月
3 方法
1)先行研究で行ったアンケートにより新項目の選定
2)4項目のプロトコール追加
(1)救急受診ガイド2014年度版を参照
(2)各診療部長に確認、修正を依頼
(3)プロトコールを救急運営委員会で承認依頼
(4)承認されたプロトコールをスタッフに説明
3)プロトコールを使用
4)プロトコール実施後の事後検証
5)アンダートリアージの評価
6)プロトコールの集計
(1)電話相談記録用紙の精査
(2)使用状況を集計
(3)当院受診歴がある場合は診療記録と照合
7)プロトコールに対する意見と、意識に関するアンケート調査
8)データの分析
Ⅳ 倫理的配慮
研究の趣旨・目的について書面で説明し同意を得た。またA病院の倫理委員会にも承認を得た。
Ⅴ 結果
プロトコール13項目の使用率の調査を行った。調査期間の電話件数は839件、プロトコールに該当する件数は386件だった。その内、使用しているのは266件、使用率69%だった。救命救急センター看護師にアンケート調査、有効回答率100%。「プロトコールを活用していますか」に対しては、「はい」が89%、「ときどき」が11%、「いいえ」は0%。「プロトコール表の使用は面倒だと感じたことはありますか」の問いに「はい」が33%、「いいえ」が67%だった。
Ⅳ考察
平成28年度から導入したが、使用率が上がらず維持・継続も危ぶまれた。アンケートでは、プロトコールの使用が面倒だと感じたスタッフのほとんどが看護師経験年数15年以上だった。伊藤氏によると「過去の成功体験が多ければ多いほど、それが足かせとなり、変化を拒むことになります」と述べているように、看護師経験年数が長く知識も豊富になると、自分の考えで対応できるため面倒に感じるのではないかと考察する。
平成30年度に救命救急センターの目標の1つとし、また係を設け事後検証や振り返りを繰り返し行ってきた結果、平均使用率は69%まで上昇した。これは係の活動の成果が現れた結果と示唆される。
アンケートで「プロトコールを活用していますか」の問いに、「はい」が前回23%だったのに対し、今回89%だった。ハーバード大学のジョン・コッター氏が「新しいやり方を変えることもエネルギーが必要だが、新しい仕組みやプロセスを回す人の意識と行動を変えるのは、もっともっとエネルギーが必要だ」と述べているように4年の経過の中で、係として引き続き介入し、志気を高めてきたからではないかと思われる。また、コッター氏の言う、成果を生かして変革を推進する事として、スタッフの意見を取り入れ、プロトコールの追加や教育に力を入れた事が、定着に繋がったと考察する。新しいものを導入・定着させるには、常に介入や変革が必要であると分かった。
当院救命救急センターは、様々な電話相談が寄せられ、救急業務を行いながら対応にあたっている。その為、平成28年度には9項目の電話対応プロトコール(以下プロトコールとする)を作成、導入した。導入当初は、使用する意識が薄く、定着・使用率向上に繋がらなかった。そこで30年度には救命センターの目標の一つに掲げ、係を設置し使用率向上に努めた。また、導入後に入職・異動した看護師に対し、教育的な観点からコールトリアージシステムや、統一した対応・適切な病院選定の重要性を説明した。さらに事後検証を繰り返し行ってきた結果、使用率の上昇がみられたため報告する。
Ⅱ 研究目的
電話対応プロトコールの構築と浸透率向上への取り組みに対する実態調査
Ⅲ 研究方法
1 研究対象者:救命センター看護師 18名
2 研究期間:平成30年4月~令和2年2月
調査期間:令和元年8月~7ヶ月
3 方法
1)先行研究で行ったアンケートにより新項目の選定
2)4項目のプロトコール追加
(1)救急受診ガイド2014年度版を参照
(2)各診療部長に確認、修正を依頼
(3)プロトコールを救急運営委員会で承認依頼
(4)承認されたプロトコールをスタッフに説明
3)プロトコールを使用
4)プロトコール実施後の事後検証
5)アンダートリアージの評価
6)プロトコールの集計
(1)電話相談記録用紙の精査
(2)使用状況を集計
(3)当院受診歴がある場合は診療記録と照合
7)プロトコールに対する意見と、意識に関するアンケート調査
8)データの分析
Ⅳ 倫理的配慮
研究の趣旨・目的について書面で説明し同意を得た。またA病院の倫理委員会にも承認を得た。
Ⅴ 結果
プロトコール13項目の使用率の調査を行った。調査期間の電話件数は839件、プロトコールに該当する件数は386件だった。その内、使用しているのは266件、使用率69%だった。救命救急センター看護師にアンケート調査、有効回答率100%。「プロトコールを活用していますか」に対しては、「はい」が89%、「ときどき」が11%、「いいえ」は0%。「プロトコール表の使用は面倒だと感じたことはありますか」の問いに「はい」が33%、「いいえ」が67%だった。
Ⅳ考察
平成28年度から導入したが、使用率が上がらず維持・継続も危ぶまれた。アンケートでは、プロトコールの使用が面倒だと感じたスタッフのほとんどが看護師経験年数15年以上だった。伊藤氏によると「過去の成功体験が多ければ多いほど、それが足かせとなり、変化を拒むことになります」と述べているように、看護師経験年数が長く知識も豊富になると、自分の考えで対応できるため面倒に感じるのではないかと考察する。
平成30年度に救命救急センターの目標の1つとし、また係を設け事後検証や振り返りを繰り返し行ってきた結果、平均使用率は69%まで上昇した。これは係の活動の成果が現れた結果と示唆される。
アンケートで「プロトコールを活用していますか」の問いに、「はい」が前回23%だったのに対し、今回89%だった。ハーバード大学のジョン・コッター氏が「新しいやり方を変えることもエネルギーが必要だが、新しい仕組みやプロセスを回す人の意識と行動を変えるのは、もっともっとエネルギーが必要だ」と述べているように4年の経過の中で、係として引き続き介入し、志気を高めてきたからではないかと思われる。また、コッター氏の言う、成果を生かして変革を推進する事として、スタッフの意見を取り入れ、プロトコールの追加や教育に力を入れた事が、定着に繋がったと考察する。新しいものを導入・定着させるには、常に介入や変革が必要であると分かった。