[O4-03] 災害拠点病院における看護師の災害初期対応に対する意識調査
キーワード:災害、災害マニュアル、アクションカード
【目的】A病院はB県における災害拠点病院の指定を受けたDMAT指定医療機関である。近年、日本では大規模な震災や豪雨災害が多発している。そのため災害拠点病院に勤務する看護師として災害発生時、迅速かつ的確な初期対応が求められることから研究者らによりA病院看護師に、災害対策マニュアルとアクションカードに関する周知を図った。本研究ではその取り組み後の看護師の災害初期対応における意識の変化と災害拠点病院に勤務する看護師としての心構えや能力についての考えを明らかにすることを目的とする。
【方法】調査期間:令和元年9月~11月。対象:A病院に勤務する看護師131名。調査方法:無記名自記式質問用紙法。調査内容:災害初期対応における意識、災害拠点病院に勤務する看護師としての心構えや能力等。データ収集方法:回収箱を設置し任意で提出してもらった。分析方法:記述統計及び自由記述は文章の意味の類似性に基づきカテゴリー化し内容分析をおこなった。
【倫理的配慮】対象者には研究の目的、プライバシーの保護について文章で説明し、調査用紙の自由意志での提出をもって同意を得られたと判断した。本研究は研究者の所属病院の倫理審査会の承認を得て実施した(承認番号:1-2‐②)。
【結果】131名に配布し115名から回答を得た(回収率88%)。そのうち記入漏れを除く109名(有効回答率95%)を分析対象とした。「看護師として意識の変化があったか」の問いに対し、75名(69%)が「意識の変化があった、少しあった」と回答し、28名(26%)が「あまりなかった、全く変わらなかった」と回答があった。「意識の変化」の内容として「災害が身近に起こるものだと感じた」、「役割を認識できた」、「行動のイメージができた」との回答があった。「アクションカードを用いて行動できるか」について23名(21%)が「自信がある、少し自信がある」と答え、86名(79%)が「あまり自信がない」と答えていた。自信のない理由として「実際に使用したことがない」、「実際の災害をイメージできない」と答えていた。「災害拠点病院に勤務する看護師としてどのような心構えや能力」の問いに対して、<災害時に備えた知識や技術の習得>、<日常から災害拠点病院で働くものとして自覚を持った行動>、<日々の業務からの訓練>の3つのカテゴリー、10のサブカテゴリ―が抽出された。また、災害拠点病院で勤務する看護師として質の向上のために必要なこととして<災害研修に参加し知識・技術の習得>、<各部署の役割を理解した多職種との連携>、<次世代の人材育成>の3つのカテゴリー、7つのサブカテゴリ―が抽出された。
【考察】今回、災害対策マニュアルとアクションカードに関する周知を図ったことで災害拠点病院に務める看護師としての意識の変化が約70%に見られた。しかしながら、災害は予測不可能に起こり、実際に災害時の対応を経験することは少ない。そのため「アクションカードを用いての行動」には、80%近くに自信のなさが現れていた。「災害拠点病院で勤務する看護師として質の向上」のためには、日頃から災害に対して意識や関心を高く持つことと、災害を想定した研修やシミュレーションを繰り返し行い知識・技術を習得するとともに、各部署の役割を理解した多職種との連携を図り、人材育成にもつなげていく必要性が明らかとなった。
【方法】調査期間:令和元年9月~11月。対象:A病院に勤務する看護師131名。調査方法:無記名自記式質問用紙法。調査内容:災害初期対応における意識、災害拠点病院に勤務する看護師としての心構えや能力等。データ収集方法:回収箱を設置し任意で提出してもらった。分析方法:記述統計及び自由記述は文章の意味の類似性に基づきカテゴリー化し内容分析をおこなった。
【倫理的配慮】対象者には研究の目的、プライバシーの保護について文章で説明し、調査用紙の自由意志での提出をもって同意を得られたと判断した。本研究は研究者の所属病院の倫理審査会の承認を得て実施した(承認番号:1-2‐②)。
【結果】131名に配布し115名から回答を得た(回収率88%)。そのうち記入漏れを除く109名(有効回答率95%)を分析対象とした。「看護師として意識の変化があったか」の問いに対し、75名(69%)が「意識の変化があった、少しあった」と回答し、28名(26%)が「あまりなかった、全く変わらなかった」と回答があった。「意識の変化」の内容として「災害が身近に起こるものだと感じた」、「役割を認識できた」、「行動のイメージができた」との回答があった。「アクションカードを用いて行動できるか」について23名(21%)が「自信がある、少し自信がある」と答え、86名(79%)が「あまり自信がない」と答えていた。自信のない理由として「実際に使用したことがない」、「実際の災害をイメージできない」と答えていた。「災害拠点病院に勤務する看護師としてどのような心構えや能力」の問いに対して、<災害時に備えた知識や技術の習得>、<日常から災害拠点病院で働くものとして自覚を持った行動>、<日々の業務からの訓練>の3つのカテゴリー、10のサブカテゴリ―が抽出された。また、災害拠点病院で勤務する看護師として質の向上のために必要なこととして<災害研修に参加し知識・技術の習得>、<各部署の役割を理解した多職種との連携>、<次世代の人材育成>の3つのカテゴリー、7つのサブカテゴリ―が抽出された。
【考察】今回、災害対策マニュアルとアクションカードに関する周知を図ったことで災害拠点病院に務める看護師としての意識の変化が約70%に見られた。しかしながら、災害は予測不可能に起こり、実際に災害時の対応を経験することは少ない。そのため「アクションカードを用いての行動」には、80%近くに自信のなさが現れていた。「災害拠点病院で勤務する看護師として質の向上」のためには、日頃から災害に対して意識や関心を高く持つことと、災害を想定した研修やシミュレーションを繰り返し行い知識・技術を習得するとともに、各部署の役割を理解した多職種との連携を図り、人材育成にもつなげていく必要性が明らかとなった。