[O5-02] 救命救急センターのせん妄発症高リスク患者に回想法を実施することの効果
Keywords:亜症侯性せん妄、せん妄予防、回想法
【はじめに】A病院の救命救急センターは「断らない医療」の理念を基に、昼夜を問わず救急外来や一般外来からの緊急入院を受け入れている。また患者の在棟日数は2.8日(2019年度)と患者の入れ替わりが多い病棟であり、入院患者は短期間に環境が変化するため,その過程でせん妄を発症することも多い。また、亜症候性せん妄の状態がせん妄へと進展するリスクを高めることも報告されている。せん妄予防として回想法などがあるが、超急性期領域においてせん妄の予防を目的とした回想法の研究は少数であり、その効果は十分に検証されていない。そこで亜症候性せん妄患者に回想法を行うことで、せん妄発症の予防になるのかどうかを検証した。
【目的】せん妄発症高リスク患者に対して回想法を実施し、せん妄発症との関連性について明らかにする。
【方法】1.入院時に感染症と診断され、ICDSC1~3点と評価された亜症候性せん妄の患者に対して看護師が患者の病室で日勤帯に1日1回10分~15分回想法を実施する。各勤務帯でICDSCによるせん妄評価を実施する。2. 回想法を行なう前のICDSCスコアの平均点と行なった後のICDSCのスコア平均点を算出し、対応のあるt検定を用いて回想法の効果を判定する。
【倫理的配慮】A病院倫理委員会の承認を得て行なった。収集したデータは研究の目的以外には使用せず、研究後得られたデータは責任を持って破棄した。また、本研究に関しては開示すべき、利益相反にあたる企業はない。
【結果】対象者は10名となった。対象者の内訳は平均年齢79.0歳であった。救命救急センター平均滞在日数は5.4日、全員緊急入院であった。対応のあるt検定で分析をした結果、有意差はなかった。対象者のうち回想後にICDSCの数値が改善した人は7名、回想法後にICDSCの数値が悪化した人は3名であった。そのうち回想法後にせん妄発症した人は1名であった。回想法を行なう事で「患者の背景を知り、個々の患者に合わせた看護を行なう事ができた」「ベッドサイドでできるので、普段のケアに容易に取り入れることができる」など実施した看護師から肯定的な意見を聞くことができた。対象患者の反応としては、回想法中は表情が明るくなり、穏やかに話すことが多かったとの意見も聞かれた。
【考察】有意差はみられなかったが、回想法後にせん妄を発症した患者は1名のみであった。入院後早期に回想法を行い、精神的な介入を行ったことがせん妄発症を減少させたと考えられる。対象とのコミュニケーションの際に、看護師1人1人が意識して個別の人生背景を尊重する会話を行い、ベッドサイドで短時間の回想法を実施することにより、心理面の安寧を促すことができれば、現時点ではエビデンスは不十分であるが、急性期病棟でせん妄予防ケアの一つとして取り入れられることができる。また、早期対応でせん妄発症の予防が可能になれば,患者の認知機能の改善や日常生活動作の拡大に繋がることが期待される。
【結論】本研究では単一でせん妄を起こし得る直接要因である感染症に対しての回想法を実施したが、有意差はみられなかった。亜症候性せん妄の患者に回想法を実施した後にせん妄を発症した患者は10名のうち1名のみであった。せん妄発症因子は多数あり、他の因子に対しても回想法の効果を検証していく必要がある。
【目的】せん妄発症高リスク患者に対して回想法を実施し、せん妄発症との関連性について明らかにする。
【方法】1.入院時に感染症と診断され、ICDSC1~3点と評価された亜症候性せん妄の患者に対して看護師が患者の病室で日勤帯に1日1回10分~15分回想法を実施する。各勤務帯でICDSCによるせん妄評価を実施する。2. 回想法を行なう前のICDSCスコアの平均点と行なった後のICDSCのスコア平均点を算出し、対応のあるt検定を用いて回想法の効果を判定する。
【倫理的配慮】A病院倫理委員会の承認を得て行なった。収集したデータは研究の目的以外には使用せず、研究後得られたデータは責任を持って破棄した。また、本研究に関しては開示すべき、利益相反にあたる企業はない。
【結果】対象者は10名となった。対象者の内訳は平均年齢79.0歳であった。救命救急センター平均滞在日数は5.4日、全員緊急入院であった。対応のあるt検定で分析をした結果、有意差はなかった。対象者のうち回想後にICDSCの数値が改善した人は7名、回想法後にICDSCの数値が悪化した人は3名であった。そのうち回想法後にせん妄発症した人は1名であった。回想法を行なう事で「患者の背景を知り、個々の患者に合わせた看護を行なう事ができた」「ベッドサイドでできるので、普段のケアに容易に取り入れることができる」など実施した看護師から肯定的な意見を聞くことができた。対象患者の反応としては、回想法中は表情が明るくなり、穏やかに話すことが多かったとの意見も聞かれた。
【考察】有意差はみられなかったが、回想法後にせん妄を発症した患者は1名のみであった。入院後早期に回想法を行い、精神的な介入を行ったことがせん妄発症を減少させたと考えられる。対象とのコミュニケーションの際に、看護師1人1人が意識して個別の人生背景を尊重する会話を行い、ベッドサイドで短時間の回想法を実施することにより、心理面の安寧を促すことができれば、現時点ではエビデンスは不十分であるが、急性期病棟でせん妄予防ケアの一つとして取り入れられることができる。また、早期対応でせん妄発症の予防が可能になれば,患者の認知機能の改善や日常生活動作の拡大に繋がることが期待される。
【結論】本研究では単一でせん妄を起こし得る直接要因である感染症に対しての回想法を実施したが、有意差はみられなかった。亜症候性せん妄の患者に回想法を実施した後にせん妄を発症した患者は10名のうち1名のみであった。せん妄発症因子は多数あり、他の因子に対しても回想法の効果を検証していく必要がある。