第22回日本救急看護学会学術集会

講演情報

一般演題

重症患者看護

[O5] 一般演題5

[O5-08] 救命救急センターに入院となった患者における不眠原因の経時的変化と患者・看護師評価の差

○濵田 有紀1、古畑  亮1、津田 雅美1、須賀 将文1、井上 明彦1 (1. 兵庫県災害医療センター)

キーワード:睡眠

【目的】
入院中にはモニターの光や音、疼痛など患者の睡眠を阻害する要因が多く存在する。当救命救急センターではRichards-Campbell Sleep Questionnaire(以下RCSQ)を基にスコアと不眠原因を主観的(患者)評価と客観的(看護師)評価による2つの方法で評価している。そこで今回、不眠原因に経時的変化はあるのか、主観的評価と客観的評価に差があるのか、について検討を行った。
【方法】
2018年10月~2019年1月の期間に当救命救急センターに入院した成人患者を対象とし、意識障害、退院した患者は除外した。入院日、入院4日目・7日目・14日目における不眠の原因を、環境(音・光・温度含む)、看護ケア、疼痛、排尿・排泄、その他、に分類して後方視的に検討した。
【倫理的配慮】
当救命救急センターの倫理審査を受け承諾を得た。本研究の記録は完全匿名化とし、個人が特定されるようなデータは含まないように配慮した。
【結果】
期間中入院となった患者は205名であり、そのうち評価対象となったのは入院日で82名、4日目は78名、7日目は53名、14日目は33名であった。主観的評価の不眠原因として、入院時に最多は「環境」(34%)であった。入院後経過とともに「排泄」は増加傾向にあった。一方で、主観的評価と客観的評価の差については、「看護ケア」で最も差があった。
【考察】
Ⅰ.環境
環境は一貫して高い値を示している。当センターは、すべての患者が緊急入院であり、緊急度・重症度の高い外傷患者が多い。入院当初はアラームや光などの環境が原因として考えられる。
Ⅱ.看護ケア
不眠の原因である「看護ケア」に関しては主観的評価と客観的評価の差が最も多かった。看護師が気にするほど患者は不眠の原因として気にしていないと考える。
Ⅲ.疼痛
疼痛は比較的患者と看護師で一致していた。これは、当センターでは複数の疼痛評価を(NRS、PHPS、BPS、FS)使用しているためと考えられる。また当院は外傷患者が半数を占めており、状態が安定し手術を行うため7日目頃に疼痛が増強していると考える。
Ⅳ.排尿・排泄
入院が長期になるにつれて上昇しているが、ADLが向上し膀胱留置カテーテル抜去に至っていることが原因として考えられる。
全体を通して、不眠の原因は入院経過とともに変化していた。また、患者と看護師で不眠の原因の認識に差が生じていた。看護師は不眠の原因を看護ケアであると考えていたが、不眠の原因としては少なかったことが分かった。
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