第22回日本救急看護学会学術集会

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一般演題

重症患者看護

[O5] 一般演題5

[O5-10] 情報共有と継続看護の重要性-気管チューブの再挿入を回避した一例-

○新里 恵1、峯山 幸子1 (1. 東海大学医学部付属病院高度救命救急センター)

Keywords:情報共有、継続看護、気管チューブ

【はじめに】

 今回、患者の情報共有が継続看護に繋がり、気管チューブの再挿入を回避した症例を経験した。ケアを継続するため、患者の生活背景・性格・適切な呼吸ケアについて情報を可視化し、共有を図った。これにより、患者の意思を尊重し、呼吸ケアを継続することで、困難だと考えられていた気管チューブの抜去・人工呼吸器の離脱・気管チューブの再挿入を回避することができたため、報告する。

【目的】

 既往に脊髄腫瘍を持つ青年期の患者に対し、生活背景・性格、患者に適した呼吸ケアについての情報共有から継続看護を実践し、気管チューブの再挿入を回避した症例を経験したため報告する。

【方法】

 対象者に関する看護記録・診療録・体温表からデータを収集し、看護実践を振り返り考察した。

【倫理的配慮】

対象者の匿名性保護に配慮し、発表に関して患者及び保護者に紙面にて同意を得た。また、A施設臨床看護研究審査委員会の承認を得た。

【結果】

1.患者紹介:

 年齢:10代 性別:男性 既往歴:脊髄腫瘍、2歳以降入院歴なし 診断名:細菌性肺炎
 経過:通所施設でSpO2の低下を認め救急搬送となった。肺炎による低酸素血症を認め気管挿管・人工呼吸器管理となった。痰により 容易に無気肺を生じ、気管支鏡による喀痰除去や体位ドレナージ、陽・陰圧体外式人工呼吸器を用いた呼吸ケアを実施した。入院24日目に気管チューブを抜去し、NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)で呼吸管理を継続した。上記の呼吸ケアに加えて車椅子乗車を実施し、32日目より人工呼吸器の離脱時間を徐々に延長し、35日目に人工呼吸器を離脱した。41日目に一般病棟へ転棟し、55日目にリハビリ病院へ転院となった。

2.情報共有:

 目標、ADL(入院前・後)、家族、学歴、趣味、性格、呼吸ケアの経過を、交代勤務の看護師が共有できるよう可視化した。また、患者・家族とも共有した。

3.継続看護ケア

 情報共有の結果をもとに、患者へケアの見通しを説明し呼吸ケアを実践した。実践した呼吸ケアは体位ドレナージと陽・陰圧体外式人工呼吸器の併用、腹臥位療法、車椅子へ移乗、深呼吸や咳嗽を定期的に促進した。

4.患者の反応

 繰り返される呼吸ケアが行われる中で、自ら目標を達成するためにケアに参加した。家族は「本人・私たちも成長できました」と思いを表出していた。

【考察】
 可視化した紙面での情報共有を行ったことで、患者とのコミュニケーションが増加し、看護師が患者の意思を支援したいという思いが高まり、患者-看護師間の信頼関係が構築された。また、日常生活へ戻る為に支援しようという看護師の認識が一致し、目標に向けてケアを継続することができたのではないかと考える。さらに、患者が目標達成に向けて積極的に参加する姿に、共に目標を達成したいという意識変容へ繋がり、継続看護を実践できたのではないかと考える。患者の情報を共有することで継続看護が実践され、気管チューブの再挿入を回避することに繋がったのではないかと考える。患者と目標を達成できたことは看護師の達成感やケアの充実感に繋がり、患者自身の成長にも繋がる結果になったのではないかと考える。