第22回日本救急看護学会学術集会

講演情報

一般演題

家族看護

[O7] 一般演題7

[O7-09] 救急外来における家族看護チームの活動評価と今後の課題

○鎌田 絵里1、横山 保江1、山崎 朋子1 (1. 千葉市立青葉病院)

キーワード:救急外来、家族看護、CNS-FACE

【はじめに】家族看護は患者に対する救命治療や看護と同様に重要な位置づけにあり、早期から家族と関わる必要があるが、家族への十分な関わりが出来ていない現状があった。そこで家族看護の質を高めるため、H29年度より家族看護チームを立ち上げ、救急看護認定看護師によるクリティカル領域における家族看護勉強会の開催やCNS-FACE家族アセスメントツール(以下、CNS-FACEとする)の導入と活用方法を周知する取り組みを行ってきた。今回家族看護チームの活動評価と今後の課題について検討した。
【目的】当院救急外来における家族看護チームの活動評価と今後の課題を明らかにする。
【方法】1.質問紙調査 対象:救急外来看護師13名。データ収集期間:R2年2月 質問紙内容:①勉強会に対する評価②CNS-FACE導入に対する思いと活用度③初療室内に掲示したCNS-FACE表の活用度④家族看護に対して難しいと感じていること。2.CPA家族看護記録実施率を調査 対象:来院時心肺停止患者(以下CPA患者とする)の家族看護記録。CPA患者家族は突然の受傷や時間的制約等の理由から心理的な危機状況に陥りやすく、最も看護を必要としている対象であるため研究対象とした。データ収集期間:H28〜31年、各年12〜2月の3ヶ月間。【倫理的配慮】看護部倫理委員会の承認を得た。質問紙調査への参加は自由意志とし得られたデータは個人の匿名化を図る。看護記録調査では記録の有無のみを調査対象とし患者、看護師は特定されない。【結果】1.質問紙調査:回収率100%。①勉強会について「分かりやすい」100%であった。②CNS-FACE導入に対し「とても良い」15%、「良い」85%だった。また活用度は「いつも活用している」0%、「時々活用している」85%、「あまり活用していない」15%だった。③初療室内に掲示したCNS-FACE表の活用は「時々活用している」85%、「あまり活用していない」15%だった。④家族看護に対して難しいと感じている事は「忙しい」「短時間で関わるには限界がある」「すぐに患者家族と接触できない」などがあがった。2.CPA家族看護記録実施率:家族看護チーム立ち上げ以前のH28年度は0%であった。チーム立ち上げ後は、H29年度69%、H30年度58%、H31年度63%であった。そのうちSOAP記録で各項目全て記載したものは、H29年度59%、H30年度38%、H31年度75%であった。【考察】勉強会はCNS-FACE項目のニードを意識した家族看護の必要性や家族看護記録の重要性についての内容であり全員が理解出来、CNS-FACE導入に向けて効果的であったと考える。またCNS-FACE表を初療室内に掲示した事は、CNS-FACEの活用を促進したと考える。さらにCPA家族看護記録率がチーム立ち上げ前後で0%から50~60%台まで上昇した事からもチームの活動は有効であったと考える。H31年度の看護記録からは家族の言葉や表情・行動の詳細な観察と熟考したアセスメントの記録が散見され、家族看護に対する意識の高まりが感じられた。しかしCPA家族看護記録率は横ばいで推移しており看護師全員が家族看護の分析から介入までの記録を習慣化出来るようなアプローチが必要である。また、CNS-FACEをあまり活用していないとの評価もあり家族看護チームの取り組みを再検討する必要がある。今後は、家族看護の中で難しいと感じている時間確保への対策を検討すること、家族看護記録を用いて事例検討を行うなど、家族看護の質そのものを評価する事が課題である。