第22回日本救急看護学会学術集会

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パネルディスカッション

[PD1] パネルディスカッション1

『救急看護の今とこれから』

座長 藤原 正恵(大阪青山大学 健康科学部看護学科 教授)
   山﨑 早苗(東海大学医学部付属病院 看護部 看護師長)

[PD1-03] その人らしくをどう支えるか?
 ~訪問看護師の立場から~

○宮原 めぐみ1 (1. ペガサス訪問看護ステーション石津北 訪問看護 所長)

Keywords:その人らしさ、連携

はじめに
 地域包括ケアシステムの構築が進められている中で、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることは、皆が望んでいることである。医療依存の高い方も自宅療養が可能となり、複数の疾患を持つ方や家族背景なども複雑化し、在宅生活も多種多様となっている。在宅で療養している方は、病状がいつ急変するか不安があり、急変時に受け入れる病院があることが安心感に繋がっている。今後、超高齢化がますます進む中で、安心して自分らしく生活が送れるように、看護師は連携してその人を支えることが求められている。事例を通じて、その人らしく生活するために訪問看護師として現状と問題点を考えた。
イレウスで入退院を繰り返す利用者の事例
 70歳代の男性Aさん。妻と二人暮らし。好き嫌いが激しい。要介護4.癒着性イレウスで入退院を繰り返す。今回も腹痛で救急搬送され入院となった。在宅と病院の看護師は看護サマリーで情報交換を行った。退院時の看護サマリーはどのような治療を受けたか理解できたが、ADLの情報が病院での生活状況であった。病院では車いすでトイレに行っていた。入院前まで伝え歩きでトイレに行っていたが、退院後はトイレまで歩けなかった。食事も介助量が増えていた。以前のADLでなかった為、妻の介護負担は大きく退院後にサービス調整が必要だった。Aさんと妻にサービス調整をする上で、今後起こりうること、したいこと、嫌なことなど話し合い自己決定ができるように支援した。
考察
 Aさんは痛いことが嫌で、好き嫌いが激しく自宅で過ごすことを望んでいた。自宅で過ごすために生活の再構築が必要であり、ADLを把握することが重要であった。お互いが点で看護を行い、病院生活と在宅生活の違いが把握できていなかった。一つ一つの点が繋がるかかわりが必要である。点を繋げるためには、情報共有が必要である。今後、Aさんの自宅のADLや希望を病院に伝えることで、Aさんらしい生活の継続支援ができると思われる。また、退院後の在宅生活を病院にフィードバックを行うことで、Aさんの生活が見え、Aさんらしさの理解が深まると考える。
結論
 その人の生活を理解したうえで、病状が悪化しないように、その人と一緒に在宅生活を再構築することが、その人らしい生活の支援に繋がる。その人らしい生活を継続するためには、看護師は病院・在宅にかかわらず、起こり得る可能性を予測し、その対策・対応をしていかなければならない。普段から連携を図ることで、お互いがその人の状況や状態を理解でき、急変を回避出来たり、入院に至らないように支援できる。また、急性増悪になってもスムーズな支援になる。療養者も複雑化・多様化している中で、病院でも在宅でも限られた時間の中で、個々のその人らしさを知ることは、大変なことであるが、看護師が中心となりその人を取り巻く方々と連携を図り、情報共有だけでなく、一歩進み 協働することが必要である。これからもお互いが協働するためのネットワーク体制の強化を図っていきたい。