第22回日本救急看護学会学術集会

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シンポジウム

[SY3] シンポジウム3

『外国人受け入れ政策-外国人労働者の就労問題 健康問題』

座長 豊嶋 三枝子(大東文化大学 スポーツ・健康科学部 看護学科)
   増山 純二(学校法人 巨樹の会 大学設置準備室)

[SY3-03] 外国人受け入れ政策-外国人労働者の就労問題・健康問題

○新垣 智子1 (1. 地方独立行政法人りんくう総合医療センター 看護局 外来副看護師長/国際診療科)

Keywords:外国人、トラベルメディスン、在留・訪日外国人、在外日本人

法務省の出入国管理統計によると、新型コロナウイルス感染症が中国武漢市で大流行していると報道される2020年1月までは、毎月250万人前後の外国人が日本に入国し、160万人前後の日本人が海外に出国していた。日本で緊急事態宣言が公示された2020年4月以降は毎月入国する外国人は1万人を下回り、出国する日本人も1万人前後までにとどまっている。世界中で渡航制限がかかり人々の国境を越える動きには制限はかかっているものの、年々日本に住む外国人の数は増加しており、2019年末現在、293,3137名と過去最高となっている。主に、アジア諸国から日本国内への定住化が増加している。日本にいる外国人だけでなく、海外に住む日本人も含め、海外と日本の国境を越える人々の生活背景は多様化しており、生活背景は日本の外交政策や経済政策、社会情勢と密接にかかわっている。

2020年に開催予定であった東京オリンピック・パラリンピック、2025年大阪万博などの国際イベントが起爆剤となり、日本国内でのインフラストラクチャ―整備は突貫的にも進んでいった。日本に住む外国人や、日本に訪れる外国人のために、コミュニケーションツールや滞在しやすい環境整備は進んだとしても、この日本で彼らの健康問題を解決することに、労力がかかるのはなぜだろうか。

人の持つ健康問題は全世界の人類が抱える普遍的な問題であるが、その問題解決には滞在する国の政策や保健医療制度が大きく関与する。各国の保健医療政策やサービスは国家財力にも関連しており、人々の健康問題解決への思考プロセスは各人が慣れ親しんだ保健医療制度のもと養われてきている。日本国民は1958年に法案樹立、翌年施行された国民皆保険制度や2000年にスタートした介護保険制度サービスをはじめとする社会保障制度が享受できることが慣習化されている。健康問題解決の手段には欠かせないものであり、それが当たり前であるのは既知の通りである。日本が誇るこのUniversal health coverageの恩恵は他国では珍しいものである。

今回のシンポジウムでは、海外に駐在する日本人も含めた広義による「外国人」の健康問題について医療現場の立場から問題提起を行う。人々は自己の慣れ親しんだ保健医療システムがあり、看護を必要とする対象者が慣れ親しんだ場所から離れた土地で健康問題に直面した際に、生活基盤が日本であれ、自国であれ、赴任先であれ、健康問題を解決していける方策についての討論できることを期待している。