第23回日本救急看護学会学術集会

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教育講演

第23回日本救急看護学会学術集会 [指定演題] » 教育講演

[EL2] 教育講演2

[EL2-01] COVID-19パンデミック下の看護へのスフィア基準の応用

○原田 奈穂子1 (1. 宮崎大学医学部看護学科統合臨床看護科学講座精神看護学領域)

Keywords:COVID-19、スフィア基準、災害時の医療

私は昨年からCOVID-19対応のフロントランナー達を対象として、彼らのストレス要因とその緩和策を明らかにする研究に取り組んでいます。救急領域の看護師にもご協力頂いた研究ですが、その中で興味深かったのは、もちろん全ての協力者が大きなストレスを感じられながら医療の最前線を守ってくださっていたのですが、救急領域の看護師と歯科医師は、他の保健医療者と比較して感染症予防対策に対するコントロール感を維持されていたことでした。他の保健医療者は日頃感染症スクリーニングが済んだ患者を対象とするのに比べ、普段からファーストコンタクトされる際の感染防御に関する知識と技術を持たれているからだと推察します。本大会のテーマでの一部である「変化の時代に挑戦する看護」、という点では、知識と技術を持つ救急看護だからこそのレジリエンスが顕著に示されたと言えるのではないでしょうか。

本講演では、災害支援における世界基準であるスフィア基準についてお話しさせていただきますが、この基準の中でもレジリエンスは重要なキーワードです。レジリエンスは、医学、自然科学、社会科学、工学等で幅広く使われる用語ですが、共通することは「変化に対処する能力」を示している点です。スフィア基準は世界中の国や地域に関わらず発生する感染症アウトブレイク、紛争、自然災害等に、より包括的に、より迅速かつ効果的に支援を行う際の、ガイドラインです。SARS-COV-2との共生の中で、質の高い医療を提供する責任のある看護職の中で、早期からレジリエンスを示されている救急看護師は、リーダーシップが期待されている存在ではないでしょうか。

スフィアはCOVID-19パンデミック発生後初期に、スフィア基準をこの状況でいかに活用するかのガイドラインを公開しました。講演ではそのガイドラインに基づいて、救急看護師が発揮し得るリーダーシップについて考えていきたいと思います。