第23回日本救急看護学会学術集会

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教育講演

第23回日本救急看護学会学術集会 [指定演題] » 教育講演

[EL3] 教育講演3

[EL3-01] 変化する時代の救急看護シミュレーション教育

○増山 純二1 (1. 学校法人巨樹の会 大学設置準備室)

Keywords:シミュレーション教育、救急看護

2019年12月、武漢市で発生し世界中に猛威をふるった新型コロナウイルス(COVID19)は、今日においても収束する気配はなく、学習環境を変化せざるを得ない状況となっている。看護学生の実習、院内の研修、そして本学会が主催する研修においても、web学習を中心にした学習形態の変更を強いられている。このような状況の中、変化する時代の一つとして、際立つ学習方法にICT(Information and Communication Technology)の発展からAI(artificial intelligence)やAR(Augmented Reality)、そして、VR(Virtual Reality)といった教材の開発が進められている。私たちはこれらの教材をどのように活用していくか、どのように開発していくか考えていかなければならない。

 このような状況の中、シミュレーション教育は困難であり実施できない教育手法となってしまったのだろうか。AIやAR、VRを活用することで、これまでに期待されてきた能力開発が可能になるのだろうか。私たちが救急看護における臨床実践の質向上を目指すためには、どのような能力が必要であり、どのように開発していくか。変化する時代の中での学習環境をどのように整備していくか。これらを一つ一つ丁寧に分析し、その能力を開発するためのインストラクショナルデザインが必要となる。

シミュレーション教育には、全体タスクとして実施する「シナリオ(シチュエーション)・ベースド・トレーニング」がある。そのトレーニングは高機能シミュレーターを活用し、知識、技術、態度の統合が可能であり、問題解決力、臨床判断力、批判的思考力などの学習効果が高いとされている。また、一次救命処置などの「アルゴリズム・ベースド・トレーニング」や看護技術を習得する「タスク・トレーニング」がある。これらのトレーニングは手順を基本としたトレーニングである。全体タスクとして実施する「シナリオ(シチュエーション)・ベースド・トレーニング」については、忠実性の高さが学習効果につながるとされている。忠実性とは、心理的、機能的、物理的があるとされており、模擬病室内で高機能シミュレーターを使用するシミュレーション教育では、臨床と同じ環境で学習することができるため、心理的、物理的忠実性は高く、また、受講生が介入したケアについての反応として、バイタルサインの変化を作ることができるため、機能的忠実性も高い環境で学習ができる。

これらのシミュレーション教育は、学習手段であることを認識しておかなければならない。あくまでも、学習目標が重要であり、その目標を達成するために、学習効果が期待できるコンテンツを選択していく。そのコンテンツとして、ICTやVR教材の活用、paper patient(紙上患者(事例))の使用、臨床実践後の振り返り(OJT;On-The job training)も含めて考えていかなければならない。やはり、シミュレーション教育という結論になるのか、インストラクショナルデザインを中心に論じていく。