第23回日本救急看護学会学術集会

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交流集会

第23回日本救急看護学会学術集会 [指定演題] » 交流集会

[EM4] [交流集会4] ドクターカーナースの暫定的教育プログラムの将来構想~今求められるドクターカーナースの役割~

Sat. Oct 23, 2021 10:40 AM - 12:10 PM ライブ3

座長:佐々 智宏(日本救急看護学会プレホスピタル委員会)、神谷 弥生(半田市半田病院)

11:30 AM - 11:50 AM

[EM4-04] 時代の変化を捉えたドクターカーの役割とドクターカーナースの教育
         〜2025年問題を見据えて〜

プレホスピタルケア 委員会、○美馬 美保1 (1. 大阪府済生会千里病院 救急看護認定看護師)

Keywords:ドクターカー、2025年問題

当院のドクターカーは1993年1月、日本で初めて24時間365日稼働するドクターカーとして運行を開始しました。「救急医療は現場から始まる!」の精神は四半世紀経った今も変わることなく、これを合言葉に医師、看護師、救急救命士、専従運転士がチーム一丸となって活動しています。
 ドクターカーの要請は、「意識がない」「息が苦しい」「胸痛」「心肺機能停止」などの内因性疾患を疑うキーワードから、「高所からの墜落」「閉じ込め事故」など外因性疾患に繋がるキーワードなど多岐に渡っています。当院周辺には、空港・鉄道会社・高速道路・教育機関が密集しており、2001年に大阪府池田市で発生した小学校での無差別殺傷事件や2005年のJR福知山線脱線事故にも出動しました。これらのドクターカー活動には、外傷や災害、多数傷病者に対応できる能力が求められました。
 一方で、千里ニュータウンの開発に伴い、若年層の核家族が集中して当院周辺の住宅に入居した時代から約60年経った今では、初期入居世帯の高齢化が進み、内因性疾患を疑うキーワードでの出動が増加しています。更には新型コロナウイルス感染症の発生に伴い、慢性期患者や終末期患者の治療の場が在宅に移行したことや、数年後に待ち受けている2025年問題である超高齢化社会など、ドクターカー活動に求められる「救急医療」も救命だけを目的とした活動から「患者の人生観」に寄り添う医療に変化しています。
 このような医療の変化を捉え、ドクターカー看護師には「救急医療」が展開できる看護実践能力・組織役割遂行能力はもちろんですが、新型コロナ感染症や慢性期、終末期患者に対応できる能力も求められています。今までの救急医療に特化した教育ではなく、在宅医療、終末期医療、時代の変化を捉えたドクターカーナースの教育について、この場をお借りして意見交換していきたいと思います。