[OD104-03] 緊急心臓カテーテル前の患者の心境
Keywords:救急外来、緊急心臓カテーテル
Ⅰ はじめに
救急外来(以下、ER)では、ST上昇型心筋梗塞(以下、STEMI)患者の対応時はDoor-To-Balloon-Time(以下、DTBT)短縮を念頭において行動している。その一方で来院直後の患者を医師、看護師が取り囲み、医療処置や同意書取得などを同時進行で慌ただしく行なっている現状がある。そうした状況に患者は不安や不快感を抱きながら治療を受けているのではないかと疑問に思い、本研究に取り組むこととした。
Ⅱ 目的
緊急心臓カテーテル(以下、心カテ)前の患者の心境を分析し、心カテ前の適切な看護介入を明らかにする。
Ⅲ 研究方法
期間:平成31年3月〜令和2年11月
対象:ERを受診し当院に入院したSTEMI患者のうち、意識清明であり同意を得られた患者。
方法:インタビューガイドをもとに半構造化面接を実施し、内容分析を行った。
Ⅳ 倫理的配慮
当院の倫理審査委員会の承認を得て実施した。また対象者にはインタビューの目的、自由意思による参加であることを書面に沿って説明し同意を得た。
Ⅴ 結果
本研究の対象者は11名(男性10名、女性1名)であり、平均年齢は65歳であった。インタビューより抽出されたコードは108、サブカテゴリーは25(《》で示す)、コアカテゴリーは6(【】で示す)であった。心カテ前の心境の多くは、《疾患への不安》《軽微な疼痛》《激しい痛み》《疼痛以外の症状》のサブカテゴリーより構成される【疼痛】であった。《説明不要》《説明内容失念》などで構成される【説明】、《処置検査の記憶なし》《処置検査の記憶あり》などで構成される【ERでの処置検査】では、ERでの説明や処置・検査に関する不安や不快感はほとんど挙がらなかった。《医療者への遠慮》《医療者への信頼》から構成される【医療者への感情】からは、医療者への信頼や遠慮があることがわかった。《心カテの知識》《心カテの受容》などから構成される【カテーテル検査の知識】、《心筋梗塞の予感》《心筋梗塞の知識》などから構成される【心筋梗塞】では病前から疾患に関する知識があったことがわかった。
Ⅵ 考察
結果より、心カテ前の患者は、事前の予想ほど処置への不安や不快感を感じていないとわかった。その要因の一つとして、《医療者への信頼》があったことが挙げられる。受診時の速やかな対応や丁寧な声かけ、落ち着いたチームワークにより安心できたという発言が多く聞かれており、医療者への信頼感が患者の不安を軽減したと考えられる。また、【カテーテル検査の知識】【心筋梗塞】から、患者は病前からマスメディアや親族・友人を介して心筋梗塞に関する知識を有していることが多く、それも処置への不快感を軽減した一つの要因だと考えられる。
患者の心境の多くを占めていたのは【疼痛】であった。STEMI対応では救命のためにDTBTの短縮を最優先にしており、根治術ではない鎮痛は後手に回ることが多かった。しかし、速やかな鎮痛を行うことで患者の安全のニードを充足させ、より安寧な状態で心カテに臨めるよう計らう必要があると再認識した。
Ⅶ 結論
心カテ前の患者は、処置に対する不安や不快感よりも疼痛による苦痛が強い。迅速なカテーテル室出棟と並行し、早期に鎮痛を行うことが患者のニードの充足につながる。
救急外来(以下、ER)では、ST上昇型心筋梗塞(以下、STEMI)患者の対応時はDoor-To-Balloon-Time(以下、DTBT)短縮を念頭において行動している。その一方で来院直後の患者を医師、看護師が取り囲み、医療処置や同意書取得などを同時進行で慌ただしく行なっている現状がある。そうした状況に患者は不安や不快感を抱きながら治療を受けているのではないかと疑問に思い、本研究に取り組むこととした。
Ⅱ 目的
緊急心臓カテーテル(以下、心カテ)前の患者の心境を分析し、心カテ前の適切な看護介入を明らかにする。
Ⅲ 研究方法
期間:平成31年3月〜令和2年11月
対象:ERを受診し当院に入院したSTEMI患者のうち、意識清明であり同意を得られた患者。
方法:インタビューガイドをもとに半構造化面接を実施し、内容分析を行った。
Ⅳ 倫理的配慮
当院の倫理審査委員会の承認を得て実施した。また対象者にはインタビューの目的、自由意思による参加であることを書面に沿って説明し同意を得た。
Ⅴ 結果
本研究の対象者は11名(男性10名、女性1名)であり、平均年齢は65歳であった。インタビューより抽出されたコードは108、サブカテゴリーは25(《》で示す)、コアカテゴリーは6(【】で示す)であった。心カテ前の心境の多くは、《疾患への不安》《軽微な疼痛》《激しい痛み》《疼痛以外の症状》のサブカテゴリーより構成される【疼痛】であった。《説明不要》《説明内容失念》などで構成される【説明】、《処置検査の記憶なし》《処置検査の記憶あり》などで構成される【ERでの処置検査】では、ERでの説明や処置・検査に関する不安や不快感はほとんど挙がらなかった。《医療者への遠慮》《医療者への信頼》から構成される【医療者への感情】からは、医療者への信頼や遠慮があることがわかった。《心カテの知識》《心カテの受容》などから構成される【カテーテル検査の知識】、《心筋梗塞の予感》《心筋梗塞の知識》などから構成される【心筋梗塞】では病前から疾患に関する知識があったことがわかった。
Ⅵ 考察
結果より、心カテ前の患者は、事前の予想ほど処置への不安や不快感を感じていないとわかった。その要因の一つとして、《医療者への信頼》があったことが挙げられる。受診時の速やかな対応や丁寧な声かけ、落ち着いたチームワークにより安心できたという発言が多く聞かれており、医療者への信頼感が患者の不安を軽減したと考えられる。また、【カテーテル検査の知識】【心筋梗塞】から、患者は病前からマスメディアや親族・友人を介して心筋梗塞に関する知識を有していることが多く、それも処置への不快感を軽減した一つの要因だと考えられる。
患者の心境の多くを占めていたのは【疼痛】であった。STEMI対応では救命のためにDTBTの短縮を最優先にしており、根治術ではない鎮痛は後手に回ることが多かった。しかし、速やかな鎮痛を行うことで患者の安全のニードを充足させ、より安寧な状態で心カテに臨めるよう計らう必要があると再認識した。
Ⅶ 結論
心カテ前の患者は、処置に対する不安や不快感よりも疼痛による苦痛が強い。迅速なカテーテル室出棟と並行し、早期に鎮痛を行うことが患者のニードの充足につながる。