第23回日本救急看護学会学術集会

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第23回日本救急看護学会学術集会 [一般演題] » 1.救急外来看護⑤

[OD105] 1.救急外来看護⑤

[OD105-01] 救急医療におけるストレス要因ーー医師、看護師、医療事務の比較ーー

○馬原 恵美1 (1. 日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院)

Keywords:ストレス、救急医療、医師、看護師、医療事務、比較

研究目的
 救急医療では、予期せぬ疾患や突然の外傷で、昼夜を問わず重症患者が搬入されてくる。そのため、現場のスタッフは緊急時の状況把握と判断力、救急処置能力、あらゆる年齢や疾患の患者をケアする能力、患者・家族心理の理解と配慮、患者のプライバシーの保護などを考えながらチーム医療が展開される。このような状況にいる医療従事者は常にストレスを抱えている。先行研究もそれぞれの職種のストレスに関する研究はあるものの、そのストレスを比較している研究はあまり目に触れない。そのため、医師、看護師、医療事務ではどのようなストレスを感じているのか、共通性があるのかなどを検討したいと考え本研究に取り組むこととした。
方法
 第一に2施設の救急医療に勤務する医師25名(20代~60代)、看護師105名(20代~50代)、医療事務25名(20代~60代)を対象とし、厚生労働省「職業性ストレス簡易調査票」を用い調査を実施した。結果は一元配置分散分析を行った。なお、逆転項目については、数字を入れ替えたうえで統計処理を行った。第二に、第一研究の一元配置分散分析の結果の高群、低群各職種より2名のインタビューの同意を得ているものに対し、半構造化面接を実施した。インタビューはボイスレコーダーに録音され逐語記録としてデータ化した。そのデータはトレンドリサーチ2015(社会情報サービス株式会社)、AIテキストマイニング(ユーザーローカル社)を用いてキーワード分析を行った。
<倫理的配慮> 本調査は個人の回答がそのままの形で公開されることはないこと、途中で止めることもできること、個人のプライバシーが漏れることはないこと、調査への参加は強制されるものではないこと、回答するか否かは自身の自由意志で決められること、また、調査に回答したことで同意いただいたとみなすこと等を記入した。
結果と考察
 質問紙から、3群に共通する事として、「人間関係」「感情のコントロールができている」「ストレスコーピングが有効に実施できていること」「救急の特性」であった。また、それぞれの特徴として、医師は俯瞰で物事をみており、体力があり、同僚との関係性がよいことであった。看護師は、仕事量が多いこと、また、緊急検査での環境の違い、看護技術・知識不足感などによるストレス(以下、配置転換に似たストレスとする)があり、上司との関係性がよいことが分かった。医療事務は、医師、看護師と比べるとストレスは少ないが、職場での人間関係を作り辛く、家族との関係性が強いことが明らかとなった(図1参照)。
 インタビューからは、3群ともに多くのストレスを受けているが、ストレスコーピングもできていることが推察された。それぞれの特徴として、医師は、俯瞰で物事をみていること、判断の負担、怒りに関する事であった。看護師は、仕事量が多いこと、配置転換に似たストレスがあることであった。医療事務は、医療専門職につなぐジレンマ、職場スタッフとの人間関係の困難さであった(図2参照)。
 質問紙、インタビューに共通している事として、医師は俯瞰であった。職業柄、俯瞰で診察など行わなければいけないことが要因として考えられる。看護師は、仕事量の多さ、配置転換に似たストレスであった。看護師のストレスは、仕事量の多さが大きく影響していることが推察される。医療事務は、職場での人間関係の困難さや家族との結びつきであった。これは、年齢に関連することが考えられた。年齢による特徴は、医師、医療事務の人間関係関や、医師は怒りに関することについて表れていたと推察される。
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