第23回日本救急看護学会学術集会

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第23回日本救急看護学会学術集会 [一般演題] » 1.救急外来看護⑤

[OD105] 1.救急外来看護⑤

[OD105-05] 自傷患者に対する救急看護師の継続的支援に関する看護実践と認識の実態

○植岡 敬紹1、山勢 博彰2、田戸 朝美2、山本 小奈実2 (1. 日本赤十字社 京都第二赤十字病院、2. 山口大学大学院 医学系研究科)

Keywords:自傷患者看護、継続的支援、救急看護師

[目的]
自傷患者への救急看護師の継続的支援に関する看護実践と認識の実態を明らかにすること。
[方法]
①研究デザイン:自記式質問紙による実態調査研究(記述的研究デザイン)
②期間:2020年6月29日〜9月14日
③対象者:全国の二次救急病院、三次救急病院で救急対応する救急看護経験年数3年以上の看護師1650名
④調査内容:「自傷患者の継続的支援」のカテゴリーを【アセスメント】【身体精神的ケア】【ケースマネージメント】【家族ケア】とし、実施頻度、継続的支援の意識、継続的支援への必要性の認識を5件法(最大値5、最小値1)で回答を求めた。「調査対象者の背景」を救急看護経験年数、対応する患者の重症度、精神科勤務、自傷患者看護教育受講とした。
⑤分析:基本統計量を算出し、カテゴリー間で多重比較した。自傷患者看護教育受講での違いをt検定、実施頻度と継続的支援への必要性の認識の関係性を相関分析し、有意水準はp<0.05とした。
[倫理的配慮]
A大学倫理審査委員会の承認を得て実施した。対象者には研究目的、方法、参加は自由意志であることを書面で説明し、同意を得て回答してもらった。
[結果]
有効回答数は245部(有効回答率14.8%)であった。救急看護経験年数は6年以上11年未満が101名(41%)で最も多かった。三次救急対応は58名(23.9%)、初期または二次救急対応は185名(76.1%)であった。精神科勤務歴は、あり29名(11.9%)、なし214名(87.7%)であった。自傷患者看護教育受講は、あり44名(18.1%)、なし198名(81.5%)であった。実施頻度は【アセスメント】平均値3.4±標準偏差1.7(以下同) 【身体精神的ケア】3.0±1.8 【ケースマネージメント】1.7±1.9 【家族ケア】2.0±1.9であり、【アセスメント】が最も高く、【ケースマネージメント】が最も低かった(p<0.01)。継続的支援の意識は【アセスメント】3.5±1.0 【身体精神的ケア】3.5±1.1 【ケースマネージメント】3.9±0.9 【家族ケア】3.6±0.9であり、【ケースマネージメント】が最も高く、【アセスメント】【身体精神的ケア】が最も低かった(p<0.01)。継続的支援への必要性の認識は【アセスメント】4.1±0.9 【身体精神的ケア】3.9±1.0 【ケースマネージメント】4.2±0.9 【家族ケア】4.0±0.9であり、【ケースマネージメント】が最も高く、【身体精神的ケア】が最も低かった(p<0.01)。自傷患者看護教育受講ありは、なしより全てのカテゴリーで実施頻度が有意に高かった(p<0.01)。実施頻度と認識の関係性は【アセスメント】で弱い相関を認めた(r=0.36,p<0.01)。
[考察]
実施頻度で【アセスメント】が高く、【ケースマネージメント】が低かったことから、救急看護師は自傷患者を多角的にアセスメントしているが、多職種での連携や救急部門から導入できる社会資源が不足していることがわかった。継続的支援の意識、継続的支援への必要性の認識で【ケースマネージメント】が高かったのは、救急看護師は救急部門で社会資源の導入や精神的サポートは困難であり、再自傷予防には地域・精神医療との連携が必要だと思っているためだと考える。自傷患者看護教育受講ありは、なしより全カテゴリーで実施頻度が高く、継続的支援には自傷患者看護教育が重要であることが示唆された。アセスメントの実施頻度と継続的支援への必要性の認識に関連があり、アセスメントしている看護師ほど継続的支援が必要だと考えていることがわかった。