[OD1102-01] 男性患者の尿道留置用カテーテル挿入に伴う尿道口の医療機器関連圧迫損傷(MDRPU)の予防について
Keywords:MDRPU 、スキントラブル 、尿道留置用カテーテル
【はじめに】
尿道留置用カテーテル(以下カテーテル)挿入に伴う合併症には尿道損傷、外尿道での潰瘍形成、尿道下裂がある。個体要因としては皮膚の菲薄化、循環不全、浮腫、低栄養、感覚・知覚・認知の低下がある。当救命センターは三次救急施設であり重症患者が多く、カテーテル挿入により男性患者の尿道口に医療機器関連圧迫損傷(以下MDRPU)が発生していた。排尿バックの重みや体動などでカテーテルに生じる張力や摩擦を軽減すれば尿道口のMDRPUが軽減すると考え、尿道口とカテーテルをシリコンテープで固定したところ良好な結果が得られたため報告する。
【研究目的】
尿道口にシリコンテープを1周巻き付けてカテーテルを固定して管理することでMDRPUが減少するか検証する。
【研究方法】
実施場所:ICU及び救急病棟
方法
①尿道口のMDRPUとシリコンテープ貼付方法、ケア方法についてスタッフに説明
②シリコンテープ貼付前の患者をA群、貼付後の患者をB群とし、両群のMDRPU発生件数、年齢、ApacheⅡ点数をt検定を用いて比較しP<0.05で統計学的有意と判定した。
実施期間:2019/1/1~2020/12/31
A群:2019/1/1~2020/5/14
B群:2020/5/15~2020/12/31
対象:尿道留置用カテーテルを留置した男性入院患者全員
各群の具体的なケア
A群:解剖学的特徴に基づいて男性は腹部にカテーテル専用固定テープで固定していた(検査や手術創で腹部に貼付できない場合は大腿部に固定)。毎日、陰部洗浄を実施し清潔を保つと共に観察を行った。必要であれば固定位置を調整していたが基本的には1週間ごとに固定テープを交換していた。
B群:従来の固定に加えて尿道口に3M社のシリコンテープを1周巻き付けてカテーテルを固定した。毎日陰部洗浄実施する際に観察、貼り換えを行った。
【倫理的配慮】
演題発表にあたり、所属施設の倫理審査委員の承認を得た。
【結果】
①年齢はP=0.66、ApacheⅡ点数はP=0.053で、年齢に有意差はなかった。ApacheⅡ点数はB群のほうが低い傾向にあったが有意差はなかった。
A群:309名 平均年齢:64.6±18.4歳 平均ApacheⅡ点数:15.7±10.6点
B群:130名 平均年齢:65.3±16.2歳 平均ApacheⅡ点数:13.7±12.2点
②A群はMDRPU発生件数:潰瘍形成:8件、粘膜剥離:6件、持続する発赤:4件、裂傷:1件の計19件であった。一方、B群は0件であった。
【考察】
両群の年齢と、ApacheⅡ点数に有意差はない中、B群の全ての患者にMDRPUが発生していなかったことから、尿道口にシリコンテープを1周巻き付けてカテーテルを固定し管理したことが、男性患者のカテーテル挿入に伴う尿道口のMDRPU予防に効果があったと推察できる。日本褥瘡学会が出しているMDRPUベストプラクティスには尿道口のMDRPUの発生のケア要因として①外力低減ケア、②スキンケア、③栄養管理、④患者教育が挙げられている。今回、われわれはバルーン刺入部をシリコンテープで固定したことで①に積極的に介入したことになり良好な結果を得られたのではないかと考える。また毎日陰部洗浄をしたときにシリコンテープを張り替えていたため観察強化と②の介入にも繋がったことも要因と考えられる。
【結論】
尿道口にシリコンテープでカテーテルを固定することは尿道口のMDRPU予防に効果があると考えられる。
尿道留置用カテーテル(以下カテーテル)挿入に伴う合併症には尿道損傷、外尿道での潰瘍形成、尿道下裂がある。個体要因としては皮膚の菲薄化、循環不全、浮腫、低栄養、感覚・知覚・認知の低下がある。当救命センターは三次救急施設であり重症患者が多く、カテーテル挿入により男性患者の尿道口に医療機器関連圧迫損傷(以下MDRPU)が発生していた。排尿バックの重みや体動などでカテーテルに生じる張力や摩擦を軽減すれば尿道口のMDRPUが軽減すると考え、尿道口とカテーテルをシリコンテープで固定したところ良好な結果が得られたため報告する。
【研究目的】
尿道口にシリコンテープを1周巻き付けてカテーテルを固定して管理することでMDRPUが減少するか検証する。
【研究方法】
実施場所:ICU及び救急病棟
方法
①尿道口のMDRPUとシリコンテープ貼付方法、ケア方法についてスタッフに説明
②シリコンテープ貼付前の患者をA群、貼付後の患者をB群とし、両群のMDRPU発生件数、年齢、ApacheⅡ点数をt検定を用いて比較しP<0.05で統計学的有意と判定した。
実施期間:2019/1/1~2020/12/31
A群:2019/1/1~2020/5/14
B群:2020/5/15~2020/12/31
対象:尿道留置用カテーテルを留置した男性入院患者全員
各群の具体的なケア
A群:解剖学的特徴に基づいて男性は腹部にカテーテル専用固定テープで固定していた(検査や手術創で腹部に貼付できない場合は大腿部に固定)。毎日、陰部洗浄を実施し清潔を保つと共に観察を行った。必要であれば固定位置を調整していたが基本的には1週間ごとに固定テープを交換していた。
B群:従来の固定に加えて尿道口に3M社のシリコンテープを1周巻き付けてカテーテルを固定した。毎日陰部洗浄実施する際に観察、貼り換えを行った。
【倫理的配慮】
演題発表にあたり、所属施設の倫理審査委員の承認を得た。
【結果】
①年齢はP=0.66、ApacheⅡ点数はP=0.053で、年齢に有意差はなかった。ApacheⅡ点数はB群のほうが低い傾向にあったが有意差はなかった。
A群:309名 平均年齢:64.6±18.4歳 平均ApacheⅡ点数:15.7±10.6点
B群:130名 平均年齢:65.3±16.2歳 平均ApacheⅡ点数:13.7±12.2点
②A群はMDRPU発生件数:潰瘍形成:8件、粘膜剥離:6件、持続する発赤:4件、裂傷:1件の計19件であった。一方、B群は0件であった。
【考察】
両群の年齢と、ApacheⅡ点数に有意差はない中、B群の全ての患者にMDRPUが発生していなかったことから、尿道口にシリコンテープを1周巻き付けてカテーテルを固定し管理したことが、男性患者のカテーテル挿入に伴う尿道口のMDRPU予防に効果があったと推察できる。日本褥瘡学会が出しているMDRPUベストプラクティスには尿道口のMDRPUの発生のケア要因として①外力低減ケア、②スキンケア、③栄養管理、④患者教育が挙げられている。今回、われわれはバルーン刺入部をシリコンテープで固定したことで①に積極的に介入したことになり良好な結果を得られたのではないかと考える。また毎日陰部洗浄をしたときにシリコンテープを張り替えていたため観察強化と②の介入にも繋がったことも要因と考えられる。
【結論】
尿道口にシリコンテープでカテーテルを固定することは尿道口のMDRPU予防に効果があると考えられる。